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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

パタゴニアの星空

星空1(c)

風景が止まっているようだ。
よく冷え込んだ朝、朝日が山の端から昇り、大地の植物たちに光を蒔いてゆく。水分を含んだ草たちの先端には、まあるい水玉が付き、それらが光の屈折で青、オレンジ、黄色と輝く。
小鳥が木々をせわしなく飛びまわり、そして森の奥へ消えてゆく。辺りは、しんと静まり返り、葉も草も揺れない。オソルノ山の東面に朝日が当たり、空には雲ひとつなかった。まるで時間が止まったような、動画じゃなく静止画のような世界だ。たまに遠くで鳥がさえずる以外に、音も無い。
それにしても昨夜の夜空は素晴らしかった。
天の川が2本、銀河鉄道の夜に出てくる石炭袋もクッキリと見え、光の河の中に南十字星が輝いた。
星空2(c)

月齢は半月の更に半分。夜中になったも、まだ月影は無い。ピュアな闇の中に、星星が濡れるようにチカチカする。地平線近くにはさそり座が大きく寝そべるように光を放ち、心臓部のアンタレスは赤々としていた。
流れ星が、ビュンビュン流れ落ちる。10秒に一回くらいの割合だろうか?
パタゴニアの自然を撮影するようになって、一番驚いたのがこの圧倒的な星数だった。
北中南アルプスの中、大雪山の中、宮の浦岳(屋久島)の中、利尻岳の中、など色々なところで星空を仰いできたが、こんなに恐怖を覚えるほどの圧巻な星空は見たことが無かった。
星はいつでも変わらずそこにある。
でも僕たちの周囲に人工の光があるのだ。たとえ遠くても何キロ先かに人工の光があれば、星は見えにくくなる。
パタゴニアには、我が家の森のキャビンには、その光自体がなかった。
星星の輝きもさることながら、漆黒の持つ輝きを感じたのも、パタゴニアに来てからのこと。
闇は光を引き立てるもの、そんな浅はかな想いは木端微塵に砕かれた。深い深いピュアな闇は、闇自体が発光するのだ。黒光りする。まるで若い黒毛のレトリバーのようにピカピカしている。
ぼんやりと星を眺めていると、キラキラと明滅していることが分かる。それと同じように闇も明滅しているのだろうか。お隣さんの家と天の川を組み合わせて撮影してみる。
お隣さんの家(c)

偽十字星が、南十字よりもさらに大きく、強く輝き、天の川に星の橋をかけている。
フクロウの低い音が森に響き、風が頬を通り過ぎてゆく。
深い闇は五感を敏感にさせる。
目を瞑っても、開けても真っ暗。
闇を漕ぐようにして歩き、三脚を立てて、大木の下でカメラをセット。
そして、天の川を撮影する。
銀河。
銀の河。
星の河。
光の河。
星空3(c)

見た目通りの、光の軌跡が焼きつけられる。
パタゴニアの星空は、人生で一度は見るべきもの、その筆頭のような気がしてならない。
                                     ノムラテツヤ拝
今朝のオソルノ(c)
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テーマ:自然の写真 - ジャンル:写真

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