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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

舞台

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吉田羊が髪を二つに結んで静かに登場。
小池栄子が元気に教室へ入ってくる。
一人、また一人と入り、遣都にスポットライトが。
机に腰かけて、観客席に向かって第一声。
「三谷幸喜です」
一斉に笑いの渦につつまれた。
舞台は楠小学校4年3組。大阪万博の翌年1971年のこと。
遣都が滔々と長台詞をまわしていく。
自分はあまりに普通な小学生なこと、あだ名をつけるのがうまいこと。
映画が好きなことなどなど。
クラスの人気者で皆から兄貴と慕われる「天海祐希」。本当は姉貴なんだけれど。そこへパイナップルを乗せたような天然パーマの転校生がやってくる。
ジョー役の大泉洋だ。
遣都はそれらのナレーションもしながら、舞台を動き回る。
「1つのクラスに兄貴は2人もいらない」
それをキーに物語は進んでいく。大泉洋が天海祐希からどんどん兄貴のポジションを奪っていく。
あるある、こういうのって10歳くらいの時ならざらにある。
それにしても、2人の演技が突出して上手く、余裕がある。
想いを込めて言葉を発するのは当たり前。でも舞台出身の大泉洋と吉田羊は、その一つ一つの間を慈しみ、そこに生まれる化学反応を楽しんでいた。
千秋楽というのに張りのある声。腹の底からしっかり声を出している証拠だろう。
「俺たちは10歳の子供なんだ。羽目をはずしたって、失敗したって良いんだよ。やり直せばいいんだから」
10歳なんて関係ない。これはきっと三谷幸喜が生きている人たち全員へ伝えたいメッセージなのだろう。
日常のくだらない小さなことを、大きく膨らませ、皆の心にあるあの子供でもない、大人でもない狭間の10歳へ引き込んでいく。
舞台は細かなディティールの積み重ね。リアル感を追及するための効果音も素晴らしかった。町の雑踏、蝉の声、いつでも聞こえてくる音に溢れていた。
マッチ売りの少女ならぬ「スイカ売りの少女」の劇をクラスのみんなでしようと盛り上がる。
スイカ売りの歌を歌って下さいと、遣都がアドリブで無茶ぶりをして、小池英子が必死に食らいつく。それらを見て、演者も観客も本気の笑い。遣都、こんなリアルな反応が楽しいんだろうな、舞台って。
ここで幕間。
後半は2学期になり大泉洋が来てから半年になった。
遣都が大泉洋にあだ名をつける。
「おこらないでね」
「あぁ~、言ってみろ」
「チン毛」
「おまえ、センスねえなぁ~」
そのやり取りは、まさに大泉洋のいつもの顔だった。
このチン毛が、後々の物語に響かせるのも、三谷幸喜の手腕だろう。
小出伸也(ドテ)の恐竜話が、場に独特の空気感を生んでいく。
10歳の本能、やりたいからやる、子供の本能が、瞬間に散りばめられる。
そして小池栄子が遣都と絡む場面。
「なんで悪いことばかりするの?」
その答えだった。
「私はこの世から無くなるのが怖い。自分がいつか消えてなくなるのがたまらなく怖い」
「病気なの?」
「元気だよ!でもその日は決まっていて、そこに進んでいく。毎時、毎分、毎秒。いてもたってもいられない。焦っちゃうんだよ。何かしなくちゃって。良いことよりも悪いことの方が沢山ある。だから悪さをするんだ」
「死ぬのが怖くなくなれば、生きるのが楽しくなれば、悪いことはしないってことだね。僕、手伝うよ」と遣都が優しい笑顔を見せた。
舞台を通して、「誰にも迷惑かけてないから良いだろ」という言葉が幾度も出てくる。でもその答えも、しっかり挿入されていた。
「誰も見ていないかもしれないけれど、神様、お天道様が見ているよ」
10歳は、子供と大人の狭間。残酷なことも平気でやる一方、1番自分を変えられる時でもある。
理不尽な日々、理路整然にすすまない。いじめられていると思えば、別の所で友情が育まれ、また裏切られていく。
でも、信じることが自分を変え、周りを変えていくのだ。
吉田羊役はとても繊細で難しい役。それらをアンカーの大泉洋がしっかりフォローする。
物語は佳境を迎え、一つの答えに向かって突き進んでいく。
大泉洋が実はお金持ちのボンボンだったこと、前の学校でもチン毛と呼ばれていたことなど、笑いを挟みながらも日々が進んでいく。
「転校したら変われると思っていた。誰も僕のことなんか知らない。新しい僕になりたいから、そんな僕になろうと思った」と失墜し、最後に天海祐希が持ち前のキャラを全開にさせる。
「クラスに兄貴は一人しかいらない」とスポットライトを一身に受けた。
10歳の彼らに揺れ動く心のひだ。
そして、またリフレインのように言葉が響いた。
「まだ10年しか生きていない。いくらでも試せるし、やり直せる。先は長いんだよ、嫌になるくらい」
エンディングを、遣都が締める。
「その後、僕は福岡の小学校に転校したので、それからの皆のことは知らない」
そして教室の舞台が、奥へ引っ張られていく。
前方の舞台が平たくなり、そこに皆が反射して映り込む。
記憶へのタイムトンネルを、こんな手法で見せるなんて素敵だな。
最後は、皆でスタンディングオベーション。
大きな大きな拍手で、舞台が包まれた。
遣都が幕へ引いていくとき、大きな瞳に涙を浮かべて泣いていた。そして消える瞬間、手を合わせて一礼した。
遣都らしい、最後の締めだった。
その後、舞台裏へ会いにいくと、緑の幕に林遣都と書かれた楽屋前で遣都とハグ。
「お疲れ様、よくがんばったな」
「満身創痍です」
普段は決して言わない遣都がそう言うんだから、相当厳しかったのだろう。舞台は体力勝負。でもこのスポットライト浴びると、お客のリアルな反応を体感すると、もうやめられないんだろうな。
遣都、今回の俳優・女優陣から沢山学べたかい?
それを、どんどん自分のものにして、世界一の俳優へ駆け上れ!
           ノムラテツヤ拝
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子供の事情

