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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

書く、ということ

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僕は文章が下手だ。
それは、圧倒的に読んでいる本の数が少ないからかな。
20歳まで活字の本を真剣に読んだことは一度も無かったのだから。
アラスカの旅から戻った僕は、岐阜市内の書店で一冊の本と出逢う。
「アラスカ 光と風(福音館日曜文庫)」星野道夫さんの処女作だ。
その時まで、どうして本を読んでいなかったのか?
その理由が今なら、少しだけ分かるような気がする。
僕は「生」と「死」を、自分で知りたかったのだと思う。
でもそれは映像や言葉で説明されるものではなく、自分が色々な人と出会い、動植物と出逢い、それらを愛で、失うことで体感し、獲得するものだと強く信じていた。
でも、自分のお金で初めて買った星野さんの本は、行間から生と死がにじんでいた。
あの時の衝撃は、昨日のことのように思い出す。目を瞑れば、いつでもあの瞬間に立ち返ることができる。
それからだろうか、星野さんの著作物を読み漁り、植村直己、開高健、須賀敦子、池澤夏樹と読書の旅が始まっていく。
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でも、やっぱり書くのは下手。
「野村くんは、言葉では説明できるのに、書くと、からきしダメだね」と福音館の敏腕編集長のEさん。
子供用の本を作るとき、骨格の作り方から言葉の選び方などを徹底的にしごかれた。あまりに下手下手と言われるので、ある時に「そこまで言うなら、僕よりも上手く書けるんでしょうね?」と噛みついたこともある。もちろん返り討ちにあったのだけれど。
そして、中公新書は「パタゴニアを行く」の時から、文章を客観的に見て、アドバイスをくれる親友Tがいる。
「てつやが写真への愛情を持っているのは分かる。でもそれと比べると文章には愛情が足りないんじゃないの?」
「これが最後の一冊だと思って、命を懸けて作ってるか? 全部出し尽くせよ」
「てつやが何を感じて、何を想ったのか、そのディテールを丁寧に積み重ねて」
その時の僕に最適な注意をいくつも受けてきた。
ほんと有難いって思う。だって、友人に嫌なことって、言いたくないもの。
でもTくんは、それでお前の文章がよくなるなら、俺は嫌われてもいいからと意に介さない。
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改めて思う。
僕は周りの人たちに支えられて、そして手助けしてもらいながら、一歩ずつ進ませてもらっている。
40代は、20~30代よりも時間が早く進むって、年上の方々は言うけれど、どんな10年になるのか、心から楽しみにしている。
みんなでみんなが幸せになっていく世界。
そんな流れに参加出来るなら、僕は何でもさせてもらいたいと思う。
まずは身近から。
周りにいてくれる大切な人たちと手を繋ぎ、世界一幸せになっていくこと。
大きなうねりを作って、過激に自分自身を変えていきたいと思う。
PS,写真は「イースター島を行く」の出版お疲れさま会。Tくん、ありがとうね。
                             ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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