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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

偉大なる山

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初夜のオーロラは、見えてはいるけれど、動きが少なかった。
我らの隊は時差ボケも何のその、午前3時半までワイワイ呑んで就寝。翌朝目覚めると、窓の向こうにデナリ山(マッキンリー山)の雄姿が見えた。
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北米最高峰であり、敬愛する植村直巳が眠る聖山。そう、僕はこの見晴らしの良い天国のような宿と出逢った22歳から、オーロラツアーを始めたのだ。あの頃と支配人は変わったけれど、相変わらずCozyな感じで、居心地が良い。
「おはようございま~す!」
皆はパンケーキやオムレツ、ベーコンなどを楽しそうに食べていた。
「てっちゃん、デナリ山って標高何メートル?」
「6190mなので、富士山の約2倍。意味は先住民の言葉で偉大なるものです」
「わぁ、なんか大きな塊みたいですものね」
外へ出ると、小さな小鳥が手すりに置いてある凍ったパンケーキを必死に食べている。気温は-25℃。よくもこんな小さな体で、アラスカの冬を越せるものだ。
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数えてみると、オーロラツアーも今年で13回目。オーロラ姫(暁の女神)、今回も皆を喜ばせてあげて下さいね。
             ノムラテツヤ拝
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シアトル空港

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成田からシアトルまではANA、そこからフェアバンクスまではアラスカ航空の接続だった。
最初、航空券を発券した時は、乗り換え時間が4時間半程あったが、出発の2週間前、突如、アラスカ航空から、「使用便欠航のため、振り替える」と連絡が入った。新しい便の乗り継ぎ時間は1時間30分。シアトル空港の巨大さを考えると、ギリギリの間隔だった。
祈るような気持ちで成田空港を出発し、定刻通りシアトルに到着。皆で急いで入国審査場へ行くと、そこには、目も当てられないほどの長蛇の列が。このままでは駄目だと思い、周りの職員と話し合うが、「時間が厳しくなったら、飛行機会社の職員が迎えにくる」の一点張り。何度もそれらに裏切られたことを伝えても、「これは決まりだから」と前には行かせてくれなかった。
時間はどんどん過ぎていく。30分程列に並んだところで、気持ちを切り替えた。皆には話さなかったけれど、完全にタイムリミットが過ぎていた。
こんな時、大切なのは焦らない、怒らない、当たらない。それらをすればするほど、目の前のことがどんどん複雑化してしまう。今、出来ることは、現状から最悪の場合を想定すること。遅れた場合のフライトの時間を調べ、頼んであるバス会社に連絡し、夕食のレストランをキャンセル、そして宿へ到着が遅れる旨を連絡すること。頭の中でシュミレーションがすべて終われば、もう心がどこかにブレることは無い。
最終的に1時間20分ほど待って、ようやく入国審査。ターンテーブルで荷物を受け取り、アラスカ航空のカウンターへ向かった。
「あまりの入国審査場の混みようで、乗り遅れました。大人数ですが振り替えて頂けますか?」
「これ、全員?」
「はい、何度も職員に掛け合ったのですが、一向に取り合ってくれなくて」
「う~ん、次の便の空きは3名しかないわ」
「その次は?」
「それなら、全員乗れるわ」
「到着時間は?」
「夜の11時過ぎね」
コケそうになったが、仕方ない。ここで騒いでも、何も変わらないことは、今までの経験で分かっている。あとは粛々とアラスカの会社、レストラン、宿へ連絡し、余分にかかるお金の計算をしてもらい、すべて話が付いたのは、それから3時間後。
「どうせ、シアトルに留まるなら、みんなで呑みましょう!」と、四方山話に花を咲かせ、午後8時過ぎに搭乗。夜中のアラスカ・フェアバンクス空港は、まるで白い恋人の世界だった。
パッキーンと張り詰めた空気感、一瞬で凍る鼻毛。これは軽く-20度を超えているな。もう少しで宿というところで、一台のトラックがスリップして側道に落ち、レッカー車で引き上げられていた。
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10分くらい道が開くのを待っている間、可愛い毛糸の靴を履いた警察犬を皆で見せてもらい、イケメンポリスの話に大いに笑った。
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「人生とは、何かを計画しているときに起きてしまう、別の出来事のこと」
師の星野道夫が敬愛した、シリア・ハンターの言葉が、脳裏に浮かんだ。
それは、言い換えれば「何が起ころうとも、目の前にある『今』を楽しむこと」に尽きる。
レッカー車が無事にトラックを引き上げ、僕らは山頂にある愛すべき宿へ。
「皆さん、お疲れ様」
車内は拍手で覆われ、外に出た。
「えっ」
北の空に、オーロラが姿を現わした。
               ノムラテツヤ拝
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2020年オーロラ隊発進

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2020年のアラスカ・オーロラ隊が始まった。
死ぬまでに必ず見て欲しい自然現象は3つ。間近で見るクジラ、スーパーブルーの氷河、そしてこのオーロラだ。
ギリシャ神話の暁の女神を語源とするオーロラは、アラスカではノーザンライツ(北の極光)と呼ばれ、住む人たちに希望の光を与え続けている。ひとたびそれらに包まれれば、自然からの愛に涙が溢れ、地球に抱かれるとはどういうことかを体感できるはず。僕は今までオーロラを150回以上見上げてきたが、一つとして同じ色合いや動きが無いことも、魅力の一つだ。
今回のアラスカ隊は、総勢17名。成田から飛行機が離陸し、アメリカ本土のシアトルへ。富士よりも高いマウント・レーニアが聳え、近未来を思わせるスペースニードルが怪しく輝いた。僕たちはまだ、これから続くシアトル空港の恐ろしさを知る由も無かった。
                ノムラテツヤ拝
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おおきなしぜん

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カトマイNPからキングサーモンへ飛んでいくと、ハート型の湖が見えてきた。下降態勢になると、青々とした湖面が。どれもこれも絶景なのに、アラスカだと日常の風景になってしまう懐の深さ。
「やっぱり、ココだな。僕はいつかアラスカに住もう」。
キングサーモンからはアラスカ航空で一路アンカレッジへ。
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天候は晴れ。普段は雲に包まれた大氷河地帯が、眼下を彩った。
四方向から谷へ落ち、一本に流れていく氷の河。その大自然の大きさに、僕は限りなく惹かれてしまう。
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「自分たちは、地球に生かさせてもらっている」。
直に感じる風景を、アラスカはいくつも内包しているのだ。
           ノムラテツヤ拝
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ラストカット

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撮影がすべて終わり、水上飛行機に乗り込もうとしている時だった。
「向こうから熊が来るから、少し離れて下さい」と、レンジャーの声。食堂まで戻り、ジッと見ていると、木々のトンネルの向こうに一頭の熊が現れ、チラッとこちら一瞥してから歩き去った。
太陽の光、湖面の色、森のトンネル、すべてが完璧に合わさった一枚。
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「ギフト」と無意識に呟き、「必ずまた戻ってきます。その時も宜しく」と頭を下げた。
エンジンがかかると同時に、プロペラもまわり、勢いよく空へ。
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眼下には透明感あふれるエメラルドグリーンの世界が広がった。
           ノムラテツヤ拝
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