写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

北の幸

ライラック(c)

バスで札幌市内へ。
降りた瞬間、えもいわれぬ甘い空気に包まれた。
周りを見渡しても花はない。森の香りでもないし・・・・・。
今までの人生で、この香りに包まれた経験はなかった。
ライラック。
モクセイ科ハシドイ属。英名がライラック。フランス語はリラ、和名はムラサキハシドイだ。
札幌の空気は、香水の原料にもされる花香で、はんなりと包まれていた。
ライラック祭りとか、噂では聞いていたけれど、こんなに町中が香るなんて考えてもみなかった。
気温は11度くらい。肌を撫でるようなサラサラな感触だった。
道産子とリラは密接に繋がり、春がやってきて、急に冷えた日は「リラ冷え」と言うらしい。
夜は、北の大地らしく、魚貝尽くし。
北の幸(c)

ホッキ貝やつぶ貝などが光り輝き、イカ、タコ、海老、ホタテ、マグロが踊る。
北の幸2(c)

じゃがいもで作った、ほくほくコロッケをアクセントに。
じゃがいもコロッケ(c)

そして変わりどころでは、エゾシカの肉。
えぞ鹿缶(c)

昔、背ロースをニンニク醤油で食べて、失神しそうになってけれど、今回は別の部位を味噌漬けとやまと漬けにしたものを頂く。
味噌の方は、首を傾げてしまうけれど、やまとはさすが。お酒の肴に、ドンぴしゃりだった。
料理の都・京都から、食材の都・北海道まで飛んできた。
日本は広い。
そしてその何倍も食の世界は濃く奥深い。
                                  ノムラテツヤ拝
エゾシカの中身(c)
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蝦夷国へ

フライト(c)

出発時間15時55分。
早めに行って、ラウンジで原稿書きか読書をしていようかと軽い気持ちで出かけた。
中部国際空港着、12時40分。
ANAのチェックインカウンターで聞いてみる。
「航空券はマイルで取得したんですけど、時間は変更出来ないですよね?」
田舎っぽいアテンダントのお姉さんが、えぇ~っと、と必死に調べてくれる。
「あっ、変更できますよ。 その前の便ですと、13時発ですね」
時計を見て、今度はアテンダントを目が合う。
「ちょっと無理ですよね?」
「いえ、やってみます」
周辺にいたアテンダントも手助けに入り、総勢4人で何とか13時発に変更成功。そのままアテンダントに手を引かれるように、僕は荷物検査場へ連れていかれた。
中部国際空港で、何かお土産を買っていきたかったのに。
9番ゲートに行くと、やっぱり最終搭乗アナウンスが流れ、僕も押し込まれるように乗った。
座席は2B。
なんでなんで?  
なぜか変更してもらって、ビジネスにアップグレードされている。
よく分からないけれど、手を合わせ、座席に着いた。
ANAの機内誌「翼の王国」を読んで、今、自分が書かせてもらっているJAL機内誌のスカイワードと読み比べる。
機体はすぐに飛びあがり、雲の中へ。今日は雲が多いためか、やたら揺れる。パイロット曰く、高度変更を管制に要請しているという。少し低く進路がとられ、確かに揺れは小さくなった。
青森上空。
下北半島の斧のような形が雲の切れ間から見えてくる。あの森に生息する猿たちは今も鳴いているだろうか?など想像の旅に出てみるのも飛行機旅の醍醐味だ。
北海道へ入ると、雲が少しずつ薄くなってきた。
千歳周辺に入ると、僕は額をぺっとり付けて、眼下の風景に見入ってしまう。
千歳上空(c)

水の張られた田んぼ。耕された畑の中に、米粒のような家々が建っている。
家の風景(c)

それは僕にとって眩しい風景だった。日本らしいパステルカラーの淡い自然。そして遠くに尖った恵庭岳や支笏湖が見えてくる。
恵庭岳(c)

それにしても田んぼと田んぼの間に森があるのは、一体なぜだろう?森の境界線(c)

