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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

かにちゃん

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パタゴニアに住んでいた頃、多大な影響を受けた女性がいた。
あるものだけで自由自在に作り出し、辺境の地でも至高の食事を出す。
「物が無いということは、無限の工夫の余地があるということ。その工夫の先にこそ、軽やかな自由があった」
彼女の名は、かにちゃん。パタゴニア・チリのプエルトバラスに住む、僕の大切な母だ。
先月から日本に帰国されていて、ようやく今日、小田原で逢うことが出来た。お昼に大好きなおでんやさんへ一緒に出かけ、かにちゃんの薫陶を受ける。話せば話すほど、あのパタゴニアで逢った時のかにちゃんよりも別次元へ上昇しているのを感じた。
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「今、あるものを最大限生かし、そこに心から感謝する」
まさにカニちゃんの周りに、無限の天国が広がっていた。
僕は南米大陸で、若い頃、こんな人たちに育ててもらったんだなと思う。
日本では「専門は何ですか?」という言葉をよく聞く。細分化した経済だから、それも当然。でも、南米に住む愛すべき人たちは、なんでもこなす。大工も料理も狩猟も漁業も、そして何よりも楽しみ切ることを知っている。
「一度きりの人生。せっかく頂いたなら、楽しまなくてどうする?」
それを言葉ではなく、背中だけで見せてくれる人なのだ。
僕はかにちゃんから、そしてかにパパから何が幸せなのかを教えてもらった。それはささいな日常をいかに大切にするかという力。そこに幸せを見つけ、感謝を感じ、周りに無償の愛を蒔いていくという作業。
僕たちは大人からバトンを渡されて成長し、またバトンを渡していく。
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かにちゃん夫婦から、渡された大きなバトンを、僕は下の世代に渡していけるのかしら?
でもそんなことを呟いたら、返ってくる言葉は決まっていますものね。
「あなたの好きにしたらいい」
僕もそんな大人になれるよう、日々積み重ねていきます。
再会できて、心から感謝しています。今度は、僕がパタゴニアへ逢いにいきますね。
                  ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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