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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

飛騨へのまなざし

プーちゃん(c)

飛騨に愛すべき人たちがいる。
ゴールデンウィーク最終日、ETC利用の恩恵を受け飛騨へ向かった。
上り線も下り線も、意外に空いている。
清見インターで降りて、まずは国分のFさん宅へ。
車を駐車場へ入れると同時に、Fさんの姿が見えた。パラソルの下に男3人がおしゃべりしている。
「どうも御久し振りです」
「よう、アミーゴ、帰ってきたな」
Fさんは有難いことに、自分のことをアミーゴ(スペイン語で友達の意)と呼んでくれる。
数年前、農林水産大臣賞を受賞している飛騨式なっとくヨーグルトは、Fさんの自信作。
そのあとにも、納得キムチ、飛騨チーズムースなど新製品を作り出してきた天才職人だ。
「どうやった、チリでの生活は」
おしゃべりの間に入れてもらうと、背後からFさんの息子Aくんが。
「おひさ」
「この前の秋神以来だね」
「おう、なら色々持ってこい」FさんがAくんに指示を出す。
数十秒後、テーブルの上にFさん作「10ヶ月の豚で作ったベーコン」や「妥協なしの生ハム」が乗った。デザートに激ウマ「飛騨チーズムース」まである。
「ちょっと待ってろや」
Fさんは家の裏手にまわり、手にクレソンを持ってきた。
「裏に自生しててな、これを生ハムに巻いて食べると美味いから」
本物のものを、妥協なしに作り、こよなく飲むことを愛するFさんが、僕は好きで好きでしょうがない。
「これ、飲んでけよ」と、飛騨高山の二木酒造の秋酒を開けてくれた。
味は、飛騨には珍しく無ろ過っぽい味だった。
ベーコンはバターとチーズを合わせたみたいに溶け、生ハムはワイルド感溢れる濃さだった。
板金屋の職人さんと、Fさん、息子のAくんと楽しいひととき。
僕は、Fさんの顔を見ながら、初めて逢った時の事を思い出していた。
ぷーちゃん寝ぼけ眼(c)

Fさんは、今は亡き渡辺文雄を師と仰いでいた。親交深いFさんが、病気を患っていた渡辺さんに妥協無しのスープを作っている日に、僕は友人を介してFさんを紹介してもらった。
仕事は妥協せず。でも働きずめの人特有のせわしなさは皆無だった。
自分の器の分を作り出し、それらを売る。
もっと作れば、もっと売れる。そんな風に思ってしまうところ、Fさんは、“そこそこの美学”を持っていた。
「アミーゴ、今度はゆっくり遊びに来いよ。泊まりでな」
今夜の宿はもう一人の愛すべき山の先生宅。
僕はFさんに手を振って、別れた。
こんな風にFさんとゆっくりお話できるのは、あと何回あるのだろう?
その数を想像すると、今がより一層愛しくなる。
                                 ノムラテツヤ拝
ワンッ(c)
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テーマ:動物の写真 - ジャンル:写真

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