写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

大好きなおばあちゃん

やまびこ

よく晴れた空を見上げながら、さすがだな、と想った。
母方のおばあちゃんが、天へ帰っていかれた。96歳の大往生。
おとうから、電話口でおばあちゃんの死を知ったときから心にぽっかり穴があいてしまったよう。
これから仙台のおばあちゃんの所へお通夜とお葬式に向かう。
おばあちゃんは、手前味噌だけれど、僕にとって世界一のおばあちゃんだ。
若い時に夫を亡くし、女手ひとつで4人の子供たちを育て上げた。その三女がうちのおかあだった。物心付いた頃から、いつも穏やかなおかあ、ダメと言わない教育方針も、僕にとってはごくごく当たり前だった。けれど、大学生くらいになると、それが珍しいことだったと知り、僕はおかあの性格を形成したおばあちゃんに興味を持つようになっていた。
大学生のとき、ゆっくり話したあの日の頃を、つい最近のことのように思い出す。
それはおばあちゃんの恋の物語だった。
おばあちゃんはおじいちゃんと恋に落ち、結婚。子宝にも恵まれ、幸せな時を過ごしていたが、おじいちゃんは病気で若くして天国へ行ってしまう。学校の教員だったおばあちゃんは、自分の子には厳しく、生徒には優しく接しながら、時間のない中、愛情をかけた。
子育ての間にも、美人のおばあちゃんは、何人からも言いよられた。けれど、その全てを断り、生涯、おじいちゃんへの愛、一本を貫いた。
「てっちゃん、人の悪口を言う時間があれば、どうして自分がそう言ってしまうのか、考えるんだよ」
おばあちゃんと毎年一度くらいの回数で、それから何度も話したけれど、おばあちゃんの口から人の悪口を聞いたことがなかった。
おかあに聞いても、「ないわねぇ~」との答えだから、筋がね入りだ。
そして「好きな事を大切にして、楽しんでね」ともよく言われた。
そんなおばあちゃんにもひとつの大きな夢があった。
「100歳の1月15日に亡くなりたい」という夢だ。
「何で?」と聞くと、おばあちゃんはいたずらっ子のような顔で、答える。
「おじいちゃんと同じ命日のほうが、てっちゃんも祈りやすいでしょ」
ここまで純愛に生きられるものなんだ・・・・・と僕は涙をボロボロと流してしまった。
                               ノムラテツヤ拝  
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ダイアモンドリング

七色富士3

富士に太陽が隠れてゆくにつれて、どんどん色が違ってくる。
七色富士4

ついには、赤、黄、青色までが中に放たれてゆく。
七色富士5

光は小さく、大きく、大きく、小さくと変幻自在。
そして、最後の光が山頂から消える少し前には、ダイアモンドリングが写り込んだ。
まさに富士山が、頭にダイアモンドの王冠をかぶっているように見えた。
七色富士6

富士はやっぱり、神の山だと、強く感じた時間(とき)だった。
                     ノムラテツヤ拝
七色富士7
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七色の富士

夕日と富士

ダイアモンド富士を撮影してから、新たな写真を撮りたくなった。
自然と自分が一本に繋がるような、自然がそのままシャッターを押してくれるようなダイアモンド富士は撮らせてもらえないだろうか?
富士は昔から神として崇められ、江戸時代には富士講で賑わった。
今でも日本人の心の中心に、すっくと立っている。
もうすぐダイアモンド

日々、そんなことを考えていたら、昨日、名案を思いついた。
機材はカメラのボディーとレンズだけ。特にフィルターは付けずに、富士からの伝言に耳を傾けるような撮り方が浮かんだのだ。
晴れ渡ったある日、早速山中湖へ出かけて、練習してみる。
最初は全然うまくいかなかったけれど、何枚か失敗していると、その内、コツのようなものが分かってきた。
ダイヤと雲

後は、自然が全て決めてくれる。
富士の頭に太陽が落ちてくる。
完全ダイヤ

今日はレンズは変えずに、望遠ズーム一本で撮影させてもらう。
もうすぐ、いつものダイアモンドというところで、富士からの最初の伝言がやってきた。
太陽の周りに緑色のリングが出たのだ。
緑のリング

やがて、上部に雲が出てきた。
さぁ、山頂のちょうど真ん中へ太陽がかかってくる。
シャッターを祈るような気持ちで押した。
七色富士

映り込んだ写真には、後光のようなまばゆい光が。
七色の富士を始めて撮影した瞬間だった。
                                     ノムラテツヤ拝
七色富士2
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大木家

しじみ汁

大木家に帰ると、東郷湖で今日取れたばかりのしじみが汁が用意されていた。
貝のエキスたっぷりな味に、言葉がない。
おかわりを頂いていると、「島根の宍道湖のしじみよりも、鳥取・東郷湖のは大きいんだ」と大木さんのお父さんが教えてくれる。貝の表面はピッカピカ。なんで取れたてはこんなに綺麗なんだろう。
見事なしじみ

