爪事件2011-12-26 Mon 07:00
![]() 「てっちゃん、てっちゃん、これ、見てくれよ」 同室のひろちゃんが、なんだか心細い声でつぶやく。 指された場所を見ると、なんと爪が勃起していた。 ![]() 思い起こせば。2日前の夜、ひろちゃんはお酒で良い気持ちになり、夜中、足を船内の角でぶつけてしまう。 真っ暗だったから、気づかなかったが、部屋に戻ったとき、痛みに我に返った。 足から血が流れている。それもお酒を飲んでいるから止まらない。 あわててティッシュで血をふき、そのまま寝た。 翌朝起きた僕は、トイレのゴミ箱に赤いティッシュを見る。 「ひろちゃん、ひょっとして生理か?」 な~んて馬鹿なことを想いながら、また寝た。 そして今朝の言葉。 「ちょっと、見てくれよ、コレ」 昨日まではテープで縛っておいたけれど、きっと爪の方が剥がれたがっているのだろう。爪は見事90度にそそり立っていた。 「これ、抜いた方が良いですね」 「って、お前、他人事だから言えるけれど、俺、何度かトライしたけれど、あまりの痛さに断念したよ」 「抜きましょうか?」 「いや、いい」 「抜きましょうか?」 「・・・・・・・・・・・・」 「抜きましょうか?」 「うん、優しくしてね」 患部を見ると、もう下から爪が生えてきている。 勃起した爪を握って抜こうとした瞬間、ひろちゃんからの声。 「まった、まった、まだ気持ちの準備が出来てない」 「・・・・・・・・・・・・・」 「そんな顔で見るなよ」 「だって、あまりに小さいから」 「誰が?」 「あなたが」 「・・・・・・・・・・」 「いきますよ」 「わ、わかった」 ひろちゃんは、親指上の末端神経を押さえ、出来るだけ痛みが走らないように努力していた。こめかみに青白い血管が浮き出ているのを確認してから、えいやっと引っ張った。 ![]() 「いだだだだ」 あら、結構肉が付いているのか、爪が剥がれない。 「もう一度行きますよ」 「あが、あが、あが、ぎゃっ」 ひろしの爪は、見事、僕の手の内に転がった。 「あは、あは、あは・・・・」 「ほら、取れましたよ」 「よ、よし、それを粉にして、みんなに売りつけよう。法力が出るって言って」 「いくらで?」 「一袋、一万円」 「前から思ってましたけれど、ほんと人間のカスですね、あなた」 「もっと言って、もっと!」 二人ともその後、吹き出し、爆笑したのは言うまでもない。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
コメント
こんにちは。
(いつもROM専門ですが)内容のあまりの痛さ(面白さ?)に ついつい書き込みさせていただきます。 こちらも思わず身を固くしながら読ませていただきました。 しかし、阪根さんとてっちゃんのやりとりは いつもいつも楽しいですね~(^_^.) 遠い国からの素敵なエントリーも楽しみにしています。 2011-12-26 Mon 08:57 | URL | srx [ 編集 ]
srxさんへ
どうも有難うございます。本当に見事な爪でした。 後日談があって、帰国後ひろちゃんは、抜かれた爪をマジマジと見て、あまりの薄っぺらさにショックを受けたそうです。 お互い、爪に感謝して生きましょうね! のむらてつや 2011-12-26 Mon 14:37 | URL | [ 編集 ]
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