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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

おばあちゃんからのプレゼント

葬儀場

大正2年10月1日生まれ。
10月20日、末期がんが見つかり、11月23日午前11時52分に天へ帰られた。
一か月の入院生活だった。
大好きなおばあちゃんのお通夜、お葬式が無事に終わった。
おばあちゃんからのご褒美か、親戚一同が介し、10年ぶりに逢う従兄や、話だけ聞いていた方々にもお逢い出来た。
献花

喪服に着替え、受付嬢をすることに。
「この度はお忙しい中、御参列下さいまして、有難うございます。御記帳宜しければ、お願い致します」
6時からお通夜は始まり、曹洞宗のお坊さんがお経をあげた。
おばあちゃんの顔はまだ生気がみなぎり、まだ体の中にいることを感じさせた。お通夜とは、どうする行事なのだろう? それはお経が進むにつれて見えてきた。
イメージなんだけれど、おばあちゃんの体と、魂の幽体のおばあちゃん。
それらが今は臍の緒ならぬ、胸の緒で繋がっている感じ。
それらは太いものだけれど、お通夜のお経によって、少しづつ細くなってゆく。
おばあちゃん箸

お通夜が終わると「お通夜振る舞い」が始まった。
お通夜の大盤振る舞いだ。
宮城県周辺に残る、風習だという。
おとうも、「こんなのは初めてだ」と興味津々だった。
卓には中華や、お寿司、天ぷらなどが並び、ソフトドリンク、ビール、日本酒が出される。
久しぶりに逢った仙台のおじちゃんと共に、銘酒、浦霞と、一の蔵を飲む。
仙台らしい、スッキリした味だった。
お酒で体も緩んでくると、おばあちゃんの昔話に花が咲いた。
おばあちゃんは20歳から60歳まで教員を40年間した。
その教え子たちも沢山訪れ、おばあちゃんの教育論などの普段耳にしない話も飛び交った。
おばあちゃんの授業は、一時間目は道徳と決まっていたらしい。
人間とは、人間らしくあるために、そんな大切なことを子供たちにトツトツと話していたという。
おばあちゃんも、喜んでいるんだろうなぁ~。
きっと、胸の緒が長く延びて、みなの顔を覗きこんでいただろう。久しぶりだねぇ~って。
葬儀場おばあちゃん用ご飯

夜、おねえ夫婦が双子の娘を連れて、仙台に到着した。
「どうしても来たかったから。これを逃すと、後悔すると思ったから」
そうだよね、やっぱり僕たち兄弟は、みんなおばあちゃんから愛情の光を沢山、たくさん貰ったものね。
お通夜振る舞いも、1時間半ほどで終了し、従兄夫婦と一緒に近くの居酒屋で飲みなおした。
夜は、葬儀場近くのホテルで宿泊し、翌朝からまた受付開始。
お坊さんも到着され、9時半から葬式が始まった。
おもち

お経が読まれ、少しずつ、胸の緒が外されてゆく。
最後、みんなの想いがそうさせるのか、お経の力がそうさせるのか分からないけれど、おばあちゃんの体がふっと軽くなった感じがした。
戒名

それ以降、おばあちゃんの気配を体から感じることはなかった。
胸の緒が外れ、おばあちゃんは自由自在に飛びまわれるのだろう。距離も時空も関係なく、おじいちゃんと二人で、一緒に旅するのだろう。
弔辞が、また素晴らしかった。
教え子代表が話し始め、おばあちゃんの笑顔の素敵さ、真の教育者だったこと、そして弱いものに必ず手を差し伸べ、心配している子と一緒になって願った。
愛の人だと思う。
会場

最後に、僕はこの歌で先生を送りたいと想う、とあおげばとうとしを歌い上げた。
会場の至るところから、鼻のすする声がして、僕も勿論号泣した。
そして、おばあちゃんとの告別にうつる。
納棺師の仕事らしく、おばあちゃんは、美しく棺に収まっていた。
こちらの風習で足元に10円玉を置くらしい。火葬後、その10円玉がお守りとなる。
地方、地方で、人の送り方が違うというのは、本当に興味深い。
そして、僕は、最終色校のパタゴニア写真集を、花と一緒に棺に入れた。
おばあちゃん、僕の写真集も、天国へ連れていってあげてね。
おばあちゃんの顔からは、もう生気が抜けていた。
体から、完全に抜けてしまったのだろう。
おばあちゃんの魂が、会場の隅々から感じられた。
宙へ手を合わせ、「おばあちゃん、今まで沢山の愛情を注いでくれて有難う。僕もおばあちゃんのような、愛情を持って、周りの人と接していきます」
ふわっと、僕の前に風が吹いた。
おばあちゃんが手をかざしてくれたのかな?
そして棺は仮打ちされ、みんなで三度ほどコンコンコンと軽く打ちこんだ。
喪主が最後の本打ちをし、霊柩車へと送りだした。
僕は、東京で仕事があったので、おばあちゃんとここでお別れ。火葬場には行けないけれど、おばあちゃん、有難うね。
多賀城駅まで送ってもらい、仙台駅。そして今、東京へ向かっている。
親戚一同が、一か所に会す。
おばあちゃん、素敵な機会を作ってくれて、感謝しています。
おばあちゃんのあまりの美しさに、未だ涙が止まりません。
                                 ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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