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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

白夜の夕焼け

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中日文化センター講座(5回目)のため、南極の写真を組んでいた。
今まで南極は3度訪れているが、やっぱり最初に訪れた時が写真に最も新鮮さと驚きが詰め込まれていた。
フィルムからデジタルに移行して最も変わったもの。それは1シャッターの重さだ。
使用していたリバーサルフィルム1本700円、現像スリーブ仕上げ1本700円。つまり36枚をスライドにするだけで1400円かかっていたのだ。だからこそシャッターを無駄にしたくない、連射なんて余程の時しか使わない。
「この1枚は本当に必要なのか? 無駄じゃないのか?」 
それをいつも自問自答しながら、シャッターに手をかけていた。
1枚1枚の重みを感じシャッターを押すこと。どうせ消せるからと軽くシャッターを押すこと。一見どちらも同じに見えるが、その時の気持ちがまるっきり違うので、当然映し出される自然も変わってくる。
重みを感じながらシャッターを押す方が、素晴らしい現象を引き寄せる力が強くなる。フィルムが、デジタルが、の問題ではなく、自分の心の在りようが外界を作り出すのだから。
あの最初の旅、南極船に乗って寒さに震えた午前1時。白夜の太陽が水平線を転がり、氷雪峰を深紅に染め上げていった。この時も最上の時間がくるまでひたすら待ち、「ここ」という瞬間で、シャッターを一枚切った。
その長い時間、想いの重なりが、やっぱりフィルムに焼き付けられるのだろう。
過去の写真を見直すことで、良い気付きをもらった。
大切に待ち続け、慈しみながら、シャッターを1枚ずつ押していこうと決めた。
                 ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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