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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

聖なる山

チーズパスタ(c)

3.65。
パタゴニアは、空前のレートだった。
アルゼンチン、カラファテの両替所は1ドル=3.65アルゼンチンペソ。以前にアルゼンチンが破産したときは、1ドル=1ペソが、一夜にして1ドル=3.4ペソへ暴落した。が今はそれよりも更に低くなっているのだ。
年金を国家運用しようとしたのに加え、大統領が元大統領の旦那の助言無しでは何も決められないという不安定さが、この対ドルに反映しているのだろうか? このまま行くと、アルゼンチンは、2度目のデフォルトを経験することになるかもしれない。
今朝はレンタカーを借りて、買い出し。昼は友人のルーベンが勤めるラスドゥーナスのクアトロケソのパスタを食べた。パタゴニアに数多くイタリアンレストランはあるが、僕はここのチーズパスタが最も好き。今日も美味しく頂いたら、この前のパタゴニアツアーで使ったという理由で、ルーベンは気を効かせ無料にしてくれた。まったくもって、パタゴニアの民は温かい。感謝、感謝。
カラファテの町を出発し東へ。カラファテの空港を越えて、10キロほどいったところで左折。ここで、もう聖なる山“フィッツロイ”の頂きが、姿を見せた。
カラカラ(c)

この一年半で6回、この南部パタゴニアを旅した。春夏秋冬の季節を全て歩かせてもらった。
セロトーレ(c)

フィッツロイ(3441m)とセロトーレ(3102m)の聖山が鎮座する南部パタゴニアは、僕にとって世界で最も美しい場所かもしれない。
道とフィッツロイ(c)

ネパールのエベレスト、チベットのカイラス、ペルーのアルパマヨなど、名だたる山も見てきたが、僕はパタゴニアの方が聖なるものを感じてしまう・・・・・。
カラファテから220キロで、フィッツロイの麓のチャルテン村へ。車で飛ばすこと2時間半の距離だった。
チャルテンの町(c)

一昨日、昨日と雪が降ったのだろう。フィッツロイ山群は見事な雪化粧をして、森は深紅に紅葉、例年より早く色づいていた。
紅葉(c)

フィッツロイは別名チャルテンと呼ばれ“雲を吐く山”を意味する。その麓のチャルテン村で、宿を値切って交渉成立。大量の荷物を運び入れた。
この村へ来るのは、これで何度目だろう? 数えるとこの10年で、15回目の訪問だった。何度来ても、この圧倒的な自然を前に言葉を失う。風景も、場のエネルギーも、佇まいも全てが特級だった。
午後6時40分。
フィッツロイの南側、セロトーレ側に夕日が静かに沈んでゆく。
雲を吐く山(c)

雲は少しずつ確実に色を深め、染まってゆく。
夕焼け3(c)

フィッツロイ上空の雲が焼け始め、空気は凛としてゆく。
フィッツ夕焼け(c)

大空を焦がすように燃え尽くし、やがてフィッツロイ山群にフェニックスが現れた。
フェニックス(c)

『何も願わないで手を合わせる』
フィッツロイに全てを託した今回の旅。聖山への旅は、見事な夕焼けからスタートした。
振り向くと、十二夜のお月さまが煌々と昇ってきていた。
                                    ノムラテツヤ拝
お月さま(c)
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テーマ:自然の写真 - ジャンル:写真

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