ハマグリ尽くし2009-06-10 Wed 07:00
![]() 「蛤は両性具有なの」 「へぇ~、そうなんですか?」 みんな、お酒のピッチも上がり、どんどん上機嫌になってゆく。 料理人のNさんが出てこられ、炭火で蛤を焼く。絵に書いたような「その手は桑名の焼き蛤」の世界だ。 貝から汁が少しだけ溢れるけれど、蓋は一向に開かない。 「これは、貝の根元をカットしてあるので、空かないんですよ」 ![]() 身に肉汁をたっぷり吸いこませるための、昔からの智慧だという。Nさんが貝をあけると、中からは膨張したクリーム色の身が出てきた。 ![]() 味は、んもう、美味しいに決まってる。身の弾力もさることながら、噛むと汁が弾け飛ぶのだ。 今は河口堰があるので、少しだけ塩抜きすると言われていたが、味は申し分なかった。 ![]() そして、次の一品も、目が丸くなる。 「池波正太郎さんが、本にも書いてくれたんですが、ハマグリの鍋なんです。でも本当はハマグリの湯豆腐なんですが」。 ![]() お雑煮のような透明感ある出汁に、素材も厳選に厳選を重ねた逸品。 そしてハマグリの天ぷらは、エビ塩で頂く。心憎い演出だった。 ![]() 「この揚げ方って何か秘密でもあるんですか?」 「実はね、これは桑名の米油を使ってるのよ」 ![]() そして、この夜一番美味しかったものが、出された。 「ハマグリの酢の物」 ![]() 吉野の葛を入れて、味を染みさせなくしたもの。これも、昔から続いてきた叡智の結集だ。 食べた時に、もずくが絡まり、ハマグリの身も信じられないほど柔らかい。 「先人の知恵を頂いて、私たちは料理を続けさせてもらっています。有難いことです」 こんな感謝の気持ちで経営されているから、船津屋さんは上手くまわっていくのだろう。 「いつも料理人に言う言葉があるの。一年の締めくくりに伝えるんだけれど。お客さんの顔は見えないけれど、思いは全部伝わっているのよ」 そして料理はラストスパートに入ってゆく。 ハマグリのしぐれ茶漬け。 ![]() お番茶をかけて頂く。お腹ポンポンなのに、スルスルと入ってしまうのは、やっぱり味が本物だからだろうか。そして脇にはハマグリのお漬け物が。 ![]() 終わると同時に、仲居さんがスイーツを持ってこられる。 出されたのは黒蜜のくずきりだった。甘いものが苦手な自分は、ちょっと引いたけれど、味は抜群。見事完食してしまった。 ![]() ラストは、琵琶とキウイの上にゼリーとミントが乗った一品。 口の中に甘みと酸味が交わり、さっきまで食べていたハマグリの味が、より一層引き立てられた。 ![]() 三重、桑名に名店がある。その名は、船津屋。 美人女将、大好きなYさん、Iさんとパチリ。 ハマグリのバリエーション、そして料理の神髄を見せられた一夜だった。 ノムラテツヤ拝 ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタンをクリックお願い致します! ↓ ココをクリック! ![]() |
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