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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

津講演

ポスター小

明日18日(土)は、三重県津市で講演会だ。
生涯学習センターの募集定員120名のところ、300名近くの予約が入り
満員御礼だという。
ありがたいなあと手を合わせずにはいられない。
皆さんが楽しんでもらえるよう、何かを感じてもらえるよう、日々の
生活に価値あるものを持ち帰ってもらえるよう、心を尽くしてきます。
さぁて、がんばるぞ!
            ノムラテツヤ拝
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幻の花

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パロの町から登り始めて2時間で3776mのチェレラ峠へ到着。
深い霧に包まれ、枯れた木々が幻想的に立ち上がる。
湿気を含んだ空気が、身体に優しい。
さすがに寒いので、上にジャケットを羽織った。
ダルシンが108本並ぶ峠付近を、東方向へ歩いていく。
もうここは、富士山山頂と同じ高さ。
いつものように呼吸するだけで、空気の薄さが分かった。
山名さんが、振り返る。
「あるわ。やぱ今年は例年よりも早いわ」
「えっ、どこどこ?」
山名さんの指の先には、蒼い花が一本伸びていた。
生まれて初めて見る「ブルーポピー」。
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10年前に中国の雲南省・四姑娘山で探したことがある。標高5000m付近の生息場所までは突き止めたが、時期が早く涙をのんだ。あれから、憧れてはいたものの、なかなか再会する機会に恵まれなかった。
ブルーポピーは、ちょうど百年前に英国の探検家がヒマラヤの奥地で見つけた花。
その深い蒼さに、「世界で最も美しい花」としてもてはやされた。
属名はメコノプシス。ギリシャ語の「メーコン(けし)」と「オプシス(似る)」に由来する。
「野村さん、こっち、すごいわ」
初めての蒼いケシに夢中になって撮影していると、霧の中、山名さんの声が飛んだ。
慌てて向かうと、そこには、夢のような光景が広がっていた。
「ブルーポピーの花園」
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通常、蒼いケシは独立して咲くことが多い。それは近くに仲間がいると、それに負けてしまい芽が出せないと考えられている。だからこそ、崖やガレ場などに孤高のように咲く姿がよく写真などでおさめられているのだ。
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でも、なぜかここには見渡すだけで、20本近くが群落を作り上げていた。
「学問として知っていることと、自然界の多様性」。
これもやはり、自分で見て、体験してみないと分からないことなのだろう。
この種族メコノプシス・シンプリキフォリアは、色合いも様々。深い青色から、ピンク、そして限りなく透明に近いブルーもある。
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雨に濡れた葉っぱは、ムラーノ島のベネチアンガラス、身近なものでは少量の水に濡らしたティッシュペーパーのよう。
この旅の中で、最もテンションが上がった瞬間だった。
こんなに簡単に幻の花と出逢えてしまうブータンの奥深さと原始性に、僕は心底打たれ、言葉がうまく紡げなかった。
「この蒼色を一度見たものは、生涯に渡ってこの花に憑りつかれる」と誰かに聞いたことがある。
まさにその言葉通りの美しさを内包していた。
まるで、光がこの花を照らしているのではなく、花の奥から蒼い色を発しているよう。
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僕はそこに座り込み、ただひたすらその小さな蒼き妖精を見つめた。
                               ノムラテツヤ拝
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