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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

極楽食

石焼き味噌(c)

「帰ってきたかぁ」
握手を交わすと、繁さんの分厚い手に力が入った。
飛騨に尊敬してやまない男性がいる。秋神温泉旅館の主人、小林繁さんその人だ。
「昼、食べていくだろ」
言葉に甘えた。
繁さんは数年前、重い病気にかかられたが、奇跡の復活を遂げられ、今日はお元気そう。年齢は70台、けれど肌なんてツヤツヤと光り輝いてるのだ。
元気の元はこの秋神の自然。シゲルさんが森を歩くと、自然がサワサワと喜んだ。
日本に美味しいものは数多くあるけれど、最も極楽に近い料理は、この秋神の食だと想っている。料理人が真心をこめて、丁寧に丁寧に練り上げてゆく料理を僕は愛していた。
お昼は、秋神の居間で、従業員の方々と一緒に食べた。
女将の洋子さんも、元気そう。柔らかな風のように微笑まれていた。
最初から極楽食。
極楽食(c)

左からコゴミ、ヤマメ、山にんじん、そしてフキ。
全てとして同じ味付けはなく、一皿が絶妙のハーモニーを奏でていた。
食に天からのパワーが含まれている、そんな感じの料理なのだ。
塩焼きも出してもらい、頭から尾まで全てを頂く。
塩焼き(c)

体の中をまるで魚が泳いでゆくように落ちてゆく。
そして秋神名物の石焼味噌。土手も味噌で作り、その中に秘密配合の味噌をグツグツと煮詰める。これをご飯の上に乗せて食べれば、何杯でもおかわりが出来てしまう。
名物・石焼味噌(c)

どれを食べても、ボーっと放心する味は、相変わらずだった。
シゲルさんとしばらく話し込んでから、僕は秋神を離れた。
帰り道、しだれ桜が滝のように流れおち、花吹雪になっていた。
しだれ桜(c)

車に花びらがチラリちらりと落ち、それはそれは雅な光景だった。
桜の世界(c)

夜、野村家へもどり、父母たちとFさんから頂いたキムチで、豚キムチ鍋をした。飛騨の食の奥深さに、舌鼓をうちながら・・・・・
                                    ノムラテツヤ拝
キムチ鍋(c)
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秋神の生命

新緑(c)

岐阜市内から季節のタイムトンネルを抜けると、飛騨は春の風に包まれていた。天候はしっとりとした曇り空。芽吹いたばかりのカラマツやシラカバが、目にまぶしかった。
まるで葉祥明さんの色づかいのような柔らかなタッチ、深呼吸すると細胞ひとつひとつにしみ込んだ。
新緑アップ(c)

毎年秋に、極楽ツアーなる宴を開催しているけれど、その舞台となるのが秘湯の秋神温泉。この秋神の山を散歩した。
まず出てきたのがイカリソウ、そしてニリンソウ。
イカリ草(c)

ニリンソウは山菜として食べられるけれど、猛毒で有名なキンポウゲ科のヤマトリカブトの葉と似ているので注意が必要だ。
ニリンソウ(c)

次に出てきたのが“ひとりしずか”。
ひとりしずか(c)

僕はこのネーミングが大好き。静御前から取られたんだろうけれど、花言葉も「隠された美」と心憎い。
レンギョウ(c)

白樺をバックにキレンギョウがピークを迎え、そこに氷の王様小林繁さんが書いた言葉が躍る。
王様のことば(c)

そして問題の個所へやってきた。何とそこには、幻の山菜「行者にんにく」が、大群落を作っていた。「ここは礼文島か?」と思わず突っ込みたくなる。北海道の最北の礼文島は、行者にんにく(別名アイヌネギ)で、島全部が覆われているのだ。
行者にんにく(c)

秋神川のせせらぎが、こんな植物や山菜たちを育てあげているのだろう。
秋神川(c)

コゴミが腐葉土をたっぷり含んだ大地から顔を出し、生命の芽吹きを感じさせてくれた。
春、春、春。
飛騨にまぶしい季節がやってきた。
                                  ノムラテツヤ拝
こごみ(c)
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