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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

スロバキア

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去年、世界有数の人気を誇る音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」がウィーンで開催された。
その時に、オーストリアが世界へ向けて「寛容さ」を示す一環として行ったのが信号機の変更。従来の一人の人型から、ハートマークの付いた男女カップル、同性カップルの人型になったのだ。男女カップルは、女性が男性の手を引く形。女性が活躍する時代にぴったりだなぁ~と、クスクス笑ってしまった。
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ウィーン最後の場所は、国立図書館大広間(プルンクザール)だ。
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さすが芸術の中心地、図書館も世界の何処にも劣らない歴史と優雅さを兼ね備えていた。これは反則の格好良さだなぁ。
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ウィーンから農道を通って、ドナウを越えると、115ヶ国目のスロバキアの首都ブラティスラヴァだ。元ハンガリーの首都であり、あの女帝マリア・テレジアの載冠式が行なわれたのもこの地。彼女の居城だったブラティスラヴァ城は、四角い建物の四隅にミナレットのような塔が建つ壮麗さ。地元では独特な外観から「ひっくり返したテーブル」と呼ばれているが、とんでもない(笑)。
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眼下にはドナウ川のたおやかな流れと整然とした町並み。
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その後、スロバキアの田舎道を通って東へ東へ。
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見上げると紺碧の大きな空に積乱雲。
まさにヨーロッパの夏風景が広がった。
                ノムラテツヤ拝
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ヨーロッパ | コメント:0 | トラックバック:0 |

表現手段

地球の息吹

表現手段は限界を作らず、出来うる全てを使う。
これが僕のポリシー。
写真家?編集?映像作家?それとも冒険家ですか?など質問されることがたまにあるけれど、その間の隔たりを感じたことは無い。
だって、写真家は写真だけで表現する、なんてツマラナイもの。
外界からの事象を自分の中へ取り入れ、融合させ、一体何を表現として、また外へお返しさせてもらうのか?
その手段を、一つだけになんて固定できない。
写真、動画、文章、講演、SNS、旅の共有など、その時々で最適なものが必ずある。
ちょうど画家が筆を持ち替えるように、色の質感を変えるように、表現したいものに最も近づけていければと思う。
そんな中、大きな仕事が決まった。
今年の10月から来年の3月にかけて、合計6回ほど名古屋の中日文化センターで、1時間半(10:30~12:00)ずつ講座を担当することに。
1回目のヨーロッパを皮切りに、北米、南米、アフリカ、南極、アジアと世界中を巡り、未だ殆ど知られていない絶景を交えながら、写真の撮り方なども話していけたらと思う。
募集受付は、9月1日から。
定員がありますので、もしご興味のある方、近隣の方々は是非講座に来て頂けると嬉しいです。
一緒に学び、ゲラゲラと笑い合う空間を作り上げましょう!
皆様との温かな御縁を祈って。
               ノムラテツヤ拝
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日本 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ムジークフェライン

