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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

旅のさいご

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いくつもの氷河が崩落し、大飛沫が湖面から立ち上がる。
プカプカ浮かぶ氷塊をハンマーでかち割り、勿論ウィスキーのオンザロック。
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皆で乾杯し、この旅を思い思いに振り返った。
もう100キロ続く蛍の大群生が、はるか過去に思えるほど濃い旅だった。
「俺、今回の旅がてっちゃんツアーの中でナンバーワン。最も心に残る旅だったよ」
ほろ酔いのひろちゃんが、目を細めながら呟いた。今まで20種類以上のツアーを開催し、仲間たちと楽しんできた。参加者の皆様からの圧倒的な人気は、意外にも「メキシコ・グアテマラの旅」だった。それにも参加してくれた直美さんが、「てっちゃん、メキシコ旅と蛍旅は双璧だね。とっても濃密で劇的な旅だったよ」。
船上で見る仲間たちの顔は、誰もが幸せそうだった。僕はこんな瞬間のために、生きているんだろうな。旅の準備も、トラブルの処理も、初めて訪れる場所を案内しなきゃならないプレッシャーも、すべてが幸福という凪いだ海へ溶けていく。
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「この旅は、あまりに面白かったから、また近々やりそうだね?」と安藤さんがニヤリと笑う。
旅をアテンドするので手一杯で、そんなこと考えたことも無かったけれど、今回学んだことを生かして、更にこの旅を面白く出来る道は見えた。
「中部パタゴニアを、新たな仲間たちと一緒に駆け抜けたいな!」
夢がまた一つ増えた瞬間だった。
              ノムラテツヤ拝
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スーパーブルー

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スーパーブルー。
世にも珍しい最高級の氷河と出逢った。
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山々に雪が積もり、それらが圧縮され氷になる。氷の中の空気が容積の1%以下になったとき、氷は波長の最も短い青色を出し始める。簡単に言うと、これが氷河の青い理由だが、更に含有する空気が圧縮され、ほぼ0%に近くなったときだけ、
スーパーブルーになる。
99%の氷河が後退する昨今、これほどまでに蒼い氷河は、ほぼ奇跡と言って良い。カンナで削ったような切り口から、彫刻刀や、鉈まで変幻自在の神の芸術。光の屈折率で、青白い光が浮かび上がり、氷の年輪「氷輪(ひょうりん)」も時を刻むように、積み重なる。
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人間が作りうるすべての芸術は、自然の模倣。だからこそ、そのオリジナルは、いつの時代も圧倒的な迫力を持ち続ける。
幼少の頃に、まだ心が柔らかい頃に、こんな自然を観たらどうなるだろう。きっと心の底から地球を愛し、ゴミを捨てるなんて考えもしないんだろうな。
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地球を汚すこと、それは自分を汚すことなのだと全細胞で体験しているのだから。
            ノムラテツヤ拝
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時空の旅

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ピシン、ピシン、シャララ。
ゾディアックで氷河へ近づくと、プカプカと浮かぶ氷塊から音が弾け出る。
数百年前に圧縮された空気が、現在の空気と交じり合う。時を超えたマリアージュ(結婚)だ。
エンジンを切って、少しだけ静かにする。シュワシュワ、まるでシャンパンの泡が海へ流れ出たかのような世界で、時空を漂い始める。
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僕たちは過去、現在、未来を自由に行き来出来る。想像力という力を駆使して、いつでも氷河が作られ始めた過去へ、美しきバランスが取れた現在を、そしてまた来るであろう氷河期の未来へありありと心を飛ばすことが出来る。
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目の前の風景を見るとは、きっとそういうこと。今の中に、過去も未来もすべてが内包していることを「観る」ことなのだと思う。
           ノムラテツヤ拝
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サンラファエル氷河

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旅の最終地は、僕がパタゴニアで最も愛する氷河だ。
一般的にパタゴニアと言えばアルゼンチン側のペリトモレノ氷河が有名だが、それをも凌ぐ氷河がチリ側にあるのだ。
プエルト・アイセンの港から高速艇に乗って南下する。
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周囲には深い南極ブナの森が広がり、細い海峡を越えると、眼前にサンラファエル氷河がドカンと現れた。
氷河から崩落した氷山がプカプカと浮かぶが、その蒼色の透明感と言ったらどうだろう?
僕は死ぬまでに必ず見て欲しいものは、以下の3つだと言い続けてきた。オーロラ、間近で見るクジラ、そしてこの蒼き氷河だと。蒼は、たぶん生命の源の色なのだと思う。
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だから一目見ると、胸が痛くなるほど心を鷲掴みされ、自身の存在が吸い込まれるような錯覚を覚えるのだ。
船の錨が下ろされる。さぁ、ゾディアック(エンジン付き小型ボート)で蒼の世界へ入っていこう!
               ノムラテツヤ拝
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幻の鹿ウェムル

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中部パタゴニアで最も好きな山、それがセロカスティーヨ。城の山を意味し、ゴツゴツした岩肌は、イタリアのドロミテを彷彿とさせる。その麓を通り、現地ガイドが、「この辺りは野生動物たちの聖域だから、何か探してみるよ」と言っている矢先に、僕らを乗せたバンは急停車した。
何だ、なんだ? 
数台の車がハザードを付け、道路に何人か人も出ている。
事故か?
「テツヤ、ウェムルだ」
うそでしょ・・・
絶滅危惧種の小型の鹿「ウェムル」。僕も今まで3度ほどしかお目にかかったことの無い幻の鹿だ。車を降りると、南極ブナ林の前に一頭のウェムルが立っていた。今まで見てきたものより、明らかに小さい。迷子にでもなったのかな?
更に近づき、岩で盛られたマウンドの上に上がった時、更に2頭が見えた。その内の一頭は、立派な体躯に角が真っすぐ伸びていた。
家族。生まれて初めて、家族単位でウェムルを見た瞬間だった。
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まさしく千載一偶のチャンス。唾を呑んで、息を整える。それから望遠レンズに付け替えた。さっきの子ウェムルが、お母さんの下へ駆け寄る。それをジッと見守り、こちらにガンを飛ばすお父さん。
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毛並みは皆、艶々だ。
野生動物って、どうしてこんなに艶々で光り輝いているのだろう?それは自然の中で生き抜いているという威厳、それとも自然から常にエネルギーを貰っているからだろうか?
お父さんウェムルが、お母さんウェムルのお尻の匂いを嗅ぎ、ペロッと舌を出す。お母さんウェムルは子供のお尻の匂いを嗅ぐ。そう彼らは匂いの世界で生きているのだ。時折鼻を持ち上げるのは、風上にいる僕たち人間の匂いを確認するため。
キー、キー、と小さな声でお父さんが鳴くと、子供とお母さんは南極ブナ林の中へ。それらを確認してから、自分は悠々と砂礫の坂を登り、深い森へと消えていった。
まるで夢のような出逢いに、僕の鼓動は高鳴りっぱなしだった。野生動物たちから学ぶこと、それはとどのつまり、僕たち人間とは一体何なのかを教えてもらっている。
              ノムラテツヤ拝
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