写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

撮影秘話

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今年の初めにハワイ島を訪れた時、現地に住む親友が、僕に会うなり言った。
「のむらくん、死ぬかもしれないけれど、好きそうな現地ツアーがあるよ」
話を聞くと、数日前に大きな岩が崩落し、そこから溶岩が海へ勢いよく流れ落ちているという。
そこにボートで近づくというんだから、確かに死にそうだ。
何かを判断するとき、僕は一つだけ大切にしていることがある。
「どちらの方がワクワクするか?」
もちろん答えは明白だった。
夜明け、僕たちはボートに乗り込み、20キロ先の崩落現場まで船を走らせた。
闇の中、オレンジ色の光がどんどん近くなり、海から上がる蒸気が見えてきた。
残り200mを切ったところで、カメラの異変に気付いた。
ソニーのカメラα7RⅡに、70-200mmGMレンズで撮影しようと用意していたら、何故か電源を入れてもAFが駆動しない。マニュアルで取るにしても、まだあまりに暗いのでリスクがある。
100mをきった。
仕方ない。もう一本のレンズ、24-70mmGMレンズに切り替えた。
20mを切ると、溶岩の滝が地球の血管のように見えてくる。そして海面からは爆発的に煙が上がった。
レンズが突然見えなくなる。慌てて前面を見ると、熱くてレンズが曇ってしまっていた。
拭いてシャッター、また拭いては撮影の繰り返し。
溶岩滝にあまりに近づき過ぎて、火傷しそうになる。もう10mをきっているだろうか。
有毒ガスで涙がとめどなく溢れる中、ふっと闇の海面を輝かせる溶岩の反射に気づいた。
船から身を乗り出し、手を下に伸ばせるだけ伸ばす。背面の液晶を見ながらピントを合わせ、海面すれすれからシャッターをきった。
海面の赤い光、そして水蒸気が奇跡的に止んだ一瞬、稲妻のような滝が海面へ飛び込んでいった。
「写真は自分が撮るものではなく、撮らせてもらうもの」
まさしく写真の神様が撮らせてくれた一枚だった。
もし最初に70-200mmの望遠レンズが壊れてくれなかったら、僕はこの引いた写真は撮ることが出来なかった。もし70㎜域で撮っていたとしても、重くて手ぶれしていただろう。
この時の撮影の模様(動画+文章)は、下記で見ることができる。
http://www.sony.jp/ichigan/a-universe/news/122/
僕の力ではなく、何か大きなるものに撮らせてもらった写真だからこそ、最期まで面倒をみたい。
折角、世界一のナショジオフォトコンテストPEOPLES-CHOICEにエントリーして貰えたのだから、日本代表として、日の目を見させてあげたい。
http://travel.nationalgeographic.com/photographer-of-the-year-2017/gallery/peoples-choice-all/15
だからこその一票を、どうぞ、どうぞ宜しくお願いします。
                   ノムラテツヤ拝
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たびのおわり

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ハワイの旅が終わり、日本へ。
眼下の夜景を見ながら、カメラを構えた。
写真に撮れないものは無い、そんな時代だからこそ自分が何を切り取るのか、撮らせてもらうのかが、より重要になってくる
のだろう。
大地は漆黒になり、街明かりがポツポツと付き始める。でも、西側に聳える富士は、まだ夕方の朱色が残っている。
あわいの時間。
僕はこんな夕方でも夜でもない「間(あわい)の刻」が好き。
そして一日の中で最も美しい時間だと思っている。
飛行機はゆっくりと最終着陸態勢に入った。
街の明かりは、まるで宝石のように闇の中で光り輝いた。
              ノムラテツヤ拝
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