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1階11列40番。
どこだ、どこだ?
係員に教えてもらいながら、ようやく席についた。
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「野村さんですか?」
振り返ると、そこには白百合のような清楚な方がこちらを見ていた。
「うちの遣都が本当にお世話になって」
「えっ、、、」
遣都から家族の写真は何度か見せてもらっていたが、千秋楽に来られることも聞いていたが、まさか自分の席のすぐ後ろに座られているとは。遣都、はめたな、やるねぇ~。
「遣都、ほんと立派な俳優さんですね」
「いえいえ、とんでもありません」と首を振りながらも僕はその瞳を見つめた。
遣都、お前の瞳のダイアモンドカットは、このお母さんからのプレゼントなんだな。
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お母さんが目をくるくるさせるたびに、光がキラキラと拡散した。
妹さん、妹さんの彼、おばさん、そしてお父さん。滋賀の大津からみんなで遣都の晴れ舞台を見に来たというわけ。
さて、今回の舞台は「子供の事情」。演出は三谷幸喜。
「小学校の教室を舞台にした、子供たちの物語を作りたいと思いました。でも芝居のうまい子役はなかなか揃わず、芝居のうまい大人の役者に集まって貰うことにしました。そんなわけで今回、出演者全員が10歳を演じます」とチラシに記されている。
出演は天海祐希、大泉洋、吉田洋、小池栄子、伊藤蘭など豪華な面々。
まさに大人の事情で作られた「子供の事情」なわけだ。
7月8日から始まった舞台は8月6日の今日で千秋楽。約1ケ月、ぶっつけ本番の体力勝負。その集大成を今日、迎える。
               ノムラテツヤ拝
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Facebook

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40歳の誕生日に、何か新しいことをしようとFacebookを始めた。それから2年半、同級生や懐かしい人たちとも繋がり、今回の投票でも沢山の方々がシェアや紹介して下さり、大きなうねりとなった。
でも、ずっと悩んでいた。
例えば友人が何かにいいね、をするとそれが見える。それはまだ良い。でも、友人が誰かから出されたコメントに返すと、そのやり取りが見える。それが幾度も往復すると、ちょっと目につく。
それは僕が気にしているだけなのかな?
自分は誰かからコメントされたら、全てに答えるというのがモットーなのだけれど、他から見ると、目について、迷惑をかけてしまっているのではないか?
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個人的に、内輪だけに開放するFacebookの環ならいいけれど、僕は公に全ての人が見られる設定にしている。それらを保持しながら、どうやったらクリーンな壁(ページ)を作っていけるのかを、ずっと悩んでいた。
でも、思っていれば、その答えがやってくる。
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投票中、何度も使ったメッセンジャー。これを有効活用すれば、それらを作れるのでは?
ページに送られたコメントが来たら、こちらはメッセンジャーで個別に返せば良い。
数日前からその方法で返信していますが、良いことずくめ。
なんでこんな簡単なことに、今まで気づかなかったんだろ?
ノムラテツヤ拝
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