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南アフリカに住んでいた頃、大切な友人と森のワイナリーにいた。
仮にZさんとしておこうかな。
Zさんは南アで仕事のために滞在していた。日本でも3本の指に入るダイヤモンド鑑定士。
日本ではなく本場のアントワープが主戦場だった。
一緒にワインを傾けていると、なぜか音楽の話に。
Zさんのお気に入りは、やはりウィーン。それも、とある演奏場。
「ノムラさん、そこだけは音が天井から降ってくるんです」
「嘘でしょ?」
「本当です。コンピューターでどれだけ精巧に作っても、未だに作れないんですが、あそこだけは何故かそれが完璧に組み合わさっているんです。まさに神の宿る会場です」
あれ以来の夢だった。そして僕は今、ウィーンにいる。
その場はムジークフェライン(楽友協会)。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメイン会場であり、お正月に世界各国に中継されるニューイヤーコンサートが行なわれる聖地。
Zさんは楽友協会の上級会員なので、幻のプラチナチケットを手に入れ、3度ほど生で聞いたことがあるという。
豪奢な建物の中へ入ると、まず目に飛び込んでくるのが金色。柱、パイプオルガンの枠、天井など夥しい量の金。キノコ型のシャンデリアが10本下がっていた。天井には2つのフレスコ画、そして銀の巨大なパイプオルガン、壁面には麒麟のいような翼の生えたドラゴンが鎮座した。2階席を支えるのが、水瓶を持った女性像。
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もうすぐ演奏会が始まる。
今回はシーズン中だというのに、Zさんお勧めの完璧な席が取れた。
1階席18列目のど真ん中。ドキドキ、ワクワクだ。
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20時15分、会場にブザーが鳴り響くと、オーケストラの団員が続々と登場。音の調律が終わると、恰幅の良い指揮者がタクトを振った。
最初の音から、地面が揺れる。
前方で演奏しているのに、何故かそんなに音が迫らず、不思議なことに背後からも聞こえてくる。柔らかい音で、ゆっくりと抱かれるみたい。音の渦の中心に引き込まれていく。
目を瞑ってみる。
大きな音、高音は天井から降ってくる。まるで音符が雨粒のようになって、サーサーと浸み込んでくる。小さな音や低音は壁面を伝い背後から。重奏なのに、まるで一人だけが演奏しているように音が収束していく。
上から、左右から、下から。四方八方から音符の玉が届いてくる。
真っ直ぐ届くのではなく、まるで放物線を描くように。
音の高さと、響いてくる高さは比例するのだと思う。
低音は低く長い放物線、高音は高く短い放物線。それらが収束してまあるく響き渡る。全身の細胞が震え、マッサージされるようだ。
やがて視覚と聴覚が麻痺し始め、無重力状態に。こんな感覚は生まれて初めての体験だ。
頭から足先まで全てに鳥肌が立つ。そして体内が泡立った。
指揮者に視線を戻すと、音の波が、波長が見えてくる。
ドナウ川の横に立つムジークフェラインで、「美しき青きドナウ」を聴ける幸せ。指揮者が腕をグルグル回すと、団員も最高潮に。一気に音が昇り、マエストロが指揮棒を止めると、天から残響が落ちてくる。
そして包まれる。
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ラストは「ラデツキー行進曲」。
ニューイヤーコンサートのように、観客も拍手で応え、会場が一体に。
音楽って、こういうものなんだ。
音を楽しむ、それを初めて知った夜だった。
                ノムラテツヤ拝
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クリムト

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セセッション(分離派教会)の地下にクリムトがベートーベンのために描いた壁画がある。ひとたび部屋に入るなり、圧倒的なエネルギーに包まれる。
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「人類の幸福とは?」
ぐるりと囲まれた3辺の壁に、クリムトの答えがあった。
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今までの歴史、そしてこれからの歴史、その不変な生死が緻密な計算のもと配置されている。
一言で形容すれば、これは死ぬまでに絶対に見ておくべきものだ。
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レオポルト博物館では、クリムトの名作「生と死」を見てから、風景が素晴らしさに驚愕させられた。
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個性を出す、または個性を消す。
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その両極の追及の末の作品だったのだ。
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だから、ヌードの絵の前に立てば、女性の体から匂い立つような香りがするし、風景画の前に立てば
。自分がその現場にいるような臨場感が生まれる。
そしてラストがベルベデール宮殿。
ここにクリムトの最も有名な作品「LOVERS(The Kiss)」がある。日本では接吻で知られるゴージャスな絵。
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一目見て吸い寄せられるのは、やはりこの黄金色と配置の妙だろう。
過去に誰も似た人はいず、以降もまたクリムトに似た人はいない。
ガールフレンドのエミリアとの接吻。ほのかにピンクに染まる彼女の頬。
この絵もまた、匂いたつ色気が絵の中から飛び出してくる。
個性を全開にし、そしてそれから消し去っていく作業、それら相反する世界を一つの絵に封じ込めた名作。だからこの絵に介在者がいないのだ。
バックは色を重ねているのかと思い、近づいてみると、あまりに薄く塗られていて驚いた。薄く、でも重厚に見せる神々しさ。
作家の息遣いまでもが聞こえてきそうだった。
               ノムラテツヤ拝
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ブータン講演会

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9月24日(土)14:30~16:30からモンベル 渋谷店 5Fサロンで、ブータンの講演会を開きます。
同世代の写真家5名(関さん、三井さん、中田さん、山本さん)が見た、感じた、ブータンを語り尽くします。
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「幸せの国・ブータン」と巷では形容されますが、実際に訪れてみると、僕の想像とは全くかけ離れていました。そして心から感動しました。
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ぜひお近くの方、東京へお出かけの方は、定員90名ですので、出来るだけ早めに予約して頂けると幸いです。
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詳細はGNHトラベルのホームページからお願い致します。
http://gnhtravel.com/
今日も皆様に沢山の幸せが降り注ぎますように。
            スロベニアより  野村哲也拝
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