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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

登頂

早朝風景

夜中の12時過ぎ、屋根を叩く雨は止んだ。
午前2時半に起床し、外へ出てみると、河口湖町や山中湖、遠くは甲府や東京までの夜景が見渡せた。
それには若干雲があるものの、切れ間からは北斗七星、北極星、カシオペアやオリオンたちが輝いていた。
星が近い。
半月の光でもこれだけ星があることに、少し安堵した。富士に引っ越してきてから、星の少なさが悲しかった。パタゴニアのあのログハウスでいつも見上げていた、ラピスラズリ色の夜空、そして銀河のような星空、あの光景に慣れてしまっていたので、どうしても比べてしまっていた。
富士山で、帰国してから初めて天の川を見た。
3時に出発。
登山道にはおびただしいヘッドランプの光が見える。まるで光がひとつのかたまり、生き物のように見える。登山客が、上部にも眼下にも溢れかえっていた。
富士講。
江戸時代に隆盛を極めた、富士講が目の前に現れたよう。
江戸時代、それぞれの集落、村落で“講”と呼ばれる集まりが作られた。皆でお金を出しあい、代表者を決める。その人が富士吉田へ向かい富士山へ。全国から集まった代表者が行列を作りながら富士を登る。登り切り、頂上の浅間神社の奥宮に手を合わせた者は聖人となり、村へ町へ帰り、その御利益を周囲に分け与える。
江戸の富士講が、現代に。目をこすっても、やはりそれは登山客の大行列だった。
登山風景

僕も行列の一部に加わらせてもらい、闇夜の登山を開始する。
本八合から頂上までは1時間半から2時間のコースタイム。
ご来光を眺めるため、皆朝早くから登り始めるのだ。
鳥居

頂上へ着いたのは5時少し前。暴風の頂きに立ち、ご来光を待った。
頂上風景

雲の切れ間から、朝日の姿。
登頂

初光吸引。
朝の鳥居

眼下には、米粒のような富士五湖の町並みが広がっていた。
雲風景

帰りは、行きとは別ルートで、砂走り。
下山風景

足をとられながらも、2時間で降りてきた。
赤土

五合目

雲がどんどん消え、目の前には北アルプス、八ヶ岳、南アルプス、丹沢。ジャパンアルプスが勢ぞろいした。
ジャパンアルプス

ログハウスに戻って、エビスビールで乾杯。そして南アフリカのワインを空けた。
ログハウス会社の社長に、富士登山へ行ってきた経緯を連絡する。
「どうしてこんなに富士登山は人気があるんですか?子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで、モデルみたいな綺麗な女性も登っていましたよ」
「理由のひとつは、山小屋が綺麗になったこと。それとこんな不安定な時代から、今までは、いつか富士へと思っていたけれど、今こそ富士にシフトチェンジしてるんじゃないかな?」
「そこで未来を祈りたい・・・・と」
「やっぱり日本最高峰だし、屈指の霊山でもあるしね」
さすが地元社長の言葉は、説得力があった。
                                     ノムラテツヤ拝
つらら
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テーマ:自然の写真 - ジャンル:写真

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