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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

幻の日本酒

ネチ男山(c)

「久し振り、そしてお帰り」
JR高円寺駅のカフェに、貿易会社の社長Tさんは現われた。数分後Tさんの奥様Mさんの姿。
「てっちゃぁ~ん、久しぶり、元気だった?」
相変わらず明るくキャピキャピしている。
6時半過ぎ、成城石井の部長MA君が改札を出たところで手を振っていた。
これで全員集合。
高円寺の商店街を通り、今日の店は「串兵衛」。
ここは知る人ぞ知る日本酒の美味な串屋、Tさんの愛する店だった。
「今日は帰国祝いに、まだ未発売の日本酒を持って来たよ」
成城石井の部長MAくんが手に持っているのは、なんと来月から伊勢丹に並ぶという1万円の日本酒だった。
「味は?」
「まぁまぁ、飲んでみてよ」と自信満々の顔つきに、心が躍った。
串兵衛の店は地下にある。階段を下りてゆく両側には、びっしりと日本酒のラベルが貼られていた。14代はもちろん、飛露喜などの手に入りにくいものばかり。
入口(c)

串屋で、まず頼んだのが、飛露喜の無ろ過と、能登の銘酒・宗玄。口に含むと、無ろ過らしい、どっしりした味が広がった。
無ろ過尽くし(c)

串を何本か頼み、それらを宛てに食べる。季節は違うが、銀杏の美味しいこと。春キャベツは甘く、鳥膝の軟骨なんてのも絶品だった。
そしてMAくんが持ってきてくれた1万円酒「nechi」を飲むことに。
「これは2005年だけのビンテージ酒でね。特上米を使ってるんだよ」
糸魚川のネチ男山が作った幻のお酒だ。
ネチ(c)

グラスに口を付け、口内に入れた瞬間、倒れそうになる。
最初は鮮烈な水、そして後から無ろ過っぽい味がじわぁ~っと津波のように押し寄せてくる。そして舌がピリピリし始めるのだ。
強烈の一撃だった。
「どう?」
「完璧だね」
「でしょぉ。ここの杜氏さんは、この味を求めて今も作り上げてるの。2005年だけしかこの味が出なかったんだ。つまり天が作ったお酒って言ってるよ」
蓋を開けてからも、ワインのように味が変わってゆく。
時間がたつにしたがってピリピリ感はなくなり、なんと最後はメロンのような味になってしまった。
「1万円っていう値段は勝負してるけれど、でもこの味ならね・・・・・」
MAくんの言葉に思わず頷いてしまった。
日本酒って、本当に美味しいと想う。
世界一手をかけた細やかなお酒、それが日本酒なのだから。
その後、Tさんの家に泊めてもらい、早瀬浦を飲ませてもらった。
2人で7合飲んだところで、お休みなさい。
翌朝、東京は綺麗な光に包まれていた。
                                 ノムラテツヤ拝
ネチ男山(c)
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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