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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

パイプオルガンの力

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リガの大聖堂には、6718本で作られた世界屈指のパイプオルガンがある。
12時からその演奏が聞けるというので、出かけた。
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木の長椅子に腰かけて待っていると、バッハのTokataun fugaから始まった。
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重厚な響きが空を裂き、目の前が震える。音符がらせん状に交わり、上から、やがて横の壁から迫ってくる。波のように伝わる音。
目を瞑って聴くと、深い海の底へ引き込まれていく感じ。音の強弱で日の光が射し込んでくるよう、柔い雨が降り注ぐような、音の妙。
外の光を受けて、ステンドガラスが浮かぶように輝く。
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残響が高い天井の壁に当たり、大聖堂内をぐるぐるとまわる。
アーチ状の曲線に当たるためか、最初の音よりも後から伝わる音の方がまあるい。
重奏になると、地面にも振動が伝わり、足元から音が入ってくる。
教会の作りの意味を知った瞬間だった。
2曲目は春の目覚めのような高音から。
Leons Belmals-Lugsana。
1音1音の長いメロディー、その間に響き合う音。
この太い混ざり合いこそが、パイプオルガンの美しさ。
倍音に近い感じだから、宗教に使われたことも理解できる。
自分の波動が天へ持ち上げられていくような錯覚を覚える。
ここで牧師から話を聞いたら、気持ち良いんだろうな。
音の音の間に伝わる深き響音。
その真っ直ぐな美しさにうたれた。
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故郷岐阜で、サラマンカホールのパイプオルガンを聞いたこともあるが、これはやっぱりしかるべき教会で聞くべきものだと思う。
ラストの曲コルテスは激しく始まり(Luijs Vjerns-Kortezs)、音が変幻自在。どんな表現も音符の重なりで作れてしまう。
音楽は、身体の奥底にある魂にダイレクトに振動する。
自分の人生そのものが揺すられる感じ。
大人は聴き入り、子供たちは寝る。
これも歴史と一緒。自分の中にひっかかるもの、繋がるものが無い限り、人は感動しないのだから。
大人になるということは、様々な経験をへて、それを繋げることにある。それが年をとる美しさ。
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演奏が終わると、若き奏者のディグマさんが挨拶。
スタンディングオベーションと嵐のような拍手が沸き起こった。
                 ノムラテツヤ拝
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食の深さ

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食べる事が好き。
料理上手の母の下に生まれたから?
何でも美味しそうに食べる父の影響?
兄弟と一緒に争って食べていたから?
多分全てが螺旋のように絡み合って、食べるという行為が好きになったのだろう。
20歳から海外にも出るようになり、世界中のゲテモノや珍味と言われるものも口にした。
唯一、口に入れた瞬間、涙ぐんでもどしたもの。それは北極圏のイヌイットの家で食べさせてもらったアザラシの肉。
でも、40歳にもなると、自分の好きなものランキングが不動となって固まってしまう。
ここに、ストレートパンチを食らわしてくれたのが、リガ。
ラトビアの食事で、僕のランキングが4つも入れ替わることになる。
・スペイン料理のガスパッチョ(トマトの冷製スープ)
・ピスタチオのジェラート
・鳥料理
・うなぎ料理
こんな食の衝撃は、ここ10年ほど無い。
ガスパッチョは、トマトの酸味とドロドロ感が絶妙で、今までペルーが一番だったピスタチオジェラートは、遥かにラトビアの方が上だった。ピスタチオの濃厚さ、そして豊潤さの密度が違う。
ここからが本番。
鳥料理と言えば、やっぱり水炊き、名古屋コーチンや軍鶏、ペルーのグランアスール(鳥の丸焼きや)が3強だったが、堂々の一位にリガの鳥の薫製が入った。
市場へ行くと、新鮮な魚介や肉がずらりと並び、その横に同じくらいの料で、薫製が陳列される。チーズ、魚、肉、何でもござれ。多分、薫製大国のお隣ロシアの影響だと思われる。
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鳥の薫製を一口食べると、煙の浸み具合、肉のジューシーさ、そして肉の奥まで味が均一に浸み渡っているのだ。
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ラストは鰻料理。
西(蒲焼)の3強は、みよし亭、しげ吉、加茂or柳家
東(蒸し焼き)の3強は、神田川、桜家、友栄orせしも
でも、東西の美味さを、はるかに凌ぐ鰻が、ラトビアのリガにいた。
鰻の薫製。
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一口食べて、目の色が変わり、無我夢中で食べた。何度も何度も、鰻の肉にしゃぶりついた。
そして、次の瞬間、輪切りにされた鰻に身震いがした。
有難い。
価値観でも、友人知人の交友関係でも、仕事でも何でもそう。
凝り固まって、ルーティン化するのが一番怖い。
それらが普通になってしまうのが、僕は嫌。
いつも、動いて、流れて、変わっていきたいと思う。
神様が、プレゼントしてくれたのかな。食はまだまだ深いって。
さらなる探求をしようと、心の底から新たな欲求が湧いてきた。
               ノムラテツヤ拝
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バルト三国

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北欧からバルト三国へ飛んだ。
エストニア、ラトビア、リトアニアで三国だけれど、今回は真ん中のラトビアへ。
空港へ降り立つと、田舎っぽい長閑な空間が広がった。
甘く見ていた。というか油断していた。
「こんなもんだろ・・・」と。が、リガの旧市街へ入ると風景は一変。
古い建造物がそこかしこに残り、見事な空間を作り上げていた。
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夜になれば、ここはヴェネティアか?と突っ込みたくなるほど石畳の路地が妖艶に光り、エロティックになる。
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生演奏が広場から聞こえ、誰も騒ぐ者はいない。
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大人の町、それがラトビアの首都だ。
             ノムラテツヤ拝
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