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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

美酒の集い

奥多摩(c)

美酒の集いに出かけた。
場所は東京の山奥。生まれて初めての奥多摩に、僕の東京観が変わった。
いいじゃん、おくたま。いいじゃん、とうきょう。
サラサラの清流が流れ、人工林だけれど、森もある。
軍畑の無人駅で降りて、川沿いをゆくと、バーベキュー場の「あかとんぼ」が見えてきた。
炭焼き(c)

奥へゆくと囲炉裏の切られた畳の座敷があり、今日の舞台が広がった。
奥多摩に、銘酒がある。
誰もが知る沢ノ井がそれ。沢ノ井の社長、小澤さんが、蔵から美味しいワインや日本酒を持ってきてくれるのだ。
天ぷらを揚げてくれるのは、Bさん。
うなぎ白焼き(c)

タケノコの包み焼きやウナギを焼いてくれるのはナイスガイのIさんだ。
タケノコ包み焼き(c)

蒸してから焼く江戸風の白焼きを頂きながら、社長が「売ることの出来ないお酒なんだけど」と「蔵守」という古酒を持ってきてくれる。
蔵守遠目(c)

1996年に仕込んだものだから、もう12年のビンテージもの。
味はやはり、紹興酒に近くなっている。まろやかでふくよか、飲めば飲むほど食欲が増すお酒だった。
蔵守(c)

社長の蔵を見せてもらうと、そこには最高のワイン・シャトーラトゥールの1954年ものが。55年もの。社長と同年のワインだった。
ラトゥール1954(c)

それからは怒涛。
マルブゼ(c)

マルブゼの1996年ものが来たかと思えば、ノーラベルの無ろ過生酒も出てくる。
ノーラベル(c)

美酒の集いの面々たちとお話させてもらうが、とにかくBさんが最高。
ここには細かく書けないけれど、神主をされている。
「人様に偉そうな事を言う人は、みんな信じちゃいけないよ」から始まり、もう爆弾のよう。笑いの聖地・大阪なんばでも十分通用する面白さだった。
だいすき、Bさん。
ソムリエマスターのKさんもいらっしゃり、一本一本、丁寧にワインのことを教えてくれる。
マルゴー(c)

マルゴーに移り、最後は日本で作られた名ワイン、ルミネールでしめた。
ルミネール(c)

奥多摩のせせらぎの音を聞きながら、美酒に酔う。
周りには大好きなひとたち。
ゆっくり気品ある小澤社長の話ぶりに、時間のたつのも忘れてしまった。
初めてお逢いさせてもらった社長は、まさに現代に生きる公家・貴族のような素敵な方だった。
                                  ノムラテツヤ拝
美酒の集い(c)
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お誕生日

きびなご(c)

井の頭公園を貿易会社社長のTさんと歩いた。
「てっちゃん、昔、ここは東京の水源になっていたから井戸の頭、井の頭公園なんだ」
博学のTさんが、いつもながら色々な事を教えてくれる。
中央沿線沿いの町で、僕が愛して止まない場所が2つある。
それが吉祥寺と立川だ。立川は全てのものがバランスよく配置され、吉祥寺はレトロなものと最新のものとのミックス感が何とも良かった。
井の頭公園を散歩し終わるとTさん宅へ。奥様Mさんが、胸の前で手を振りながら笑顔で迎えてくれた。今日はTさんのお友達の誕生日。そのパーティーがT家で開かれるのだ。
サラダ(c)

ピンポーン。
まずやってきたのは、O夫妻。
今日誕生日のOさんは大学の先生で専攻は国文、宮沢賢治のスペシャリスト。対して奥様は一級建築士で、今は高速道路のSAの設計などを担当されていた。
大好きなキビナゴや、マグロの赤身をつつきながら、まずはエビス&ギネスのミックスビールを頂く。
「これ、持ってきました」
東京の酒(c)

Oさんが、自分へのご褒美として買って来られたのは、東京の十右衛門の無ろ過中取りと、秘酒の大七、箕輪門だった。
箕輪門(c)

かつお出汁の効いたアボガドサラダをつまみながら、日本酒へ移行。
アボガドサラダ(c)

もう一度玄関のチャイムがなった。
N夫妻だ。
Nさんは厚生省の官僚、奥様のRさんはイラン人で見とれてしまうほどの美女だった。踊るマハラジャとかに出てきそうな感じ。
「今日はイラン料理が出るから」
パーティーが始まる前に、Tさんから教えてもらっていた。
イラン料理って何? 僕は、予想すら出来なかった。
Rさんお手製イラン風のポテサラと、ドルマとよばれるめはり寿司のようなものが出された。
イラン風ポテサラ(c)

ポテサラも、ドルマも今まで感じたことのない味。
ドルマは豆と肉をミックスしターメリックやらクミンやらが絶妙に絡む。それを葡萄の葉っぱでくるんだものだった。
イラン料理ドルマ(c)

