天上の頂2015-12-01 Tue 09:25
![]() マウナケアはハワイ島随一の聖地。 数年前にハワイアンたちがストライキを起こし、一般ツアーの登頂を禁止した。 標高4205mの聖山マウナケアの意味は「白い山」。語源は山頂に雪が降り積もるところから来ているが、別名は「ワケアの山」と言う。 天の神・ワケアはハワイの創世神話に登場する神で、大地の女神パパとすべての存在を生みだした。つまりハワイの根源でもあるマウナケア(ワケア)山頂は「神の領域」と信じられてきたのだ。 9年ぶりに、その頂に立たせてもらいたい。 でも、今回はハワイ隊の面々と一緒だから、ツアーのようなもの。 「野村くん、ツアーの目印であるこのオレンジ色のダウンを脱いでもらえば、上がって良いよ」 茂さんの一言で、目の前の道が開けた。 駐車場で夕陽を待つ皆さんを背後に、僕は天上へ向かった。 そこは、まるで天と地、あの世とこの世を分ける空間が広がっていた。 9年前には分からなかったことが、今なら手にとるように感じられる。 ここだ。 僕は財布の中から小さなジップロックを取り出し、その中の白い粉を大地に蒔いた。愛すべき男フージオの遺骨だ。 手を合わせ、祈る。 「フージオ、元気ですか?」 手がぼわっと熱くなり、瞼が真っ赤に染まる。 自然と涙が溢れ、とめどなく頬へ流れ落ちていく。 「すべてのものは完璧な状態で繋がっている。あの世もこの世も、天も地も、フラクタル構造で繋がっている」 そんなイメージが、脳裏に浮かび、僕は膝をついた。 風が止む。 ゆっくりと眼を開けると、マウナケアの影が、ピンクの雲に浮かんだ。 影富士ならぬ影マウナケア。 「フージオ、そこにいるんだね」 僕の問いに答えるかのように、また風が静かに吹き始めた。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
| ホーム |
|