ムーンレインボー2009-02-12 Thu 22:45
![]() レンタカーを飛ばし、ブラジル側へ。 自分で運転しての出国と入国は、比較的スムーズに流れた。 昨夜は完璧な月が出てくれたのに、ムーンレインボーは、方向的に無理だった。月を背にして現れる虹が、アルゼンチン側では、正面にしか出てくれないのだ。 お陰で悪魔ののどぶえと月を入れての撮影は出来るのだけれど。 JALの機内誌的には、満月ツアーだから、虹が現れなくても文でフォローすることが出来るけれど、 それじゃぁ、僕が納得出来なかった。 アルゼンチン側の満月ツアーに行き、確信したことがある。 月の虹が出るのは、絶対にブラジル側だと。 でもブラジル側のイグアスの瀧は、夜の撮影が公には禁止されていた。が、現地の強力なコネクションを使い、ブラジル側の情報を集めることで、それらを崩せるポイントを見つけた。 16時38分に駐車場に入れ、14ドルの国立公園入場料を支払いいざ園内へ入場。アナグマのイラストが描かれたバスで、園内のポイントへ連れて行ってもらう。 ブラジル側の国立公園の閉園は18時までだけどコネを使うことで、それを伸ばしてもらうに成功した。入口から一気に最終地ポルト・カノアまで、鬱蒼と繁った森の中をゆく。 それにしても熱帯の木々って、バリエーションに富んでいると思うのは、僕だけだろうか?似ていても、決して同じ種類の木が続くことは無く、別種で一つの森を作り上げているのだ。 ホテル・ダス・カタラタスのピンクの外壁が見えてきた。いかにも女性が気に入りそうな上品で可愛らしいホテル。お値段は一泊400ドルほどだという。 道路をアナグマが悠々と横断してゆく。バスは止まり、アナグマが茂みへ入ると、また動き出した。ホテルを過ぎてから15分ほどでポルト・カノアへ。そこから山を降りて、ミラドールと呼ばれるブラジル側屈指の展望地へ向かった。 17時過ぎ。 太陽光も角度が25度くらいになり、良い感じ。歩くにしたがって、飛沫がほっぺにひっついてくる。 そして、虹が少しづつ現れてきた。ちょうど太陽を背にして飛沫を見ると半円の虹が。 そしてそこで、更に身を乗り出すと、今度は、自分を中心にして丸い完璧な虹が出来るのだ。 自分の周りにいてくれる愛すべき人、友人、知人、周りの人に見てもらいたい風景がある。 そして本当のことを感じて欲しい。 虹は半円じゃないっていうこと。丸い円だってこと。それも自分を中心に太陽はいつも虹を作ってくれていることを。 ![]() 幻日現象やハロー現象はじめ、ホースで水遊びした時に出来る虹まで、生活の至るところにレインボーはある。 英語で言うと、Rain とBow の組み合わせ。直訳すると雨の弓。つまりは雨の架け橋となる。 虹は特別なものと言う人がいる。 確かにそう。でもイグアスの虹は、そうで無い事も同時に伝えてくれる。虹は光そのものを、ただ本来の姿で僕たちに見せてくれているのだ。 虹は光。光は七色のプリズムから出来ている。 太陽が沈む頃、赤くなるのは、一番波長の長い赤色が網膜に届くため。反対に天頂の頃の太陽が蒼っぽいのは、青の波長が一番短いため。 本来、光は全て七色の虹なのだ。角度によって、七色のどれかの色が、強くなるだけ。 ただ、それだけなのだ。 そして光はいつも、僕たちの周りを照らしてくれ、包み込んでくれる。 七色の光は、常に僕らを中心に添えて、抱いてくれる。そして虹色のゆりかごに揺られる僕たちは、そこから安心感をもらうのだ。 虹は、さりげなく、優しく諭すように教えてくれた。 18時20分。太陽は20度くらいの位置まで下がってきた。やがて太陽の沈んだ逆側から、満月が登場するだろう。 今日は光の一番強い14夜だ。 空には、雲ひとつなく、満天の星も期待できた。 18時以降は、園内に観光客はいられないので、バスに乗っては、どんどん帰ってゆく。 少しづつ静けさが戻り、瀧の轟音が、お腹の底へ響いてくる。 高くあがる飛沫に夕日があたると、まるで天使が降りてきたみたい。 空にはイワツバメが無数に旋回し、そこへ一匹のタカが舞いこんでくる。 夕日は静かに山の端に沈み、オレンジ色に染まっていた瀧が、緑を少し帯びた白色になる。僕はミラドールで撮影を開始した。 僕の他に一人、アメリカ人女性のカレンも、いた。 