ベストショット2020-04-16 Thu 09:51
![]() イースター島には、かれこれ20回ほど通い続けているが、初期に撮影したモアイ像の写真が、とても思い出深い。 フィルムのカメラを使い、何度も通った海辺のモアイ。今のように誰もが写真を撮る時代でなかったので、撮影はいつも僕一人だった。 良く晴れたある日、満月が昇ってから海へ落ちていくまでを、ずっと撮影していたことがある。20代の僕は、バイトをしてはお金を貯め、それらをすべて旅につぎ込んだ。帰国したら、またバイトをして、そのお金で現像するという日々を送っていたので、今と比べてシャッターを切ることにとても集中し、1シャッターがとても重かった。 「これは本当に撮るべきなのか?無駄にならないか?いつもそんな風に迷っていた」。 通常、月が沈む時は、海に水蒸気が上がり、見えなくなることが多いが、この夜は、最後まで四方八方に美しき光が降り注いだ。黄金色に浮かび上がるモアイ像の神々しさに、息を呑みながら、シャッターに手をかける。 露出計で光を測り、フィルムの感度は50なので、シャッタースピードは20秒。あとは無事に映り込んでくれ、と祈り続けるだけ。画角を変えて、撮影位置を変えて、1枚、また1枚と手を合わせた。 そんな光景をモアイは見ていてくれたのかな? 帰国後、現像されたスライドフィルムには、あの時の空気感までもが映り込んでいた。 「イースター島の写真の中で、ベストショットはどれですか?」 誰かにそう問われたら、僕はきっと20年以上前に撮らせてもらった、この2枚を挙げるだろう。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
夢心地2019-06-22 Sat 17:19
![]() イースター島から4時間飛ぶと、眼下にタヒチ島が見えてきた。タラップを降りると、ムッとした湿気が体にまとわりついてくる。こんな時は、ホテルでスパークリングワインを抜いて乾杯だ。 翌朝、画家ゴーギャンが「古城のよう」と称したモーレア島へ。 ![]() 強い陽光を受けて、海はターコイズブルー。サンゴの海は輝きを増してセルリアンブルー(花浅葱色)をたたえ、水上コテージがずらりと並んだ。 ![]() 人々が想うタヒチのイメージが、まさに目の前に。皆の顔を見渡すと、夢見心地でシャッターに指をかけていた。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
鳥人伝説2019-06-21 Fri 17:42
![]() イースター島のラストを飾るのは、鳥人伝説の舞台オロンゴだ。 食糧不足から民族闘争が起こり、フリモアイと呼ばれるモアイ戦争が起きた。モアイは次々に祭壇からうつ伏せに倒され、霊力を持ったマナ(眼)が破壊された。 戦いに明け暮れた不毛の時代を経て、次に芽を出したのが、鳥人伝説。沖の小島・モツヌイにやってくるセグロアジサシの最初の卵を持ち帰った民族が、その年の酋長の権利を得る命を賭けた勝負。 それこそが、島の最西端にあるオロンゴだ。雄大なラノカウ火山の火口を見つめ、その時代に想いを馳せる。 ![]() たおやかな凪いだ海、300度近くグルリと見渡せるまあるい水平線、そして皆の笑顔が旅の充実度を物語っていた。 「 ![]() さぁ、第二部へ参りますか」 僕たちのチャーター機は離陸し、愛するイースター島は遠く離れて行った。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
大樹のこころ2019-06-21 Fri 06:54
![]() 魅力的な対象が現れたとき、僕は出来る限り多くの角度から見るようにする。一つの方向だけから分かったと思うことに、危うさと脆さを感じてしまうから。 洞窟の中のアボカドは、光へ向かって枝葉を伸ばしていたが、今度は地上からその姿を観察する。 ぽっかりと口を開けた大地から、まるでアフロヘアーの大樹が陽光を燦々と受けて立っていた。 ![]() 闇の世界から光の世界へ。その枝先には、テカテカとしたアボカドが実っていた。 ![]() 中南米原産のアボカドが、海を渡って絶海の孤島まで旅する。それらの実(種子)の一つが、この洞窟内へ落下し、根付き、成長する。生きるとは、なんという奇跡の積み重ねなのだろう。 大地に根付く植物も、人間を含めた全ての動物も一緒。僕たちは、奇跡のバランスの中で、地球に生かされている。ガイア(地球)という意思によって、僕たちは体の外側と内側で呼応し、今を立たせてもらっている。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
聖なる樹2019-06-20 Thu 17:20
![]() ぽたん、ぴしゃん、ちりん、天井から滴が落下し、水琴窟のような音を奏でる。漆黒の闇で、そんな音を聞きながら進んでいくと、突然遠くに光の世界が現れる。 中心に立つ、太い幹。僕と同じ樹齢44年のアボガドの樹だ。 ![]() 火山が噴火し、溶岩流が海へ流れた道が、冷えると溶岩洞窟になる。海風に浸食された天井は、やがて剥落し、洞窟内に一条の光が差し込むと、そこに鳥が落としたのだろうか? 一粒の種子が陽光を目指して、少しずつ成長し、やがて天井を越えて、大空へ枝葉を広げていく。 ![]() そんな奇跡の樹の物語に耳を澄ませ、僕たち人間もまた同じだと気づかされる。闇から生まれ、光へ向かい、あらん限りの命を燃やして、朽ちていく。 ふと足元を見ると、アボガドから落ちた種子が、新たな芽を出している。昨日よりも今日、今日よりも明日、少しずつ命の幹を伸ばしていけ! ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |