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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

パイネの火事

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パイネ国立公園で、2011年12月に大規模な火事が起こった。
イスラエル人キャンパーの火の不始末で、燃え上がり、今現在で15000ヘクタール焼失した。チリ国内では様々な問題が挙げられたが、キャンパーは保釈金を払い本国へ帰国した。
パイネは風が強く、夏は乾燥する。ひとたび火がつけば一気に燃え広がる。これまでも何度も自然発火があり、そのたびにチリの軍は総力で消火活動にあたった。
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パイネは世界有数のトレッキングルートが張り巡らされ、それらは長期だと2週間かかるものがある。そのため、園内での火の使用を禁止することが出来ないでいる。
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そもそも、昔から自然発火で燃え、大地はまた再生する。今回問題になっているのはどうして不始末が起こってしまったのか。それもあまりにお粗末な。
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これからの対策としては、やはりキャンパーにしっかりとレクチャーを義務付けないといけないのかもしれない。多少時間はかかっても。
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火事は悪くない。例えば、パイネを代表する花にヤマモガシ科のノトロがある。これらの花は火事が起きないと種を大地に蒔かない種類で、火事が起こってくれないと子孫を繁栄させられない。ヤマモガシ科に共通することは強風と寒さに強いこと。と、頭の中では知っていても、やはり現場が気になっていた。
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ノルデンフェールド湖あたりから、木々の焦げが目立ち始め、サルトグランデ(大滝)付近では、顕著になる。
まさに一面のお花畑が荒野になった感じだ。
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周りからは、燃えた灰の臭いが漂い、あの美しきパイネが、見る影もない。
でも、黙って歩き、大地に目を凝らすと、希望も見えてくる。乾燥地に強いコイロンが芽吹いていた。
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こうやって、また再生していくのだ。何年かかろうと、自然の時間で、それらが快復され、また自然発火が起こる。
同じ自然はひとつもない。全ては成長し、また消失する。その繰り返し。だからこそ、そこに儚さと美しさが同居するのだろう。
生命も、絶えず動き、同じ瞬間は、一度として無いのだから。
                    ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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