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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

アンデス文明

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昨夜は藤沢のクラフトビール屋さんで尊敬する2人と飲んだ。
阪根ひろちゃんと敏腕編集長のEさん。
「今までに無い誰もが理解できるアンデス文明(インカ、プレインカ)の本を作る」。それを三人で作ろう、との決起集会だ。
僕とひろちゃんはIPAのクラフトビールを頼み、Eさんは今日はお酒を控えて会話に専念とジンジャーエールを。乾杯のとき、Eさんが「不調法で」と言われた。
2日前、ひろちゃんと鎌倉山で肉を頬張ったことは書いた。その後に鎌倉駅前のカフェ屋に入って、ビールを飲んでいた時、水がこぼれてしまい、ひろちゃんが「不調法しました」と定員さんに言った。
「あの~、ぶちょうほうって何ですか?」
ひろちゃんは目を大きく見開き、「マジ?」という顔をする。
僕も「マジ」と頷いた。
不調法とは
1 行き届かず、手際の悪いこと。また、そのさま。「口が―でうまく言えない」「―者」
2 過失。不始末。粗相。「使用人の―をわびる」
3 酒や芸事のたしなみがないこと。また、そのさま。へりくだった気持ちを込めて用いる。「酒はとんと―でして」
と教えてもらったばかり。そしてEさんのブチョウホウは3の意味で使われた。
日本語って本当に難しく知らないことばかり。
でもこんな二人の会話を聞いていると、今日も知らない言葉が出てきてしまう。
知らないことを知らないままにするなんて、分かったぶりをするなんて、とても勿体ない。だってひとつ知れば、また別の知らないものを知るきっかけになり、別の世界とひっかかる可能性が作られるのだから。
「このインカの本はねぇ」とEさんが言えば、
「そうなんですよ、まさに換骨奪胎ですね」とひろちゃん。
「あの~」
「何よ?」
「かんこつだったいって?」
Eさんがこけた。「野村くん、そんなことも知らないの?」という視線。
「知りません。知りません」
「先人の詩や文章などの着想・形式などを借用して、新味を加えて独自の作品にすること」
さすが日本語の生き字引。言葉って面白いな、と思う。
僕はこんな偉大な年上の先輩たちと、後どれくらい一緒にいて、学ばさせて貰えるのだろう。そんな時間を今まで以上に大切に慈しみたいと想う。
Eさんが本の構成を一通り伝え、ひろちゃんは何度も頷いた。
「僕、今まであなたに隠していたことがあって」。
「なんだよ、良い話か?」
「としさんが亡くなった時、僕のところの夢に出てきたこと、以前に言いましたよね」
「あぁ、聴いたよ。あいつマメだからな」
「あの時、実はとしさんからお願いされたんです」
「ひろしはお前も知っているとおり、すごい男だ。でもあの性格だから、あいつは今までに何も作品とかを残してない。あいつが元気なうちに、生きた証みたいなものを作ってやってくれ」
「おい、本当か?」
「はい、でも信じないですよね?」
「馬鹿、信じるよ。あいつはいつも俺と二人になると、同じことを言っていたから。そうか、としが出てきたんじゃ、やるしかないな」
ということで、本作りが発進できそう。
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プレインカ、インカ文明を俯瞰的に見られるひろちゃんが全体の要素を洗い出し、僕が文章を書かせてもらう。そして敏腕編集長のEさんが料理する。
言葉の知らない僕ですけれど、素敵な作品になるよう、心を尽くします。
                          ノムラテツヤ拝
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テファノ

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森の中を20分ほど歩くと、階段のような跡が微かに残っていた。
上がってみると、現地民が2人で落ち葉を拾っている。
タヒチの宝である、このマラエ遺跡群の清掃員だった。
ハローと声をかけてみる。
「ボンジュール ムッシュ」
やばっ。フランス語だ。
自分がマラエに興味があることを英語で説明するが、ニコニコ笑っているだけ。
「ここはテ・アナという住居跡だ」とゆっくり話してくれる。
あれ、なんで?フランス語が分かる?
今までボンジュール、サバー、メルシーくらいしか聞き取れない僕が何故?
それは、タヒチのフランス語にあった。スペインのスペイン語は流れるように美しい。
それに対して南米のスペイン語はちょっと田舎っぽい。それがタヒチにも言えるのだ。
ゆっくり話すフランス語は、スペイン語の少しだけ似ている。
思い切って英語からスペイン語に切り替えて話すと、彼は大きく頷いた。
「そうか、ならお前にマラエの意味を教えてやろう」と、ひとつだけ色の違う石をどけると、中には人骨や頭蓋骨の欠片が埋まっていた。
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「マラエは墓だ。大切に守られてきた、俺たちの祖先の墓」
ポリネシア全土に渡って、この先祖崇拝文化が残り、各地で呼び名は違っても必ず祭壇(墓)が作られた。マラエ、ヘイアウ、アフ・・・・
彼からこの先に、「テファノ」という大切なマラエがあることを教えてもらい別れた。
緑の輝く道を登っていく。ブーロと呼ばれる黄色いハイビスカスが足元を彩る。
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森の甘い香りに包まれながら更に10分ほど行ったところで、僕の足は止まった。
目の前に大きなガジュマルの大木が、その下にマラエの石が敷かれていたのだ。
それが「御神木」なのは間違いなかった。
大昔から先祖を見守り、そして祈りの対象になってきた聖なる樹。
結界が張られたような気に一礼し、僕は足を踏み入れた。
一瞬にして鳥肌がたち、僕はそのエネルギーに抱かれることになる。
                ノムラテツヤ拝
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