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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

富士登山

吉田登山道

「今週末、そちらに泊まりたいのですが」
「すみません、ずっと前からこの日は満室で。ちょっと無理なんです」
一体、何軒同じように断られたのだろう。
インターネットで富士山吉田登山道の道中にある山小屋に片っ端から電話をかけて断られた。
そして時間を置いて、もう一度ダメもとで電話すると「今キャンセルが出ました。入れますよ」と幸運な返事をもらった。
富士登山。
天気予報は、当日は雨、翌日は昼過ぎから晴れ。コンディションとしては、いまいちだった。
朝、一緒に登るケンさんに電話をすると、留守番電話。奥様のミッキーに連絡を取ると「昨日も、俺は富士山に登るんだってはしゃいでいてね。まるで遠足前の子供みたいに」と、期待の大きさを教えられる。
ケンさんに「天候がいまいちなので登るか登らないか?」を聞こうとしていた自分を恥じた。これも大いなる流れの中での一部。丁寧に登らせてもらおうと、心に決めた。
昼にケンさんが富士急ハイランド駅に姿を見せ、一緒に益美やさんでうどんをすする。そしてスバルラインを走って、富士山の五合目へ向かった。
駐車し、出発だ。さっきまで降っていた小雨はあがり、雲間から薄明かりが。ザックを背負って、登山道をゆく。富士登山は今回で5回目。でも他の4回は全て富士宮の登山道を登ったので、今回の富士吉田登山道は初体験だった。
五合目から六合目にかけては、白樺林の中にしゃくなげの姿。ここは春になるとピンクに染まるんだろうと、想像を膨らませた。
六合目から上はジグザグ道。見上げると、八合目からは黒く分厚い雲に覆われていた。
雨が降ってくる。みんな色とりどりの雨具を着ているので、登山道は何ともカラフル。
山の斜面に多様な「彩」が並んだ。
カラフルロード

七合目からはもう登山というよりも行列。富士山登山ツアーの人たちが長蛇の列を作り、僕たちもその列に混ざった。
足元には野アザミ、キリンソウ、トリカブト、ヤナギランが風に揺れている。
ヤナギラン

吉田口の方が森林限界が高いのかもしれない。そして、なぜ高地になればなるほど、花の色は濃く深く、それでいて透明感があるのだろう。
トリカブト

山に咲く高山植物の色に、いつも僕は目を奪われてしまう。
八合目までの登山道は厳しいものになった。
岩場

雨が降り続き、抜かそうにも行列が長すぎて抜かせない。
予約が取れた山小屋は本八合目の最も高い位置にあるトモエ館だった。
冷える。
9月上旬でこんなにも渋滞するなら、夏の登山はどれだけ混み合うのだろう?
山小屋がひとつ、またひとつと道沿いに現れる。東洋館、白雲荘、元祖室、富士ホテル。
そして目的のトモエ館に到着する頃には、日が暮れていた。
                          ノムラテツヤ拝
行列登山
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テーマ:自然の写真 - ジャンル:写真

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