そしてやっぱり夜更けまで飲み明かし、翌朝、事件は起こった。
僕がまだ眠っていたころ、大木さんはベットから起きて、すすり声を聞いた。おかしいと思い、居間へ出ると、二男のれんくんの部屋からやっぱり啜り泣く声が。中へ入ると、れんくんは涙を流し、嗚咽していた。
「どうしたの?」
肩をゆすると、れんくんはしゃくりあげるように言ったという。「お母さん、お母さん、てっちゃんとはもう逢えんのかな? これでお別れなのかな? てっちゃん、帰っちゃうのかな・・・・・」
僕と雅之さんは、その一部始終を聞いて、雅之さんがひとこと。
「お前、まさにテレビ番組の田舎に泊まろうになっちょーが」
涙をぬぐいながらも、れんくんはしっかり主張する。
「ぼく、てっちゃんと写真が撮りたい」
一緒にパチリ、そして何故か、自分一人でもパチリ。
思いっきりハグして、僕はれんくんを学校へ見送った。
後から教えてもらった話だと、れんくんは学校へ行く途中もずっと泣いていたという。
大木さんが言う。「投入堂に一緒に登ったのが、本当に楽しかったみたい」と。
僕も楽しかったよ、れんくん。理想の家族を見せてもらえたんだから。
そして帰ってきてからも、家中を探しまわったらしい。そしてまた泣くれんくんにおばあちゃんが一言。
「てっちゃんに手紙書けばいいよ」
きっと繋がりが切れてしまったと思ったのだろうか?それが手紙という形でまた繋がる。それがストンと心に落ちたのだろう。れんくんは、その瞬間から泣き止んだ。
僕は、れんくんからの手紙を届くのを、心から楽しみにしている。
そして、「今度は大山を一緒に登ろうね」という約束を守るため、僕はまた鳥取へ出かけるだろう。
大山

好きな家族が出来ることで、距離はぐっと縮まる。あんなに遠いと思っていた鳥取が、こんなに近く感じられるんだから、ほんと、人の心って不思議。
大好きな大木家のみなさんが、今日も明日も明後日も幸せなことを祈っています。
                                  ノムラテツヤ拝
大好きな大木家の皆さん
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日置桜

青谷町

鳥取滞在中、「日置桜」が近くにあることを知った。
日本酒がこの上なく好きな自分にとって、山根酒造の「日置桜」は、見ておきたい酒蔵だった。
大木さんに頼んで、前日に見学したい旨の電話を入れてもらうと、「社長が朝から出かけてしまうので無理」との返事だった。
「残念!」と言いながらも、自問自答した。
「なんでこんなに行きたくて、社長に逢いたいのに、無理なんだろう?」
投入堂に向かった後、雅之さんの言葉に、今はどれだけ感謝しているだろう。
「てっちゃん、ちょっと時間があるから、日置桜の蔵まで見に行ってみますか? 見学は出来ないけれど」
行こう、行こうと、車は青谷町(あおやちょう)へ向かった。
夕暮れになる頃に、田んぼの広がる青谷へ到着。
遠くに見える山々の見慣れぬ形に、改めて遠くへ来ていることを実感した。
ナビを手掛かりに山根酒造に到着。昔ながらのどっしりした日本家屋が、奥に見えた。
ん、明かりが見える。
日置桜

歩いてゆくと、事務所の中に一人の男性がいた。
「ごめんください。日置桜のお酒を買わせて頂きたいのですが」
名刺交換をすると、代表取締役 山根正紀と書かれていた。
出かけていた社長は、ちょうど今、帰って来たばかりという。
オフィス風景

ツイテル、ツイテル。
慌てて自己紹介し、日置桜への想いを告げた。
「まぁまぁ、なんだから、こっちで一緒に話そう」
それからの話は、僕にとって宝物のようだった。
幻の鳥取のお米「強力(ごうりき)」は穂の高さが150センチにもなるが、これを現代に復活させて、作ったお酒や、ヨーロッパで飲まれているお酒の70%が日本産の日本酒じゃないとの話。中国が作るアルコール度数の高い日本酒が、日本酒だと思われている現実。バルセロナでお酒を出品した折、連れていかれた日本料理屋で出された日本酒名は「ゲイジャガール」だった、などなど。
あとはパック酒の秘密には、面喰った。
パック酒やカップ酒と呼ばれる酒は、絞ったときの色が黒だというのだ。お米の質と、割れた米なども使うため、油分が浮いて黒くなる。それを漂白剤で、透明にして販売しているという。
どうりで飲むと、翌日に頭が痛くなるわけだ。
「僕の夢は、日本酒というカテゴリーを全て純米酒にしたい」
純米酒は水と米と米こうじしか入っていない。つまり醸造アルコールを使わないお酒だ。
「そうすれば日本中の休耕田は無くなるよ」
脱、減反だ。
最後に社長のお勧めの酒蔵を聞いた。
義侠の山田社長もそうだけれど、これだけこだわりを持っている社長の周りには、やっぱりこだわりある人脈と酒が近寄ってくる。
「まずは静岡の杉井酒造の杉井錦、島根のふそう鶴、広島の竹鶴かなぁ」
全部知らないお酒ばかりだった。
山装う

日本酒の奥は限りなく深い。鳥取に銘酒がある。その名は日置桜。僕の大好きな大好きな酒蔵です。
社長の話が面白すぎて、気づいたら1時間もたっていた。
ひやおろしの「山装ふ」と「初しぼり」を購入させてもらい、僕は山根酒造を後にした。
初しぼり

鳥取、最高~
                                      ノムラテツヤ拝
社長と
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