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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

サラエボ

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駆け足で回った中欧の旅も、最終地は、ボスニアの首都サラエボで〆。
ここで見ておきたかったもの、それがサラエボ事件の舞台となったラテン橋だ。オーストリア・ハンガリー帝国の皇帝継承者のフランツ・フェルディナント夫妻が暗殺され、第一次世界大戦へと突入していった。
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現場を体感すること。それが何よりも大切。自分の人生と第一次世界大戦が、新たな方向から繋がった瞬間だった。
橋の近くで現地民と話していたら、この近くにビール工場があると、教えてもらい出かけた。店内は大人の香りが漂うバー形式で、ビールは深みのあるピルスナー。
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ジャンキーなソーセージやポテトと共に、味わった。
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中欧8カ国の旅が終わりを迎える。初めて訪れる国々が、また新たな視点を与えてくれた。どんどん自分が変化していく楽しみ。それが旅の醍醐味なのだろう。
           ノムラテツヤ拝
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モスタル

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中欧は別名ユーゴスラビアと呼ばれる。日本語だと、語音的にユーゴス、ラビアと分けそうだが、「ユーゴ・スラビア」
が正しい。意味は「南スラブ人の国」だ。
その核心部で、1992年から1993年にかけ18カ月にかけて起こったのが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争。舞台となったのが、ボスニアのモスタルだった。紛争によって廃墟と化したモスタルの再建が始まったのは1999年、街のシンボルだったスタリ・モスト橋や周辺の歴史的な建物は、2004年までに復元された。
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モンテネグロの首都を昼に発ち、午後9時過ぎにモスタルへ到着。翌朝、陽が出る前に散策した。
スタリ・モスト橋は幽玄にライトアップされ、川ではマガモが水かきをばたつかせている。大小の石橋が幾本もかかり、2匹の猫が家の前でジッと日の出を待っていた。
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ボスニアで最も美しい街とされるモスタル。その風光明媚な姿に栄枯盛衰を想った。
            ノムラテツヤ拝
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フォーカス

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モンテネグロの首都ポドゴリツァは、恐ろしくなるほど観光資源に乏しかった。
「世界から人々を呼べる何かを持っているか、いないか?」。その差を、まざまざと見せてもらった。でも、そこに生きる人々に焦点を当てれば別。可愛らしいブルテリアが遊んで遊んでと駆け寄ってきたり、
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翡翠色にかかる大きな橋から吹きあがる風を感じたり、
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昨日、何度も車窓から見たワタスゲのような植物に出会えたり。
人生もきっと同じ、一見何もないところにチャンスが転がっている。どこに自分をフォーカスするかで、日々が変わっていく。
          ノムラテツヤ拝
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モンテネグロへ

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コソボからアルバニアを通って、モンテネグロの首都ポドゴリツァまでの道が素晴らしかった。バスはどんどん山道を駆け上がり、風景は白銀世界。
こんな時、今までなら、ソニーのRX100という小さなカメラ(1型センサー)で車窓の風景を押さえていたが、今回はiphone11も試した。ようやく11になってから、作品として売れるクオリティになってきたというのが率直な印象。13㎜の超広角やナイトショットなど素晴らしい機能が付いてきたが、実際に同じものを撮影すると、まだセンサーの大きなRX100の方が美しい。でも、iphone画面で見るのであれば、最適化されているiphone11の方が綺麗な場合が多い。写真家にとって、カメラやレンズはキャンパスと絵筆のようなものだから、TPOに合わせて選択したい。
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バスの車窓で両方のカメラを試したが、明らかにiphone11の方が自分のイメージに近いものが撮れた。時代はどんどん変わっていく。
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国境は、かなり深い雪に覆われていたが、バスはなりふり構わずぶっ飛ばす。「黒い山」を意味するモンテネグロへ入国した。
              ノムラテツヤ拝
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蒼の時間

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日の出前の蒼の時間。肉眼で見ると暗闇でも、カメラを通すとそこに藍色が生まれる。やがて東の空が白み始めると、空は薄いピンクの膜が張る。
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真冬の凛とした透明感が好き。冠雪した山々も、今日は手が届きそうだ。
           ノムラテツヤ拝
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