イラン、うまいっ!
そしてOさんの誕生パーティーが始まる。
ケーキ代わりに、自分が持っていった栗きんとんで、おめでとうございます!
どんどんお酒がすすむ。
Nさんは日本酒のスペシャリスト、お勧めを聞くと、順位は以下のようになった。
1位 高知県 亀泉(無ろ過)
2位 三重  而今(じこん)
3位 岐阜 鯨波
4位 新潟 第一酒造 山間(ヤンマ)
5位 香川 凱陣(がいじん)
日本酒って、本当に奥深い。そして、Nさんが持ってきてくれた黒牛に、完全にノックダウンされた。
にがい、うまいの500万石のブレンド酒だった。
黒牛(c)

「じゃぁ、そろそろ」
もつ鍋(c)

福岡出身の奥さまMさんが「本場のもつ鍋」を作ってくれた。
もつ鍋出来上がり(c)

そして最後は、本物のチャンポン麺で、締め。焼きそばよりも太く、パスタのように油でコーティングされた玉子麺という感じ。
ちゃんぽん麺(c)

麻薬的な美味さに、お腹ポンポンなのに、食べていた。ふと気づいたら、Tさんはスヤスヤ、寝息をたてて、夢の中へ旅立たれていた。
Nさん夫妻は途中で帰り、Oさん夫妻と午前2時までバースデーパーティーは続いた。
                              ノムラテツヤ拝
TさんとNさん(c)
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いのちのバトン

カレーうどん(c)

2割、いや3割くらいだろうか? 
JR名古屋駅の構内でマスクをしている割合だ。
大阪の友人からは、8割から9割がマスクをしていると聞いていたので、名古屋はまだ緩いのだろう。
今日は出版の仕事で、上京するが、空はどんよりと曇っている。チリの冬のような重い雲。でも、意外にこんな雲も好きな自分がいた。
昨日は、色々なことを考える日だった。
お昼に、大学の広報出版室のTさんとSさんと一緒に、うどんの岡崎屋に出かけた。ここは、文章の先生が愛して止まなかった店だ。
「てつや、うどん好きだろ、この辺なら岡崎屋がぴかいちだから、行こう」
数年前、連れていってもらった時、僕は味噌煮込みとカレーうどんを食べた。
両方とも味は秀逸。その印象が強く残っていた。
午後からは文章の先生のお宅に伺うことになっていたので、先生を想いながらカレーうどんを注文した。
激ウマ。
カレーの粉っぽい味と、甘味が抑えられたパンチのある口当たり、そしてどこまでも落ちてゆくような深い後味に、僕は我を忘れ、がっついた。
午後2時。愛知県春日井市高蔵寺のお宅へ伺った。
奥様が玄関から出てこられ「よく来てくれたわね」と一言。久しぶりの再会だった。
もう何年前になるのだろう? 文章の先生から誘われて、飲み明かした夜。楽しそうに、優雅に飲まれる方だなぁ~と、しみじみ想った記憶がある。
入って、居間のすぐ左手に文章の先生の遺影と遺骨、その脇にはラフロイグのシングルモルトウィスキーが置かれていた。
御仏前を供えさせてもらい、手を合わせる。
「先生、チリから戻ってきました。先生のお陰で、今の自分があります。教わったことを、少しでも周りに伝えていけるように、顔晴っていきます」
奥様と話すと、知らなかったことがザクザクと出てきた。
文章の先生は、重い病気にかかっていたのだ。でもそのことを本人は一言も周囲に言わず弱音を吐くことなく、あっという間に倒れ、すぐこの世から旅立たれたのだ。
いかにも先生らしい、でもあまりに存在感があるので、周囲の人は受け入れるのにどうしても時間がかかってしまうのだろう。
奥様と話していると、手が無性に熱くなってきた。それが自分の気でないことは分かっていた。
いったい、どうして? 答えは、すぐに出てきた。
「納骨のことを考えてるんだけれど、どうしてもまだその気になれなくて」
奥さまの気持ちに、また手が熱くなった。
「先生は、今、まだここにいらっしゃいますね」
「そうです、私もそう想っています。でも私が早く納骨してあげないとあの人はあの世へ行けないですものね」
また手が熱くなる。そして、勝手に口が動いていた。
「奥様が想われる時に納骨されれば良いと思います。先生はたぶんそれを望んでいると思います」
あれは、きっと先生がエネルギーが、僕にそう言わせたのだろう。
それから、奥さまは先生との思い出話を語ってくれた。
いつも一緒で、先生が計画を立てて、色々なところへ出かけられた。何でも自分でこなす先生のことを、心の底から愛していた。
その想いが移った。
「あなたが少しずつ大きくなって、上達してゆく姿を、うちのは本当に嬉しく思っていてね。てつやは、てつやは、ってよく話していたわ」
僕は一体、どれだけの人のお陰で、今、立たせてもらっているのだろう。生かさせてもらっているのだろう。
今まで逢ってお世話になった人、そして出会いすれ違っていった人、まだ出会わずこれから逢うだろう人、そのすべての人のお陰で、僕はいる。
先生に会う前に、大学院時代の担当教授にも逢ってきたけれど、やっぱり今の自分に関わっているんだなぁ~ということを強く感じた。
「先生、また来ます」
手を合わせ、僕はおいとました。
そして家に帰って、夜原稿を書いていたところで、友人のAさんからメールをもらった。
そこには横浜の木工職人Aさんに待望の長男が生まれた知らせが書かれていた。
すぐさま奥様のMさんに電話してみる。一回、二回。今日生まれたばかりだから、休まれているんだろうな、と電話をきった。
2分後、電話がなり、出ると奥様のMさんだった。
「おめでとうございます」
「ありがとう」
「本当に良かったねぇ、男の子なんだって」
「そうそう、男の子」
「たまのように可愛いんだろうねぇ」
「やっぱり、わかる?」
「ふふふ、近々、逢いに行きますね」
なんてやり取りをしながら、電話をきった。
天へ昇る生命と、天からやってくる生命。
その境は一体なんだろうと想う。
かたや姿形は無くなり、記憶の中で生き続ける生命。
かたや真っ白な記憶な中で、姿形が生まれてゆく生命。
生まれ、死んで、また生まれる。
めぐるいのち。そしてまわるいのち。
生命とは、生きるとは、何て尊いものなのだろう。
人の手によって、いのちは生かされ、人の手によって、送り出される。
今日、生かされいる奇跡を、どれだけ実感し、そこに感謝の念を込めるか。
日々の、人生の流れは、究極そんな想いに左右されてゆくのかもしれない。
先生、奥様や僕を含め、残された人々をどうぞお守り下さい。
AさんとMさんの間に新たに生まれたまばゆい赤ちゃん、必ず逢いに行きますからね。
                                 ノムラテツヤ拝
大学の構内(c)
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夏菓子

