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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

夢心地

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イースター島から4時間飛ぶと、眼下にタヒチ島が見えてきた。タラップを降りると、ムッとした湿気が体にまとわりついてくる。こんな時は、ホテルでスパークリングワインを抜いて乾杯だ。
翌朝、画家ゴーギャンが「古城のよう」と称したモーレア島へ。
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強い陽光を受けて、海はターコイズブルー。サンゴの海は輝きを増してセルリアンブルー(花浅葱色)をたたえ、水上コテージがずらりと並んだ。
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人々が想うタヒチのイメージが、まさに目の前に。皆の顔を見渡すと、夢見心地でシャッターに指をかけていた。
         ノムラテツヤ拝
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鳥人伝説

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イースター島のラストを飾るのは、鳥人伝説の舞台オロンゴだ。
食糧不足から民族闘争が起こり、フリモアイと呼ばれるモアイ戦争が起きた。モアイは次々に祭壇からうつ伏せに倒され、霊力を持ったマナ(眼)が破壊された。
戦いに明け暮れた不毛の時代を経て、次に芽を出したのが、鳥人伝説。沖の小島・モツヌイにやってくるセグロアジサシの最初の卵を持ち帰った民族が、その年の酋長の権利を得る命を賭けた勝負。
それこそが、島の最西端にあるオロンゴだ。雄大なラノカウ火山の火口を見つめ、その時代に想いを馳せる。
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たおやかな凪いだ海、300度近くグルリと見渡せるまあるい水平線、そして皆の笑顔が旅の充実度を物語っていた。

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さぁ、第二部へ参りますか」
僕たちのチャーター機は離陸し、愛するイースター島は遠く離れて行った。
                ノムラテツヤ拝
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大樹のこころ

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魅力的な対象が現れたとき、僕は出来る限り多くの角度から見るようにする。一つの方向だけから分かったと思うことに、危うさと脆さを感じてしまうから。
洞窟の中のアボカドは、光へ向かって枝葉を伸ばしていたが、今度は地上からその姿を観察する。
ぽっかりと口を開けた大地から、まるでアフロヘアーの大樹が陽光を燦々と受けて立っていた。
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闇の世界から光の世界へ。その枝先には、テカテカとしたアボカドが実っていた。
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中南米原産のアボカドが、海を渡って絶海の孤島まで旅する。それらの実(種子)の一つが、この洞窟内へ落下し、根付き、成長する。生きるとは、なんという奇跡の積み重ねなのだろう。
大地に根付く植物も、人間を含めた全ての動物も一緒。僕たちは、奇跡のバランスの中で、地球に生かされている。ガイア(地球)という意思によって、僕たちは体の外側と内側で呼応し、今を立たせてもらっている。
              ノムラテツヤ拝
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聖なる樹

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ぽたん、ぴしゃん、ちりん、天井から滴が落下し、水琴窟のような音を奏でる。漆黒の闇で、そんな音を聞きながら進んでいくと、突然遠くに光の世界が現れる。
中心に立つ、太い幹。僕と同じ樹齢44年のアボガドの樹だ。
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火山が噴火し、溶岩流が海へ流れた道が、冷えると溶岩洞窟になる。海風に浸食された天井は、やがて剥落し、洞窟内に一条の光が差し込むと、そこに鳥が落としたのだろうか? 一粒の種子が陽光を目指して、少しずつ成長し、やがて天井を越えて、大空へ枝葉を広げていく。
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そんな奇跡の樹の物語に耳を澄ませ、僕たち人間もまた同じだと気づかされる。闇から生まれ、光へ向かい、あらん限りの命を燃やして、朽ちていく。
ふと足元を見ると、アボガドから落ちた種子が、新たな芽を出している。昨日よりも今日、今日よりも明日、少しずつ命の幹を伸ばしていけ!
               ノムラテツヤ拝
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水の洞窟

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2日目の朝も、トンガリキで朝日を拝んだ。
日々この瞬間、二度と同じ風景とは出会えない不思議さを想う。自然現象も、集った人々も、御縁という枠の中で、僕らは生かされている。
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今日の午前中は、我らだけの特別プログラム。七体のモアイ・アフアキビを見てから、スポーツサンダルに履き替えてもらう。
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島には200個ほどの溶岩洞窟があり、以前住んでいた時に片っ端から潜ってみたが、最も心打たれたのが「水の洞窟・アナテパフ」だった。
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入口で簡単な説明をして、ヘッドランプを付ける。ひざ下までの水につかりながら、漆黒の闇をかき分けて奥へ向かった。
              ノムラテツヤ拝
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