fc2ブログ

写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

幻の花

野花全貌(c)

数年前に初めて、そんな話を聞いた。
「岐阜の山奥の根尾、その更に奥深くに、ニリンソウの群生地がある。そして群生地の端の方に世には珍しい青いニリンソウがある」と。
「青いニリンソウですか?」
「うん、青だ」
話を聞いてゆくと、青は青でも、緑の青だった。
でも、緑色のニリンソウなんて、見たことがない。
山の先生たちに聞いても、そんなの知らないと、みんな首を振った。
それが、こんな場所で出逢えるなんて。
夕日岳登山道をぐんぐん歩いてゆくと、ワスレナグサの間にシソ科のオドリコ草があった。
北の野花(c)

ヒラヒラの花弁が踊っているような、純白のオドリコ草に、見入ってしまう。
野花アップ(c)

そして、ニリンソウの群生地に、風変りな花びらをみつけたのだ。白い花びらの筋は見えるけれど、まぎれもなく緑色に染まっているようなニリンソウ。
ニリンソウ(c)

周りは真っ白だけれど、それだけ遺伝子の突然変異なのか、緑色なのだ。
もう数歩ゆくと、今度は完全な緑のニリンソウが。
蒼いニリンソウ(c)

後で本で調べたところ、このミドリニリンソウは、北海道の藻岩山で初めて発見されたのだという。
自然界は、いつも目の前で、無限の変化を見せてくれる。
そしてその鍵を握るのが、遺伝子とそれを育む環境というところに、僕は打たれてしまう。
青いニリンソウ。それが、夕日岳の中に、ひっそりと咲いている。
                                ノムラテツヤ拝
エンレイソウ(c)
ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタンをクリックお願い致します!     ↓ ココをクリック!
人気ブログランキングへ

テーマ:花の写真 - ジャンル:写真

日本 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| ホーム |