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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

自然現象の意味

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自然現象は皆のためにあるのではなく、個々、おのおのの気づきのために千差万別用意されている。
山を撮影していると、そんなことを強く想わされる。
ドロミテ、グリンデルワルト、身体は快調そのもので、朝、昼、晩と寝る間を惜しんでシャッターをきった。でもマッターホルンに来ると、何故か雲で山が覆われ、波長も全然合わない。まるであちらが周波数をコロコロと変えて合わさせないような・・・。
そんな時、最初はどうしてだ!と苛立っていたけれど、やがて周波数を合わせられない自分に矛先が向いた。
体調が万全でない。知らぬ間に疲れが溜まってきている。だから曇って、山は隠れ、休めろと教えてくれているのだと。
昨日は夕方と夜、まったく撮影せずに、とにかく寝た。
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今朝、起きて撮影地へ向かうと、マッターホルンは僕を見下ろし、微笑んでいた。
シャッターを押すごとに少しずつ波長も合ってくる。いや、マッターホルンが僕に合わせてくれている。
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朝焼けの後、モルゲンロートが。天空へ伸びる矛先は、赤から黄金へ色付いていった。
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その後、標高4000m近くのゴルナーグラートへ。
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ここはマッターホルンとモンテローザの両山が見える絶景展望地。
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ツェルマットとは違う角度から見るマッターホルンは、さらに天を突いていた。
               ノムラテツヤ拝
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初恋

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初恋のよう。
好きな人の気を引こうと、わざといじわるをした幼き日。
マッターホルンが気になるような自分になるためには、一体何をしたらいいのかな?
シンプルになる。まっさらになる。素直に見つめる。
頭では分かっているけれど、見たい想いが勝ってしまってなかなか心が落ち着かず寝付けなかった。
朝5時。
ぼんやりした頭で、撮影場所へ向かうと、なんと早朝の空に黒曜石で作った矢尻のような巨大な岩峰が浮かんでいた。
「マッターホルン!」
僕は慌てて走った。雲が湧き上がり、すぐに姿を隠す。
気持ちを落ち着かせて、マッターホルンを感じる。
昨日と同じように、合わせていくと、今日も外される。
どれだけ手を尽くしても、手に入らない初恋の人のようにさらりとかわされる。
繋がれない。
こんな時は、もうお手上げ。
写真を撮るのを止めて、どっかりと胡坐をかいた。
ただ見つめる。見つめるだけ。
10分くらい経っただろうか?
少しずつ、マッターホルンが雲間から顔を出し、一瞬だけ色づいた。
まるで「ちょっとだけよ・・・」と言われているよう。
僕は一枚だけ撮影させてもらった。
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町から高速ケーブルカーでたった3分。標高2288mのスネガ展望台へ到着。
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ここはマーモットの生息地。岩場に腰かけて、待っていると、出てきた、出てきた。
かわいらしいマーモット。
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「くぅ~!」
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わき腹を掻く姿とか、たまらんなぁ~。
             ノムラテツヤ拝
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高嶺の山

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自然は母性のゆりかご。
山々をもし性別で分けたら、やはり女性になるのだろう。
山岳信仰にも女人禁制も多いことだし。
大好きな山岳民話がある。
富士山というプライドの高い女性の神様と、八ヶ岳というおっとりした女性の神様。
富士山が神様に聴く。
「わたしたちのどちらが高いの?」
神様は困って、半分に割った竹を富士と八ヶ岳の頂に乗せて、真ん中から水を流した。
すると富士山の方へ水がしたたり落ちてしまう。
激怒した富士山は八ヶ岳を許せずに8つに割ってしまう。そこから八ヶ岳と富士は仲が悪くなり、どちらが見える日は、もう片方は雲の中に隠れてしまうという。
グリンデルワルトから、車を列車に乗せてショートカット。ツェルマットの最寄りの村・タッシェの駐車場に車を置いた。
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ここから先は排気ガス規制のため、車の立ち入りが全面禁止されているのだ。
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タッシェから列車でツェルマットに入ると、そこは一大観光地だった。
ポックポックと石畳の上を馬車が走り、世界中のブランド店が所狭しと並んでいた。
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教会から宿へ登っていく道で、初めてここを世界観光地に知らしめる張本人、マッターホルンを遠望した。けれど雲が巻いているため、頂上付近は隠れていた。
夕方、撮影に出掛ける。
マッターホルンのエネルギーを感じ、それに少しずつ近づけていく。
初めての山ってやっぱり難しい。
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近づいた、ピッタリ合った、と思っても何故かずれる。
どうしてだろう。
再度、ゆっくりと合わせていくと、ズレる意味が分かった。
マッターホルンが、合わせたと思うと、するっと変化して、また別の気を纏うのだ。
まさに高嶺の花・マドンナ。
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プライド高き、富士山タイプなのだろうか。
太陽がどんどん地平線へ近づき、最後まで僕はマッターホルンにもて遊ばれた。
てっぺんは一度も見せてもらえず、燃える雲だけが印象に残った。
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「一筋縄ではいかないな」
帰り道、ツェルマットの夜景を見ながら呟いた。
何か変化をつけてみよう。
明日の朝、出直すことを決めて、僕は宿へ戻った。
                ノムラテツヤ拝
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