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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

撮影秘話

DSC03696-2.jpg

今年の初めにハワイ島を訪れた時、現地に住む親友が、僕に会うなり言った。
「のむらくん、死ぬかもしれないけれど、好きそうな現地ツアーがあるよ」
話を聞くと、数日前に大きな岩が崩落し、そこから溶岩が海へ勢いよく流れ落ちているという。
そこにボートで近づくというんだから、確かに死にそうだ。
何かを判断するとき、僕は一つだけ大切にしていることがある。
「どちらの方がワクワクするか?」
もちろん答えは明白だった。
夜明け、僕たちはボートに乗り込み、20キロ先の崩落現場まで船を走らせた。
闇の中、オレンジ色の光がどんどん近くなり、海から上がる蒸気が見えてきた。
残り200mを切ったところで、カメラの異変に気付いた。
ソニーのカメラα7RⅡに、70-200mmGMレンズで撮影しようと用意していたら、何故か電源を入れてもAFが駆動しない。マニュアルで取るにしても、まだあまりに暗いのでリスクがある。
100mをきった。
仕方ない。もう一本のレンズ、24-70mmGMレンズに切り替えた。
20mを切ると、溶岩の滝が地球の血管のように見えてくる。そして海面からは爆発的に煙が上がった。
レンズが突然見えなくなる。慌てて前面を見ると、熱くてレンズが曇ってしまっていた。
拭いてシャッター、また拭いては撮影の繰り返し。
溶岩滝にあまりに近づき過ぎて、火傷しそうになる。もう10mをきっているだろうか。
有毒ガスで涙がとめどなく溢れる中、ふっと闇の海面を輝かせる溶岩の反射に気づいた。
船から身を乗り出し、手を下に伸ばせるだけ伸ばす。背面の液晶を見ながらピントを合わせ、海面すれすれからシャッターをきった。
海面の赤い光、そして水蒸気が奇跡的に止んだ一瞬、稲妻のような滝が海面へ飛び込んでいった。
「写真は自分が撮るものではなく、撮らせてもらうもの」
まさしく写真の神様が撮らせてくれた一枚だった。
もし最初に70-200mmの望遠レンズが壊れてくれなかったら、僕はこの引いた写真は撮ることが出来なかった。もし70㎜域で撮っていたとしても、重くて手ぶれしていただろう。
この時の撮影の模様(動画+文章)は、下記で見ることができる。
http://www.sony.jp/ichigan/a-universe/news/122/
僕の力ではなく、何か大きなるものに撮らせてもらった写真だからこそ、最期まで面倒をみたい。
折角、世界一のナショジオフォトコンテストPEOPLES-CHOICEにエントリーして貰えたのだから、日本代表として、日の目を見させてあげたい。
http://travel.nationalgeographic.com/photographer-of-the-year-2017/gallery/peoples-choice-all/15
だからこその一票を、どうぞ、どうぞ宜しくお願いします。
                   ノムラテツヤ拝
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飛翔

7

溶岩滝は2位1325票、ハチドリが1位1556票。
http://travel.nationalgeographic.com/photographer-of-the-year-2017/gallery/peoples-choice-all/15

強いなぁ、1位のミドリハチドリさんは。
人気の秘密はやはり構図にある。僕たち仏教国の人はあまり気づかないが、世界の人たちは、ハチドリの体と羽で十字を構成し、上部の花が血。つまりイエス・キリスト、聖杯ならぬ聖鳥に見えるのだと思う。
ペルーのアマゾン地帯で逢ったハチドリも綺麗だったな。
ハチのような「ブーン」という羽音をたて、毎秒約55回以上羽ばたくことで空中で見事なホバリング。
花の蜜まで最短で飛び、また一瞬で飛び去っていく。青、紺、コバルトブルーの配色。大きさはたったの8センチしかなかった。
今日も日本中、世界中からの投票で、このハチドリに近づきたい。どうぞ宜しくお願い致します。
          ノムラテツヤ拝
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