カスティーヨ山の麓2009-03-12 Thu 09:50
昨夜は暴風と豪雨。
満月の光は見られず、僕は早めに寝床に入った。 今朝、目覚めると空には晴れ間が見えている。慌てて飛び起き、窓の外のカスティーヨ山を探すが、やはり厚い雲に覆われていた。ただ窓から入ってくる風が涼やかで、昨日のような蒸し暑さは消えていた。 空気がガラリと変わる。これは、良い傾向かもしれなかった。 8時過ぎ、日の出とともに、カスティーヨ山の雲が活発に動き始める。 巻き上げられ、離れるかと思えば、別の雲が山にかかる。雲は黄金色に染め上げられ、飛ばされ、ちぎれ、またやってくる。山の全貌は見えないけれど、雲の速さ、質、量、どれをとっても迫力満点だった。 ![]() このキャッスル・マウンテン(城の山の意)も山頂を中心にして風が巻く。一方向ではなく、カール地形に風が吹きこみ、円を描くようにして廻るのだ。まるで南部パタゴニアのフィッツロイ山のように雲が離れそうで離れないのはそのためだ。 朝食を簡単に済ませ、今度はセロ・カスティーヨ山より南のセロ・カンパーナ山(2194m)を見にゆく。 カスティーヨ村からオフロードの道をゆくこと20分ほどで、右手にバベルの塔のような不思議な形状の岸壁が見えてくる。 ![]() これがセロ・カンパーナ。去年見たときから気になっていた山だった。 こちらは全く雲がかかってなく、順調に撮影が終了。 ![]() すると、カスティーヨ山の雲も少しずつ薄くなってきた。 村で、家越しのカスティーヨ山を撮影していると現地の人から声がかかる。村人は概して人懐っこい。 ![]() 郊外で、素敵な家を見つけた。 家に近づいてゆくと、足元に真っ白のソフトボールのようなキノコを発見。以前、ガイドから教えてもらった食用のキノコだ。サラダとかに混ぜて食べるらしい。 ![]() ローズヒップが朝日に輝き、まばゆい朱色の実が、たわわに実っている。ここから油を抽出し、日本で流行りのローズヒップオイルを取るのだ。 ![]() カスティーヨ山の頂上が一瞬見え、また雲の中に隠れてしまう。 車でプエルト・イバネスへ。プエルトはスペイン語で港の意味だから、イバネス港となる。 ここから、チレチコというチリとアルゼンチンの国境沿いの町へ、フェリーの渡しがあるのだ。今まで一度も行ったことがなかったので、行ってみることにした。カスティーヨ村からコジャイケ方面へ向かい、途中から右折しイバネス方面へ。 途中で見たラグーナ・モラレスは、湖越しにカスティーヨ山が見渡せる絶景ポイントだった。が、まだ雲がかかっているので、そのままイバネスへ向かうことに。プエルトイバネスは、これまた時代から取り残されるように、寂れていた。ふっと、“矢切りの渡し”が頭に浮かんだ。今の時代、渡しのフェリーだけでは、村が潤うことは無いのだろう。 ![]() ヘネラルカレーラ湖沿いの小さなレストランで昼食を食べ、ガソリンが減ってきたため、近くのアルマセン(雑貨屋)さんで、ガソリン5Lを売ってもらう。この村にガソリンスタンドなるものはなく、ガソリンを 割高だけれどリッター単位で売ってもらうのだ。1L=650ペソ(100円ほど)。 ![]() 帰り道に、もう一度ラグーナ・モラレスへ寄った。 あんなにしぶとかった雲が、あれよ、あれよと言う間に剥がれ、カスティーヨ山の全貌が姿を現した。 ![]() 「ドロミテだ」 僕はこんな風景を、写真で見たことがあった。 ギザギザしている山肌、クリーンな氷河湖、そして草原に建つ現地民のマッチ箱のような家々。 その光景は、まさにイタリアのドロミテ山脈にそっくりだった。 ここは、チリ。 でも、ドロミテそっくりの山々があるのだ。 ![]() 阪根ひろちゃんの紹介で、関野吉晴さんと逢ったことがある。 10年をかけてグレートジャーニーを成功させた冒険家の関野吉晴さんに、僕はある質問をした。 「関野さんにとって南米は世界から見てどのような位置づけですか?」 関野さんは即答した。 「旅をしながら、どこへ行っても、あぁ~、これは南米のどこどこに似てるな、あそこにそっくりだな、と何度も思ったよ。南米は世界中の国々の風景が全て集まっているのかもしれないね」 冒険家として誰もなしえなかったグレートジャーニーを成功させた関野さんの言葉だからこそ重かった。 風景と出逢い、想う。 心底美しいと思った時、言葉にならない大きな感動を受ける。 ![]() そんな時、僕は、地球は全て同じなんじゃないかと想ってしまう。 似ている、似ていないは、問題じゃなく、そこにある生命の幹が同じなのかもしれない・・・・・と。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタンをクリックお願い致します! ↓ ココをクリック! ![]() |
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