僕は轟きの中心にいるようで、体全体が振動していた。 まるで瀧の子宮に入れられた感じ。 19時51分。 夕焼けも終わり、1番星が現れると、瀧も全体的にブルーっぽくなってきた。 遠く南側に、アルゼンチン側のホテル・シェラトンの灯火が。飛沫は昼よりも高く上がり、撮影していると、ビショビショに濡れた。 自分よりもカメラを拭き、撮影が終わったらザックに入れる。その繰り返し。 早く北東の空に、満月が出ないかなぁ。北東部は、丘のような山があるから、今もし出ていても、20度くらいの高さにならないと分からなかった。 20時30分。 撮影していた瀧の上側が少しだけオレンジ色に染まってきた。 きっと月に照らされ始めたのだろう。 光が少しづつ下へ降りてきたちょうどその時、上に伸びる白っぽい光を感じた。 目をこらすと、弓状に光は伸びている。 ついに、ついに、この時がやって来た。 弧を描くような、ムーンレインボーが現れたのだ。ようやく逢えたね。 ![]() 21時。 虹とガルガンタ・デル・ディアブロが一つの画角に収まりだした。 飛沫が舞う中、何度もシャッターを押した。 胸が高鳴り、自分がまるで心臓になってしまったかのようにドクドクと打つ。 場所を変えると、虹は角度の関係で大きさを変える。 下で、上で、下で、上で。 色々な角度から、様々な月の虹を撮影させてもらった。 月光が背中を照らしてくれると、まるで母の手のような暖かさを感じる。 月が応援してくれているようだった。 有り難い、有り難い。僕は知らぬ間に涙を流しながら撮影していた。 すると、今度は瀧が飛沫で涙を洗い流してくれる。 そのうちに完璧な虹がまあるく現れ、僕は無心でシャッターを押した。 多分、それはイグアスの神様が、押してくれたんだと想う。 僕の能力をはるかに超えた一枚が、カメラに封じ込まれた。 12時から1時まで仮眠をして、また撮影。 朝の3時半まで、瀧の虹の中で、過ごさせてもらった。 4時近くになると、雲が出てきたのと、全体的に明るくなってきたのもあって、虹が薄くなってきた。 僕は、頭を下げて、カメラと三脚をしまい、そこでしばらく瞑想した。 全てのものは大いなる力で繋がっている。 僕も瀧も、そしてあなたも。 僕を通しての瀧は、実はあなたを通しての瀧になる。 その橋渡しの役目を、今、させてもらっているのだ。 満月の中に現れる奇跡の虹、ムーンレインボーは、ただ優しく見守ってくれていた。 アルゼンチンから、皆様が今日も明日も、沢山の幸せに包まれることを想い、念じています。 今日も生かさせてもらい、有難うございます。 感謝、感謝。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタンをクリックお願い致します! ↓ ココをクリック! ![]() |
イグアスの瀧2009-02-12 Thu 00:04
JALの取材で、世界三大瀑布の“イグアスの瀧”に来ている。
![]() 北の空に積乱雲が迫り、雷の音がする。 軽い夕立か、それとも本格的に天気が崩れるのか? 空港でレンタカーを借りて、国立公園のオフィスに向かった。 今日の満月ツアーの詳細を聞かせてもらうと、レンジャーは口々に「夜になれば、雲は晴れて、ツアーは出来るわ」と豪語する。 よっし、その気持ちを信じよう。 満月ツアーは3つの時間帯がある。 20時、20時45分、21時30分。ツアーの所要時間は2時間だ。 予約を入れたほうが良いかどうかを尋ねると、今の季節は観光客でいっぱいだから予約は必須。ツアーの最大催行人数は120名だという。 そんなに人は集まるのか? 3年ほど前に、おとう、おかあと参加したときは、ものの15人くらいしかいなかったのに。 あの時との違いは、ツアーの巡る場所だった。おとう、おかあたちの時は、インテリオールと呼ばれる瀧周遊路を巡り、今回は2年前から始まった「悪魔の喉笛」での満月ツアー。 イグアスの瀧屈指のポイント、悪魔の喉笛が月光に照らされる。考えただけでもワクワクしてしまう。プエルト・イグアスの町で宿を探し、木で作られたコテージのような場所を選んだ。 荷物を降ろし、少しゆっくりしてから、国立公園へ電話する。 「今日の満月ツアーは、ありますか?」 答えはイエスだった。 北の空は、すっかり空け、晴れ間が戻ってきた。 