飛行機は更に高度を下げると、原生林の新緑が見えてきた。
まぶしい。
カラマツはもう新緑から夏の姿に変わろうとしているけれど、白樺は芽吹いたばかり。
空気に溶けていきそうな、薄緑色だった。
まさに山菜のシーズンが、今盛りを迎えていた。
機体は逆噴射を決め、千歳空港へ吸い込まれてゆく。
外に出ると11度。結構寒いかなと思ったら、風がないので、大したことはない。でも、空気感は流石に凛としていた。
千歳空港内を少し散歩すると、あんなに熱狂的に売れていた生キャラメルが、もう普通に売られている。
ほんと、日本って、飽きやすいというか流行が早いというか・・・
それにしても、千歳空港のこのお菓子や魚、チーズなどの試食の数たるや、相当なものだと想う。もしこれ以上の試食がある国内空港を述べよと言われたら、僕は鹿児島空港しか思い当たらないだろう。
15時13分。
千歳空港から丸山公園行のバスへ向かう。
久しぶりの北海道、今週末の土日にかけて、T旅館で“ポセイドンの宴”が始まる。
日本各地から、ここ蝦夷の国へ、友が集結するのだ。
舞台は北海道。存分に走らせてもらおうと想う。
                                 ノムラテツヤ拝
恵庭遠望(c)
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吉田屋料理店

チーズサラダ(c)

夕方は、今、京都っこ達から絶対的な信頼を置いている、予約の取れない吉田屋料理店だ。
ここは料理人・吉田裕子さんが紡ぐ絶品まごころ料理が頂けるお店だ。
京都御所近くの御幸町のとある一角にある。
小さな「吉田屋料理店」の看板が見えた時には、ホッとしてしまうほど見つけにくかった。
京都らしい長い通路を通り、玄関を開けると、そこにはシンプルな日本家屋が広がっていた。
「いらっしゃいませ」
料理人の吉田裕子さんとスタッフの2人だけで切り盛りするお店。
ある有名女性作家曰く「京都には吉田屋料理店だけあれば良いのです」と言わしめた名店だ。
どれを食べても美味しいらしいので、まずはサラダから。
飲み物はもちろんシャンパン。
チーズサラダが出され、食べてみると、随分味が濃く塩味が効いている。レッジーナをもっと濃くした感じ。ヤギの肉かな?と思って聞いてみると、羊のチーズだった。サラダと一緒にくるんで食べて納得。ありえないくらい計算されたバランス、そしてハートを打ち抜く心の味。
次は青ネギ入りのオムレツ。
青ネギ入りオムレツ(c)

これも新鮮な有機ネギがアクセントになっているけれど、オムレツの中に出汁が入っている。
でもその出汁が何から取られているか全く分からなかった。
タコとアサリのワイン蒸しで、僕はノックダウン。
タコとアサリのワイン蒸し(c)

チリ、パタゴニアで何度も何度も作った一品が、これもまた隠し味が潜んでいた。その奥深さとバランスに、僕は言葉を失うしかなかった。
全ての食が、なんて生命感に満ちているのだろう。食材そのものが、生命を吉田さんに喜んで渡しているみたいだ。
赤ワインに移り、4品目の手羽先にブルーチーズソースをかけるなどの独創的な一品も、小憎らしいほどよく似合う。
手羽先のブルーチーズがけ(c)

そして、麺フェチの僕は、吉田屋料理店で最もショックを受ける一品に出逢うことになる。
えび麺と書かれていたけれど、坦々麺に細麺、上には山盛りの野菜が載っていた。
スープを飲むと、優しい坦々麺の味。そして麺を食べると、海老の味がした。
坦々麺にも負けずに、海老の味がクッキリと迫ってきた。
「これって?」
「中国で作られている麺なんですけれど、海老をすり潰して麺に練り込んでいるみたいです」
裕子さんがそう教えてくれた。
もう、ダメ。
「これも美味しいですよ」と吉田屋さんが唯一置いている伏見の日本酒だった。料理に込められた真心もさることながら、確かな腕、絶妙のバランス、そしてそれを盛る器も素晴らしい。まさにおもてなしの心がひしひしと伝わってきた。ここなら毎日通いたい。リピーターが多いのもうなずけた。
旬のものしか出さないがポリシーなので、一週間に一回はメニューが変更され、一ヶ月後にはお勧め料理が全部代わってしまうという。
季節にあった勢いあるものを頂く。それが彼女たちのはんなりした笑顔の秘訣だった。
愛知県常滑に住む人気陶芸作家のCさんが共通の友人であったことも、話を更に盛り上げた。
次回は秋、ラフランスとブルーチーズのサラダ、いちじく料理を頂きに、また寄らせて下さいね。京都に愛すべき店がある。吉田屋料理店、はっきり言ってウマすぎる。
                               ノムラテツヤ拝
えび麺(c)
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隠れた名店

厨房風景(c)

京都に隠れた名店がある。
友人に「あそこはてっちゃん好みだから」と連れて行かれたお店。
まず一軒目は京都駅から30キロ北、高雄方面にあるTという店だ。
かやぶき屋根が立ち並ぶ一角に、ぽつんと店がある。
中へ入ると、まるでおばあちゃんの家に帰ってきたような懐かしさ。
室内風景(c)

