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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

神の山

逆光の白富士

覚えていない。
撮影していたときの事を覚えていない。
久しぶりの感覚だった。
真冬のパタゴニア山岳地へ撮影に出かけ、キャンプ生活をしながらの旅を続けていたとき、僕の記憶は何度か飛んだ。
撮影はしたんだけれど、撮影対象にのめり込みすぎたのか、撮った意識が無いのだ。
ダイアモンド富士を、今度は望遠レンズで撮影しようと、いきこんで山中湖に向かった。
逆光の富士は白くかすみ、紅葉の中を派手な路線バスが通り過ぎていった。
富士の路線バス

この前撮影したポイントを起点に撮影場所を選び、陽光が富士と重なるのを待った。
あと少し、というその瞬間、目の前の湖面は凪ぎ、富士山が鏡のように反射した。
幻のダブルダイアモンド富士を見た瞬間だった。
ダブルダイアモンド富士

このあたりから記憶がさだかではない。
ファインダーから入る太陽があまりに眩しかったからか、富士の神々しさに打たれたからか、それとも他の理由か?
僕はきっと恍惚状態に入ってしまったのだろう。
富士からは緑っぽい光が放射され、まさに神がそこに宿っているような光景。
富士の緑光

光はどんどん放射し、
ダイアモンド富士のアップ

ダイアモンドが無数に光輝いているようだ。
神の山

最後の光が山頂から消えようとする瞬間、
神の山2

今日も光はダイアモンド色に輝いたのだ。
神の山3

撮れた、いや富士山に撮らせてもらった写真を見ながら、僕は知った。
太陽が富士の後ろに消えると、本当に後光がさしているように見える。
後光富士

その辺りから、僕の記憶は戻ってきている。
左目で富士を見ると、雪の部分が黄色く、右目で見ると白い。
やばい。
僕は山の先生2人の話を思い出していた。
ものすごい晴れたある日、二人はサングラスをかけないままスキーをしていた。夕方になって家へ帰るとき、二人は異変に気づく。
「なぁ、今日は変やな? 車のテールランプがみんな緑に見えるな」
「あぁ~、ほんとうやな」
アレダ、アレ。
雪目だ。強い光を見すぎたとき、網膜が焼け、鳥目、または雪目になってしまう。
見えるものが全て黄色くなるため、赤いテールランプが緑に感じられるのだろう。
撮影中、ファインダーをのぞく左目は、真正面から太陽をずっと見ていたのだろう。
左目で見る風景は全て黄色く見えた。
やばいな・・・。
手を当てて、ひたすら念じる。
「いつも元気な目で、ピカピカの瞳で有難う。感謝しています」
5分後、目が願いを聞き入れてくれたのか、元通りに見えていた。
場所を変えて、家の近くからも撮影。
夕方の富士は、全体的に黄金のベールをまとっているようだった。
                                  ノムラテツヤ拝
富士夕照
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テーマ:自然の写真 - ジャンル:写真

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