東の空には、薄い虹も出ている。 やっぱりさっきの雷は、浄化の雨だったんだ。 夕日が地平線へ沈む頃、反対側から黄色っぽい、大きな満月(13夜)が昇ってきた。 スーパーで買出しし、すぐに、イグアス国立公園へ車を向けた。 出発は21時30分だったけれど、出来るだけ早く満月ツアーに参加したくなったのだ。園内で21時30分発を最初の20時発に変えてもらう。そして、月光照らされる国立公園内へ足を踏み入れた。 月によって作り出される自分の影を見ながら、先をゆくと、緑色の光が目の前を飛んでゆく。 「おぉ~、これってスペイン語でなんて言うんだっけ?」 「ルシエルナガス」と現地民。蛍が、目の前をポーンポーンと明滅しながら、飛んでゆくのだ。 マチュピチュの夜に見た蛍も感動したけれど、イグアスでも見られるとは。 ガイドと共に、トロッコ列車の駅へ歩いてゆく。 公園入口からの参加者は20人くらいだったけれど、駅にはわんさか人がいた。細かく言うと、このツアーは、夕食込みツアーとツアーのみの2パターンがある。 夕食込みのツアーは95ペソ、ツアーのみは50ペソだった。 (レートは1ドル=3.4アルゼンチンペソ) 食事を終わらせて人たちが、駅で待っていたのだ。 まずはレンジャーのガストンからレクチャーを受ける。 イグアス国立公園は72000ヘクタールの大きな公園で、イグアスの瀧の満月ツアーをしているのは、ここだけ。危険なので歩きながらフラッシュをたいて写真を撮らないこと。野生動物たちは寝ているので、静かに見ること。園内は全て禁煙。ツアーの参加者は全部で60人くらいに膨れ上がり、それぞれトロッコ列車へ乗り込んだ。 空には星がまたたき、オリオン座や南十字星が、煌めく。 あっ、流れ星だ。トロッコ列車が動き出すと、森の中は蛍の光で溢れた。 竹林を通り、バニラのような甘い香りのする木を越し、揺られること30分。 ガルガンタ デル ディアブロ(悪魔ののどぶえ)駅へ到着し、そこから今度は鉄筋で作られた道を1.1キロほど歩く。月光により、陰影が強くなり、モノトーンの世界。色を持っているのは、黄色い月だけ。瀧に近づくにしたがって、どんどん轟音が響いてくる。そして雲のような飛沫が大量に天へ押し上げられてゆく。 月は前方。頭の中は疑問だらけだった。 「こんな月の位置でどうしてナイトレインボーが出るんだろう?」 虹は自分を通して反対側に出きるもの。 おそるおそるのどぶえの展望台へ行くと、そこには怪しくプラチナ色に光る瀧の流れがあった。爆発的な流れ。が、虹はどこを探してもなかった。 撮影をしながらも、虹を追ったが、ない、ない、ない。 そのうちに戻る時間になってしまった。 後ろ髪引かれる想いで戻ってゆくと、次の20時45分隊が、向こうから歩いてきた。しめたと想い、その隊へ紛れ込む。そして見て戻り、途中でまた次の隊へ紛れ込む。 20時からイグアス国立公園へ入り、出てきたのは夜中の24時だった。 月は刻々と色と高さを変えて、瀧を色づけてゆく。でもやはり虹は出なかった。 おとう、おかあと一緒に行った時は、この場所じゃなかったから何とも言えないけれど、サルト・グランデという所で、ナイトレインボーをみんなで見た。 悪魔の喉笛には出ないのだろうか? とにもかくにも、まだ初日。 あと数日あるので、レンジャーや旅行社の人たちに聞きながら、満月と虹と瀧を追い求めたい。月光のイグアスは、想像を遥かに超えた美を誇っているのだから。 今日は、午前中はゆっくりして、午後から瀧へ。そして夜は、また満月ツアーへ出かけようと想う。 JALの機内誌の取材でやって来ているけれど、自分の撮りたいものも大切にしないと。 ![]() 朝はまだ涼しかったけれど、11時の今、プエルトイグアスの町は灼熱になってきた。 直射日光は尋常じゃなく、すぐ黒焦げ・丸焦げになってしまう。 テラスからマンゴーの木が見え、さっき熟したものを拾ってきた。 冷蔵庫でキンキンに冷やして、食べてみようっと。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタンをクリックお願い致します! ↓ ココをクリック! 人気ブログランキングへ |
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