主人のケイタくんが出迎えてくれる。先代がこの店を築き、味を極め、それをケイタ君が伝承した。
「あちらへどうぞ」
簡易コンロが置かれた机には、今日のメインの具がどっさりと山盛りされていた。
キジ鍋の具(c)

野菜は畑で、キジも猟師から、こだわりぬかれたまばゆい生命だった。
厨房には焼酎から日本酒、ワイン、ウィスキーまで何でもそろい、日本酒も普通に義侠や飛呂喜なんかが置いてある。もちろん14代も完備。
「じゃぁ、まずこの鍋を」
簡易コンロに火がつけられ、グツグツと泡をたてる。
鍋からは山椒の香りがたちのぼり、口に含むと、肉の甘みとナッツ系、山椒や無数の香辛料の味がした。
「これは、やばいかも」
口に含めば、含むほど、飲みたくなる味だ。
そこに九条ネギや京ネギ、ミョウガ、ワラビ、シイタケ、エノキ、ヒラタケ、ミツバ、水菜が入れられ、しなるまで煮込む。
「これって、中火にしないんですか?」
「強火のままでお願いします」
なんでも、弱火にすると、スープが濁り、味も一段落ちてしまうという。
グツグツ、グツグツ。
麻薬スープ(c)

キジは野性味満天、野菜たちはスープにまさに絶妙に絡み合い、麻薬のような味だ。
脳からは一気に快楽物質が溢れ、ドーパミンだらけ。
ぼぉ~っとして、お酒も飲んでいないのに、足腰が立たなくなる。
先代は京都の高級料亭の社長からこの味を1億で売ってくれと懇願され、断ったという。
それを断る心も凄いけれど、見事にケイタくんに伝承していることが素晴らしかった。
ケイタくんは今、ワインにはまっているけれど、その前には日本酒にどっぷりと浸かっていた。
「ぶっちぎり美味いのは?」
「島根県 王禄の丈径(たけみち)ですね」
笑ってしまったけれど、味はシンナー系だという。またはセメダイン系。
日本酒を極め、行きつく先には、シンナーが待っているのかもしれない。
あまりの極めぶりに、以下に列挙する。
2位 凱陣  亀の尾 または赤岩小町
3位 天の戸 亀の尾仕込み
4位 琵琶のさざ波 無ろ過手詰め吟醸(黒ラベル)
5位 大次郎(滋賀) 無ろ過純米吟醸うす濁り
飲んだことの無いお酒ばかりだった。
今度はこのT店で、日本酒会を開催することをケイタくんと約束し、僕は京都市内へ戻った。
                              ノムラテツヤ拝
キジ鍋完成(c)
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講演

外観(c)

講演をした。
今日の対象は小学生。彼らのまばゆい夢が叶うように、講演させてもらった。本当に小学生って可愛いなぁ~と思う。これからどのようにでも変化出来る無限の可能性があるんだから、そんな面白い時期って無いんだろうなぁ。
話の内容は南極のペンギンの話と、10歳からの一人旅の話などをさせてもらう。聞いてくれた人の一人でも良いから、10歳の誕生日と共に一人旅に出かけてくれたら、これ以上嬉しいことはない。
講演が終わると、2次会だ。
お刺身にお寿司。
打ち上げ寿司(c)

岩手から取り寄せた巨大なシャコなどがテーブルに並んだ。
しゃこ(c)

地元の人から聞いた話では、シャコは昔、取れ過ぎて畑の肥料にしていたというから、驚いてしまう。シャコのオス、メスともに食べてみる。するとメスの中からルビー色に輝く卵が出てきた。なんとも上品で、のっけからひっくり返りそうになる。
お酒はイタリアのスプマンテ・フランチャコルタから始まり、日本酒の義侠へと続く。
海ブドウなんかも久しぶりに食べさせてもらう。
ほんと日本って、本当に色々な食べ物があると思う。
今日のお昼に連れていってもらった、お蕎麦屋さんも美味かった。
日向(c)

名は日向(ひむか)。辛味そばを頂いた。
辛味そば(c)

そしてお酒がすすんでゆくと、今日主催にたってくれたYさん夫婦の話題に。
仲睦まじく、旦那さんが奥様を本当に心から愛しているんだなぁ~しみじみ感じさせてもらい、自分のことのように嬉しくなった。
講演の主催にたたれる大変さを自分も知っているので、こんな素晴らしい2次会を開けるYさんの力量に感謝、感謝だった。
Yさん、どうも有難うございます。そしてお疲れ様でした。
次は秋ですね。またの再会を心から楽しみにしています。
                                 ノムラテツヤ拝
さしみ(c)
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