写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

奥庭

カラマツの季節

ようやく巡ってきた快晴。それも紅葉のベストシーズン。
僕は迷わず、富士山の五合目までゆく有料道路スバルラインを上がった。
落葉樹の紅葉は3合目あたり、針葉樹の紅葉は4合目から5合目が見ごろだった。
カラマツの紅葉は金。
黄色でもなく、茶色でもなく、黄金色だ。
五合目付近からは、巨大な富士が小山の向こうに見えてくる。
スバルライン

この前の富士登山では寄れなかった奥庭の駐車場で車を止めて、そこから石畳の道を下ってゆく。
空には200羽くらいの鳥が、旋回している。あとから教えてもらったけれど、アトリという渡り鳥が、一週間前から富士上空を旋回しているという。
奥庭

5分ほど下ると、一気に視界は開け、金のカラマツの向こうに富士の姿。
奥庭2

その間にも赤松とカラマツが深い森を作り上げていた。
奥庭3

新雪はやっぱり少し青い。
青空、青っぽい雪、それに金の紅葉が眼前に迫る。
足もとに目を向ければ、薔薇のようなカラマツの松ぼっくりが。
からまつの松ぼっくり

唐松のみち

そして道脇には、シャクナゲの大群生があった。健気につぼみを膨らませ、このまま冬を越すのだ。
シャクナゲのつぼみ

山梨県側の富士は5合目付近に、シャクナゲの群生地が多くある。
春先ここへ来ると、きっと帯状になってピンクのシャクナゲが咲き誇るのだろう。
僕の母の一番好きな花がシャクナゲ。来春は一緒に見られると良いなぁ~
                                 ノムラテツヤ拝
シャクナゲの群生
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富士降雪

富士の笠雲

朝起きると、久しぶりの快晴。
慌てて服を着替えて、カメラザックを背負った。
近くの展望地へゆくと、富士の頂きに笠雲が、かかっていた。
まるで富士山が帽子をかぶっているみたい。
昨日まで降っていた雨が、富士山頂では雪になり、一気にスノーラインは6合目あたりまで下がっている。
パラパラと何かが降ってきた。
手にとると、それはカラマツの針のような葉だった。
風が吹くと、それは雨のように注ぎ、周りは黄金色に染まった。
黄金のからまつ

笠雲は少しずつ上へあがり、やがて頂が見えた。
頂き

さすが日本一の山。雪が積もり、荘厳さが増した。
唐松並木も、だいぶ色づき、やはて、富士がクッキリと偉容を現した。
それにしても、この唐松はなんて、季節を楽しめるのだろう。春の新緑に秋の紅葉。
信州では天然のカラマツのことを天カラ、戦後、植林事業で植えたものを地カラと言っていたなぁ。
唐松並木

確かに成長も早く、まっすぐ伸びるので、短いスパンでは植林に合っていたのだろう。でも、もしも唐松の代わりにブナを植えていてくれたら・・・・と思ってしまう。
雲がとれる

ススキと富士と組み合わせると、一気に晩秋な感じになる。
ススキと富士

近くの林道を車で走り、富士の西側斜面へ出ると、今度は不思議な薄い雲がかかっている。
富士の光雲

そこに朝日が昇り、まるで後光のように光り輝いていた。
富士の光雲2

思わず手を合わせ、敬礼した。
家への帰り道、雲は全部取れて、青空の中に純白の富士が浮かんだ。
絶景、絶景。
身近にこんな絶景があることに、心から感謝した朝だった。
                               ノムラテツヤ拝
絶景
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雨の富士

つつじの秋

雨の富士。
冷気が漂い、もう家の中ではストーブを付けないと寒いくらい。
雨がパツンパツンと葉を揺らし、ときおり鳥が鳴く。
パタゴニアではよく雨の日に散歩していたな、と思いだし、富士でも散歩。
紅葉した葉は濡れ、そして発光しているようだ。
雨の紅葉

見上げると、雨粒がほっぺにあたり、しみ込んでゆく。
石に巻き付く蔦紅葉も形がハートみたいで可愛い。
雨の紅葉2

そしてツツジと青草の組合わせにハッとする。
自然は最高の芸術家だと思う。
散歩を終えて、今作っているパタゴニア大型写真集の色校のチェック。
これらが出来あがり、来月、全国の書店で並ぶと思うと、やっぱりちょっと肩に力が入ってしまう。
妥協せずに、良いものを作らないと、パタゴニアの自然に申し訳ない。
                             ノムラテツヤ拝
雨の紅葉3
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湯の奥

関西屋

富士から下部温泉へ出かけた。
ジャスト45キロ、一時間の道のりだ。
紅葉前線は大分降りてきたのか、標高1200mくらいの森を真紅に染めていた。
ちょっと鄙びた下部温泉へ到着し、看板の文字に目がとまる。
「これより先、湯の奥」
湯の奥ってなんだ? ドキドキし始めたので、車をそのまま運転し、上部上部へあがってゆく。
行きついた先は、なんとも素敵な“湯の奥”集落。
昔、平家の落人が隠れ里として使っていたのでは?と疑いたくなるほど、山奥にひっそりとあった。現代の日本でこんなところが観光地にもならず、残っているのか?と目をしばたいた。
車を脇に置いて、集落に入ると、一本の長い石畳の坂が続いていた。脇には山水が流れおち、ところどころで、水舟が作られていた。
湯の奥地域

坂の中腹に重要文化財の関西家の姿が。それらは今も使われ、ひたすら美しい佇まいを醸し出していた。
関西屋2

紫式部の実がなり、振り返ると、集落の全体像が見渡せた。
紫式部

田舎風景

湯の奥、山神社は、もう目の前だ。
一目見て、のけぞった。
山神社

こんな素敵な神社がまだまだ残されているジャパン。その底力を見せつけられた気がした。自然に溶け込んだ神社。故郷でいえば、白山中居神社を彷彿とさせた。
山神社2

日本には、まだまだ素敵なところが、いっぱいある。
下部の湯に浸かりながら、僕はこの国に生まれたことに感謝した。
                                    ノムラテツヤ拝
下部温泉
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ファーマーズ

ファーマーズキッチン

うちの近くに新鮮な野菜たっぷりの美味しいレストランがある。
名前はファーマーズキッチン。
元、上九一色村、現在は河口湖町にある富士山を見上げる場所にある。
向かった日のランチメニューは、鮭の燻製と、ハンバーグ。
もちろん、ハンバーグを所望した。
これが当たり。
ハンバーグ以外にも、大根の煮付け、カボチャ、トウモロコシに、漬物、キノコ汁と豪華。肝心のハンバーグも肉汁たっぷりで、酸味のある本格デミソースがかかっていた。
美味ハンバーグ

「食べ終わりましたらお知らせ下さい。デザートがついていますから」
野菜もピカピカして、口に入れるとパリンパリン。取れたてほやほやだった。すぐ前には畑が、どうりで美味しいはずだ。
デザートは甘味控え目なヨーグルトアイスに、ブルーベリーソース。これにシフォンケーキも加わる。
これでしめて、800円也。う~ん、毎日通ってしまいそう・・・・・。
                            ノムラテツヤ拝
デザート
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