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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

島の全景

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イースターへの渡航歴は19回。
現地に住んで、写真絵本「イースター島 ちいさくて大きな島(福音館書店)」と「イースター島を行く ~モアイの謎と未踏の聖地(中央公論新社)」を出版した。
島の隅々まで、ほぼ訪れていない場所は無いほど歩いた。
でも、まだ撮れていない写真があった。
2冊の本で頭を悩ませた、島の全景写真だ。
陸から撮ったものでは小さすぎ、ドローンの写真も捕らえきれていなかった。
空撮出来ない理由は2つ。
まず15年前から観光用のセスナやヘリなどが全面禁止され、軍が領空すべて支配していること。そしてもう一つがチリ側のサンティアゴから飛んでくる時、どうしても地味な島東部から回り込み、空港へ降りていく。そして訪れる半分以上は天候が悪く、良いコンディションで臨めないのだ。
でも、19回も通い続けると、神様がほほ笑んでくれることもある。
島での観光がすべて終わり、飛行機へ。窓際に乗り、カメラの準備をした。
機体は滑走路を東から西へ飛び立ち、そのまま一路、タヒチへ飛ぶ予定だった。
が、上がってから少しすると、左翼が少し傾き始める。
まさか、ほんとか?
どんどん角度が付き、島の西側の斜面を旋回していく。
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一番見たかった派手なラノカウ火口越しのイースター島全景。
昔の写真集とかでは見たことがあるが、最近のものでは皆無。それが今、眼前に。
天候は晴れ。見事な光がクレーターに落ちていた。
震える。
この20年の想いを一気に吐き出し、あの静かな頂きの世界へ自分を戻す。
一枚、一枚、イースターは生き物のように表情を変え、僕を魅了する。
そうか、島が撮らせてくれているんだ。
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それを感じた瞬間、ぶわっっと涙が浮かび上がった。
ピントがずれる。マニュアルで再度合わせ、また一枚、もう一枚と無意識にシャッターが切れた。ようやく撮影させてもらえた。
これが本物のイースター島の貌だ。
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機体はぐるりと島上で旋回し、眼下にアフ・タハイのモアイ像が米粒ようのに見
えた。
               ノムラテツヤ拝
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チリ | コメント:2 | トラックバック:0 |

有楽町セミナー

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明日は有楽町ビックカメラで、ソニーのカメラセミナーだ。
今回は新製品α9で撮影した写真もふんだんに使う新バージョン。
ドキドキ・ワクワクするような、笑いの多いセミナーにしたいと思う。
さぁ、楽しむぞ~
お時間のある方は、ぜひ有楽町へ遊びに来て下さいね!
お待ちしております。
https://ers-sony.secure.force.com/Event/pageEventDetail?e=a245F0000015bZgQAI&p=%E6%9D%B1%E4%BA%AC
           野村哲也拝
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奇跡のイタリアン

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名店は、住宅街の一角にひっそりと建っていた。
横浜市三ツ境の、とあるレストラン。
ここに、もう6回は足を運んでいるだろうか?
大好きな浅野夫婦に紹介してもらった店は、イタリアのマンマの味を想像させた。
よく日本人の舌に合わせて、マイルドに、甘めに、と迎合する店が多い中、見事なまでの現地仕様になっていた。
「カポナータ」から、もはや、のけぞる。
生ハムにメロンは、生ハム&いちじくor生ハム&桃にした方が美味しいと思うけれど、海老のアヒージョも完璧な味わいだった。
そして普段あまりお見掛けしない大ぶりのムール貝。白ワインで蒸され身はぶるんぶるん、そこから出てくる出汁の美味さに、麺を入れたくなった。
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夏野菜とアンチョビのピザは、ローマ風。生地はパリパリだ。
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そしてラストが看板メニューの四種のチーズリゾット。今日も安定感抜群。まるでチーズじゃん、と突っ込みたくなるほど、米の中にぎゅぎゅぎゅっと凝縮されていた。
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「まだ帰らないよね? 家にてっちゃんの好きな日本酒を用意しておいたから」
と旦那のあっちゃんが嬉しいことを言ってくれる。
素敵な浅野家へ向かい、写楽や義侠を酌み交わしていると、美人の娘ゆいちゃんが帰ってきた。
「てっちゃん、今、ゆいはダイエット中なんだって」
話を聞いてみると、食べるのが好きで、それがストレス発散にもなっているので、気を抜くとすぐ太ってしまうのだという。
「どれだけ食べても太らない方法があるよ」
ゆいちゃんの瞳が、キラキラと輝き始めた。
その技を伝授して、それから体の整え方、そして口癖のことを話す。ゆいちゃんに伝えているつもりが、実は自分に向かって話していることに、途中で気づいた。
僕は、こんなに影響され、今もそれをモットーにして生きているんだな。
僕には師と呼ぶ人が何人もいる。
精神的支柱のSさん、気を教えてくれた矢山先生、写真の師である星野道夫氏、そして生きる上で大切な指針を教えてくれた佐藤富雄先生。
大ベストセラー作家であり、著作物は100冊をゆうに超える。理学博士であり、北極にシロクマを撃ちにいく一流ハンターでもある。
20代前半、先生からは大きく2つのことを教えてもらった。
1、人生は口癖で変わるということ。
人の悪口は言わない、愚痴は言わない、なりたい自分のイメージに口癖を合わせていく。
2、人生に迷ったら、損得ではなく、ドキドキ・ワクワクする方を選ぶこと。
今、ゆいちゃんに話していることは、そのまま富雄先生の受け売り、何だか涙が出るほど嬉しくなった。
こんな風にして、亡くなった先生も、僕の中で生き続けているのだ。
「人生の師」は多ければ多いほど面白いと信じている。
だって、人間は一人で個性的になる人など皆無。みんな真似て、学び、それらを血肉に変えていく。
その師と師の在りえない組み合わせこそが、新たな個性を生み出していくのだ。
自分が敬愛した人たちから多くを学び、それらを組み合わせて、新たな地平を拓くこと。これが年下に生まれた人たちの使命だと思う。
帰り道、富雄先生のことを思い出す。
熱海に引っ越したばかりの時、海岸に突き出した先生の事務所を訪れた。
「よく来たなぁ~」と抱きしめてくれ、そのまま僕の瞳の奥を覗いた。
「心配していたんだよ、写真家としてやっていけるか?でもそのワクワクしている目があれば大丈夫だな。地球をたっぷり楽しみなさい!」
先生、僕は先生の思い描いたように、地球を楽しんでいますか?
「もっと大きく」
きっと先生なら、そう言われますね。
地球は限りなく大きく、そして深遠ですものね。そして僕たちには地球を越えて、宇宙へ飛び出す世代ですから。リミッターを外し、全力で100歳まで駆け抜けます。
先生、早く生まれ変わって来てください。
この世でお待ちしております。
               ノムラテツヤ拝
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