森の水鏡(c)

大好きな、大好きな夏菓子が出てきた。
岐阜で夏菓子といえば、大垣市の水まんじゅうが有名だけれど、僕は真っ先に中津川の銘菓店「一休」にある“森の水鏡”を推したい。
これは栗きんとんが、葛(くず)の中に、まあるく包まれている逸品。
これを冷蔵庫で冷やしてから食べると、口内はもう夏、ナツ、なつ。
水鏡2(c)

夏の到来を、夏の風が吹きわたる。和のお菓子は、深遠で奥深いもの。
日本に生まれたことに、和菓子と出逢えたことに、心から感謝し頂きます。
ジャパンには、まだまだ地元しか知らない美味しいものが沢山眠っている。
                              ノムラテツヤ拝
水鏡3(c)
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日本の銘菓

栗きんとん箱(c)

甘いものが苦手だ。
昔はそうじゃなかったけれど、最近は、とんとダメ。
シュークリームなんて食べると、ジンマシンが出てしまうから重症だ。
洋菓子はほぼアウト。でも和菓子なら食べられるものがある。
それが日本が誇る和菓子、それも岐阜の和菓子の「栗きんとん」だ。
昔は10月に栗きんとん屋にのぼりがたつと、よく家族で買いに出かけたもの。でも、今は季節感がなくなり、9月~5月くらいまでは出回っている。今日は、物産展で恵那福堂が来ていることを知り、早速出かけた。
箱を開けると(c)

栗きんとんの話を東京や大阪で話すと、大抵の人はお正月に出てくるきんとんを想像する。が、栗きんとんはまったく別物。クリと和三盆(わさんぼん)で練ったものを茶巾で絞るのだ。
今から10年ほど前、どこの栗きんとんが自分に一番合うのかを知りたくて、中津川市内の全ての栗きんとん屋に足を運んで、一個ずつ購入した。栗きんとんは一個、大体200円が相場だ。
そして公園で、そのひとつひとつを開けて、食べて、順位を決めた。
ジャジャジャーン。
不動の順位は、1位・松葉、2位・一休、3位・松月堂、4位・川上屋だった。
松葉はクリそのものの味。渋皮の味さえ彷彿とさせる。
一休は極めて上品、女性陣が喜ぶ味だろう。
松月堂は松葉と一休の間のような味。
有名な川上屋は、バランス重視だった。
恵那福堂は、僕にとってそれよりは劣るけれど、今食べられるということを考えると、購入する価値が十分あった。
栗きんとん(c)

ひと箱買って、家で食べてみる。久しぶりの栗きんとんのまろやかな味。少しだけ甘いけれど、満足のいくものだった。
茶巾しぼり(c)

岐阜に世界に誇る銘菓がある。その名は栗きんとん。
ご興味ある方は、一度、ご賞味あれ。
                                  ノムラテツヤ拝
日本の銘菓(c)
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