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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

トンパ文字の首都

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麗江に来た目的のひとつ、それは12年前行けなかった場所を訪れることだった。
「文字の起源」は何処から始まったのか?
それが中国のナシ族が今も使う象形文字「トンパ文字」だという説が強い。その故郷こそが麗江なのだ。
古城から1キロ北の黒龍譚景区へ。途中の水路は、小さな緑の葉で埋まり、まるで自然が描いた絵画のよう。そこに木々の影が入ると、より一層アート感が強まった。
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ランの花が風に揺れ、玉龍雪山(5596m)の秀峰が、紺碧の空に浮かんだ。
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橋のたもとにトンパ文字博物館があり、毒を持つ和紙に書かれたトンパ文字を食い入るように見つめた。
文字。この魔法のお陰で、この世から「時空」が消えた。大昔誰かが思って書き留めたことが、現在、誰でも知ることが出来るのだから。
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その不可思議な文字をひたすら見ていくと、突然、全身に鳥肌がたった。
大きな円の内側に小さな円が、そこには28の区切った部屋(宮)がある。
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まさか。。。
キャプションを読むと、28宿星と書かれている。
中国が世界に誇る占い、その筆頭が宿曜道(すくようどう)だと僕は確信している。インド占星術、道教の天体神信仰、陰陽五行などが習合した複雑な占星術だが、平安時代に日本が生んだ天才「空海」が持ち帰ったものとしても有名だ。
文字が始まる遥か以前から陰陽五行や宿曜道は作られ、それらが口伝で後世に伝わるなかで、ようやく智慧として定着させて最初の原型が、目の前のトンパ文字なのだ。
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大昔から伝わる生きるという智慧(秘伝)が、時空を超えて繋がった瞬間。手が震え、体全体に振動が伝わり、涙で文字がぼんやりと滲んだ。
           ノムラテツヤ拝
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中国 | コメント:2 | トラックバック:0 |

麗江

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昆明から飛行機で向かったのは、12年ぶりの麗江。
日本では「れいこう」、現地では「リージャン」と呼ぶ。
中国には4つの古城(古き街並み)があるが、麗江がナンバーワンと言っても過言でない。ここは雲南省ナシ族が長い時をかけて作りあげた都で、朝日が屋根を照らすと、猫が瓦の海を散歩する。
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都の中心が四方街。ここには美しき水路が引かれ、柳の葉がサワサワと揺れていた。
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広場で出会ったナシ族のばあちゃんと立ち話。お洒落な衣装は勿論、おばちゃんの美しい笑い皺に見とれた。手をたたいて大笑いしたところを、パチリ。
この都は、彼らがコツコツと積み重ね、今も補修しながら住居として大切に守られている。
          ノムラテツヤ拝
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中国 | コメント:0 | トラックバック:0 |

茶の聖地

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ミャンマーから昆明へ到着。
雨が降っていたが、空港地上スタッフたちが傘をさしてお出迎え。素晴らしき、おもてなしの心。世界中どこでも人は優しい。
昆明のある雲南省と言えば、やはり茶の聖地。宿の近くの茶屋へ入り、鉄観音やプーアル茶をふるまってもらう。湯を沸かし、小さなコップに茶葉を入れて、蓋をずらしながら一杯目は流す。2杯目は香りが最も立ち上がり、3杯目、4杯目になると味がどんどん引き立ってくる。最も美味しいのがまろやかな5杯目くらい。
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話が盛り上がり、おっちゃんが奥から幻の鉄観音「観音王」を出してきてくれる。最上級の鉄観音は一度飲んだら生涯忘れないほど滋味深く透明感がある。プーアル茶の最上級「老樹茶」も飲んだことがあるか?と飲ませてくれるが、通常とは全く違う味に驚いた。
日本のお茶も美味しい。でも僕はやっぱり鉄観音が好きなんだなぁ~としみじみ想い、購入させてもらった。
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旅の第二部はここから飛行機で1時間ほど行ったところ。
12年前に親友たちと訪れた古城の街だ。
              ノムラテツヤ拝
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昆明の食

