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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

180°south

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180°south というドキュメンタリー映画を見た。
アウトドアメーカーのパタゴニア社の社長、イボン・シュイナード。ノースフェース社の社長、ダグ・トンプキンスの1960年代の南米旅のドキュメンタリー映画を見た青年ジェフが、その足跡に憧れ、同じ道を辿る物語だ。
人生最高の旅だったと振り返る二人の社長が、パタゴニアの大地から教えてもらったもの、それは自然をコントロールするのではなく、生かさせて頂くという持続的な生き方だった。
パタゴニアの中央部の自然が失われることを懸念したダグは、私財を投げ打って広大な土地を購入。牧草地に640キロも張り巡らされた杭と針金を、社員や知人、友人と共に抜き、まとめ、元の自然へ還そうとしている。
僕が北部パタゴニアに住んでいたときも、何度も話題にあがった。
「未来の国立公園」と呼ばれる構想だ。
その場所を買取り、分断する杭や柵を取り除き、動物たちの行き来を復活させる。
それらをしばらく見守り、その土地全てをチリという国へ返す。そして国はそれらを国立公園のひとつとして永遠に保護していく。
イボンやダグのそんな無償の愛、無償の行動を理解できない人々も沢山いるが、嫌がらせや反対に屈することなく、ただ目の前の出来る事を情熱的に淡々とこなしていく。
二人とも一流のサーファーであり、クライマーでもある。
パタゴニア社は「よく遊べないものに、仕事はできない。大きな波がやってきたら、サーフィンを持って海へ出ろ!」が社訓。
そんな若い頃の2人を彷彿とさせる青年ジェフ、とジェフの友たちが、パタゴニアの最高峰を目指す。それらを今度はイボンとダグがサポートする。
素敵な言葉が沢山ちりばめられたドキュメンタリーたけれど、特に心に沁みたのが2つ。
パタゴニアの未踏峰にイボン、ダグ、ジェフの3人が登ったとき「このルートの名前は何にする?(初登頂する人が自由に決められる)」と聞かれてのイボンの返答。
「名前はいらない。ただ登って、降りてくればいい」
そして、遠くを見つめながら呟く。「人間は魂の救済のために、行動しなければいけない。それぞれの方法で」と。
ダグは言う。
「今起こっている環境問題は、方向転換することで殆どが解決できる。昔には戻れない、元には戻れないと人は言うが、もし前方に崖があって、後ろには道があったとき、そのまま前に進み死ぬ人がいるだろうか?」と疑問を残すと、すかさずイボンが援護射撃をうつ。
「間違ったシステムを永続させる必要はない」
このドキュメンタリーから、僕は何を学ばさせてもらったのだろう?
2013年に着工する人跡未踏地に作られる中部パタゴニアのダム問題。僕も「パタゴニアを行く」の中に最初は書いていたけれど、調べれば調べるほどあまりに複雑な問題が絡み合うため、文章そのものを本の中から削除した。
政府が承認している限り、どんな反対運動が起ころうと、きっと作られてしまう。
日本の長良川河口堰のように。みんな知っているのだ。間違っていると、出来上がった後も、間違っていた、と。でも、その流れを止められなかった現実が、目の前だけに残る。
「僕たちは自然の中で、生かされている。自然が死ねば、僕たちも死ぬ」
体で自然を体感せよ。自然の中で思いっきり抱かれ、自然を満喫し、自然を尊ぶこと。それらがこれからの世界に最も必要なことのひとつなのでは? と語りかけているように思えた。
180°south 。このドキュメンタリーに出逢わせてくれたご縁に感謝して。
                      ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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