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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

森の時間

海鮮チャーハン(c)

ペルー北部のロケハン、そして多様なリマの姿を見せてもらい、旅が終りを迎えようとしている。
空気の不味い都・リマから、世界で最も空気の美味しい我が家の森まで一気に南下するのだ。
海鮮セビーチェ(c)

リマ空港からチリのサンチアゴまでジャスト3時間。そして国内線に乗り継いで1時間20分でプエルトモン上空にさしかかっていた。
アヒデガジーナ(c)

早朝、眼下に広がる森には深い霧が這うように広がり、その上にオソルノ火山とプンティアグード火山が朝日に染まっていた。
機体は最終着陸態勢に入り、無事に霧のプエルトモン空港に到着した。
パタゴニア上空(c)

さむっ。
機内からタラップに降りた時の第一声だった。
気温は10度以下。リマ北部は30度近かったのに、パタゴニアはもう秋めいていた。
たった2週間の留守で、ここまで冷え込むか?と自問自答しながら、荷物を受け取り、外へ出ると大好きなKさんが待っていてくれた。旅が終わった時、知人や家族、好きな人たちが待っていてくれる幸せを想う。
誰かの言葉にこうある。
『旅は帰るところがあるから、旅なのだ』と。
Kさんは笑顔で「おかえり~」と包み込むように迎えてくれた。
車にザックを詰め込み、Kさん宅へ。
「朝ごはん、食べるでしょ?」
「はいっ!」と返事をすると、出てきたものは焼き鮭やチリ版の五穀米(モテと呼ばれる穀物が入っている)やお味噌汁が目の前に。ひとくち啜ると、僕はトロンとなった。
こんな瞬間、僕はやっぱり僕は日本人なんだなぁ~と実感する
あんまり米とか味噌汁とかにこだわらないけれど、やっぱり口にするとホッとしてしまう。
Kさんとしばらくお話してから、僕たちは一路、我が森へ。
ブルブルッと震えながら、マイカーに乗りこむ。
プエルトバラスの町で買い出しをして、雨もりする車を直してもらい、お昼過ぎに森のキャビンへ戻ってきた。
贅沢だなって感じたものが2つある。
まずはこの空気の美味しさ、鮮烈というほか言葉が見つからない。深呼吸すると胸の奥がスーンと落ち着く細やかな粒粒まで感じられる空気感。そして静けさ。リマの喧噪に慣れていたせいか、最初は何も音が感じられなかった。無音の世界。デッキに出て、ボーっとしていると、やがて鳥の声や、葉のすれる音が耳に響いてくる。
そうそう、この感じだよな・・・と想い、僕はしばらく目を瞑った。
愛するパタゴニアの森へ帰ってきた。
オソルノ山には雪が降り、秋の足跡がもうそこまで近づいてきている。
                                    ノムラテツヤ拝 
オソルノ夕焼け(c)
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テーマ:風景写真 - ジャンル:写真

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