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この感覚をしばらく忘れていた。
やっぱり中国って凄いわ。
「新しいこと、予想外なこと、驚かされること」
中国へやって来ると、それが怒涛のように押し寄せる。
空港から駅までのバス乗車時、横のおっちゃんの沢庵と味噌を混ぜ合わせたような体臭にまずボディーブロー、後から乗って来た人が自分の席だからとお尻を割り込ませてくる様を見て倒れそうになる。
当たり前だと思っていることが、実は当たり前でないという現実を、いつもこの国は見せてくれる。ある意味、自分の小さな枠をあぶり出してくれるのだ。
昆明のホテルにチェックインし、近くの屋台街をぶらぶら。美味しそうな匂いが立ち上る店へ入った。回鍋肉、ピータンと豆腐、カイラン炒めに、青島の純生で。味は薄味。でも、後味がしっかりと続いていく。これは、料理にひと手間かけている証拠。3皿とも悶絶級の美味しさにノックアウトされた。
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ひと眠りしてから、朝は雲南名物の米銭屋を探す。簡単に言ってしまえば、米で使ったベトナムのフォー(米麺)だ。100m歩いたら3軒の米銭屋がある密集ぶり。店頭で蒸籠が詰まれた店に決めた。
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モクモクの蒸気をかき分けて、饅頭と米銭2種類、醤油玉子を注文。
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いんやぁ~、どれをとっても、嫌になるほど美味い。
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脳がボーっとし始め、今朝もしみじみ感じ入る。見よ、この中国人たちの食べる真剣さを、体から漲る力強さを。食は作る側と食べる側の絡み合いで、一大文化が作られていく。中華料理は勿論世界三大料理の一つに数えられるが、世界中の伝播率、値段の安さと美味さで比べたら、ぶっちぎり世界ナンバーワン。
「美味しいか?」
食べていると、皆が話しかけてくる。それもまた、極上の隠し味になることを、彼らは身をもって知っているのだろう。
「普通なんて面白くない。どうせやるなら、どっちかに吹っ切れろ!」
次々と店を出ていくおっちゃん達の背中から、そんな言葉をかけてもらっている氣がした。
        ノムラテツヤ拝
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中国 | コメント:0 | トラックバック:0 |

雲の南

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雲南(うんなん)、現地での発音はゆんなん。
何て素敵な響きなんだろう。
世界中を見渡せば、雲南省に当たる場所がいくつか思い当る。
ペルー最後の秘境チャチャポーヤスの意味は「雲の上に住む人」を指し、ニュージーランド北部にも「雲の民」が高地に住んでいる。日本だと雲上人、またはかすみを食べる仙人が、それに当たるのか。
上海から飛び立ち2時間ほどで、眼下に龍の腹のような鱗雲が広がった。最終着陸態勢に入ると、さっきまでの平坦な大地から黒い山が一気に盛り上がり、雲上に龍の背のように突き抜けた。
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僕が中国で最も好きな場所、それが四川省と雲南省。たおやかでおおらかで、雲のような、しなやかな人々が暮らす場所。
田畑に寄りそうようにして建つマッチ箱のような家々を横目に、昆明空港へ着陸した。
12年前、僕はここへ親友2人とやって来た。
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あの時の思い出が、フラッシュバックのように急に蘇ってきた。将来の夢だけが溢れんばかりにあったあの頃、思い描いた未来の自分に僕は近づけているかな? 周りを少しでも幸せにしているかな?
夕日が空港を橙色に輝かせる。
将来の自分像は高ければ高い方が良い。今の自分が笑ってしまうくらいが僕にとってはちょうどいい。
あと10年後の自分を、この旅の中で思い描いてみたいと思う。
           ノムラテツヤ拝
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