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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

パイネの夕焼け

パイネへの道(c)

晴れ間が見えた。
急いでレンタカーに荷物を詰め込み、買出しをして出発だ。
プエルトナタレスから、去年出来た最短ルートで、チリ屈指の“パイネ国立公園”へ向かう。
ブルースチャトウィンの不朽の名作「パタゴニア」の舞台にもなったミロドン洞窟の脇を通り、2時間でパイネ国立公園最南部へ。ここで入場料4000ペソ(700円)を払い、2ヶ月ぶりのパイネ国立公園に足を踏み入れた。パイネには、雲がうっすらとかかっているが、パイネグランデ(3050m)、パイネの角(2600m)、そしてパイネの塔(2850m)の山並みが見渡せた。
大空にはコンドルが何羽も旋回し、獲物を狙っている。一度は僕が獲物に見えたのか、近くまでやってきてギロッと睨まれた。
パイネ国立公園は、アルゼンチンのフィッツロイと並ぶ聖地とされている。
原住民は、パイネ山の事を神の山と呼び、畏敬の念を抱いてきたのだ。
園内で最も好きな場所、ウェーバー橋のたもとで車を降りる。ここは無風になるとパイネ山群が鏡のように映り込む絶景ポイントだが、今日は生憎風が吹いていた。氷河湖の水をコッヘルに汲んでラーメンを作る。体感気温は氷点下に感じるけど、あつあつのラーメンが体にしみた。
そしてペオエ湖の脇の空き地を、今日の宿泊場を決めた。
ペオエ湖(c)

キャンプ場でテントを張っても良いけれど、パタゴニアの秋や冬は、おおむね車の中で寝ることにしている。もしも寒くなれば暖房を付けられるという利点もあるが、何よりピューマから身を守るためだ。
日が落ちてくると、円盤のような雲が次々とうまれる。風が不規則に、変幻自在に吹いている証拠だ。時折、車がグラリと揺れるから、風速60mはいってるだろう。
パイネグランデの岩肌には、南極ブナのニレとレンガが赤く紅葉し、パイネの角にはジェラートのような雲がかかっている。グランデ瀧は、轟音を響かせ、氷河は蒼々としていた。
パイネの角(c)

「蒼」
これが、パイネの語源だ。現地語のペイネは、蒼を意味する。ペイネが転訛し、パイネとなったのだ。つまりこの山は、昔から氷河や湖で輝く蒼の世界だったのだ。
風は南から北へ流れ、天候の安定を示していた。蒼い湖には、まるで海のような高波がたち、大地は草紅葉。空にはクジラのような雲が浮かんだ。
くじら雲(c)

目を瞑って、風の音だけに集中すると、風が歌っているように聞こえてくる。
「SONG OF WINDS」
風が唄い、聖なる地を、更に清めてゆく。
日がパイネの南側に落ちると、雲がみるみる焼けてきた。
パイネの夕日(c)

まるで、空が火事になってしまったのかのよう。火花が弾けているような雲には、恐怖感すら感じてしまった。
火花のような夕日(c)

アキコさんに浜辺に立ってもらって、自然の雄大さを引き立てる。最高の夕焼けだった。
最高の夕焼け(c)

やがて、日が完全に落ちると、照り返しが起こる。多種多様の雲が、変幻自在に宙を駆けてゆくのだ。
照り返し(c)

パイネグランデにかかっていた雲がようやく離れ、夕闇が迫ってきた。
午後7時半、夕日が完全に沈むと、闇とパイネ山群の境目がなくなり、辺りは漆黒に包まれた。
                                  ノムラテツヤ拝
照り返し2(c)
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テーマ:自然の写真 - ジャンル:写真

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