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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

ミサの力

アッシジ階段

要塞都市のアッシジは、細い路地や坂が美しい街。
河童のような髪型をしたフランチェスコが道祖神のようにして飾られ、今でもこの髪型のフランチェスコ会の修道士たちを、よく見かけた。
フランチェスコの肖像画

アッシジの街に、少しずつ夕方が押し寄せてくると、明かりがひとつ、ふたつと点灯する。
こんな時間が好き。藍色と闇が交わるこの時間が。
夜景は、黄色を基調として、深い藍の空色に、心を奪われた。
夕方のアッシジ

夜になると、サンタアンジェリ教会で夜のミサが行われるというので、出かけた。
入ってすぐに、巨大なパイプオルガンがあり、どんな音がするんだろうと想像する。
予定時間になると、司祭が出てきて玉座に座り、パイプオルガンの音が雨粒のように降り注いだ。
それにつられるように歌声が響くと、腕に鳥肌がたった。
響き方が細かいのだ。エコーは重厚に響き、続いてゆく。
みんなで1つの歌を歌う。
ボーズのスピーカーから四方八方に飛び、声が体を抱いてくれる。
場が歌うことで、少しずつ整理され、場が高くなってくる。人の想念が作り上げる美だ。
荒いものが細かく。優しく陽光に照らされるように、歌声が上昇し、場を引き上げた。
昔からどの宗教も、笛と歌を使い、神と繋がろうと努力した。
繋がりたい。
夕闇のアッシジ

その想いは、きっと昔も今も変わらない普遍な気持ちなのだろう。
みんなと繋がり、自分の生命は、生かさせてもらっているのだから。
澄んだ春の小川のようなせせらぎに似た声。
神へ上げる言霊、そして音玉。
DNAには、必ず刻まれているのだろう。
今まで人から人へ繋いできたであろう歌の道、ソングラインが。
パイプオルガンの音は、まさに倍音。神様と繋がる振動音だった。
クリスマスイブの夜は、神と共に過ぎてゆく。
                           ノムラテツヤ拝
アッシジの夜景
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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