逆転満塁ホームラン2017-08-29 Tue 16:26
![]() 目覚めてすぐに、ユナイテッドのホームページを確認した。 赤いマークでアラートの文字。クリックすると「ヒューストン空港がハリケーンのため閉鎖した」と。 頭の中が白くなりながら、英語を読んでいくと、日本時間の9月1日までヒューストンに発着する全便の欠航が決まったという。 おそるおそる自分のEチケットを読み込むと、やっぱり。赤文字で天候不良のためキャンセルと書かれていた。 やばい。 ペルーの旅行社の友達とリマに住む阪根ひろちゃんに電話する。ひとつひとつ現状を話しながら、今、自分がやれることを確認した。 午前9時。ユナイテッド航空のオフィスが開いたと同時に電話した。 「明日、ヒューストン経由でリマに行くのですが、キャンセルになってしまって」 「ハリケーンが酷いことになっているみたいですね、人数は1名ですか?」 「いえ、自分を含めて18名です」 「えぇっ?」と、しばらくUAの方は黙り込んだ。 まず明日以降の成田~ヒューストン~リマ便が本当にないかを確認する。 「この路線で飛ぶ場合は、どれだけ早くても9月4日にしかリマには到着できません」 「では、ニューヨーク経由で行くリマはどんな感じですか?」 昨夜からずっと調べていた航路。現地で一泊しなくてはいけないけれど、そんなことは言っていられない。 「ニューヨーク便は9月5日まで満席で、6日は3名入れます」 そう、僕たちの弱みは18名という大人数だった。 「では、日本からサンフランシスコやロスを経由してニューヨークに行くことは出来ますか?」 「ロスは満席で、サンフランシスコからは可能ですが、肝心のニューヨーク~リマ路線が数日先まで満席でした」 頭の中で、リマを中心に世界を動かす。 確か、スターアライアンスのチーム内で、パナマやボゴダ(コロンビア)からリマののフライトもあったと思うのですが。 パコパコとキーボードの打つ音がして、「コパエアラインですね。でもユナイテッド便じゃないと振り返るのは禁止されていて。でもお客様は1Kでいらっしゃいますものね。上司にかけあってきます」 3分くらい待たされただろうか? 1Kメンバーとは、ユナイテッド航空を使い年間10万マイル(16万キロ 世界四周)飛んだ人だけが付与されるプレミアメンバーのこと。つまり上得意さまというわけだ。 「いつもユナイテッド航空を使って頂き、今回もこれだけ多くの人を紹介して下さり有難うございます。今、上司からスターアライアンスチーム内であれば振り替えOKだと確認が取れました」 パナマかボゴタ。 ここへ飛ぶためには、北米からはニューヨークかヒューストンしかないことを知り元の木阿弥。起点となるニューヨークと、ヒューストンが使えないのだ。 こうなってくると、もうパズル。それも解けないパズル。実際この航路を使っても、リマに最短で着けるのは9月4日の6日後だ。 これは、やばいかもしれない。旅そのものが無くなってしまう。 みんな、どれだけこのペルー旅行を楽しみにしてくれていたのだろう。それをハリケーンのせいで取りやめるなんて、どうしても出来ない。僕の持ち味はひとつ、決して諦めないこと。 1Kメンバーということで、上司に電話を変わってもらう。自分がなぜペルーに行かねばならないか、いかにUAを使って今まで助けてもらったか、今回は愛する友人たちが心から楽しみにしていたことを伝えた。 上司にとっては、どうでもいい話。でも、その想いのたけを真っすぐにぶつけた。 「分かりました。野村様の方で言われる路線で、もし18名も空いているものがあれば、そこはこちらで持ちます。ただし、ユナイテッド航空を使ってまずアメリカに来るというのが条件です。北米~南米路線は、こちらで値段が高くても、全額持ちます」 まず浮かんだのが、エアーカナダのトロント経由。でもこれも羽田~サンフランシスコをユナイテッド、そこからをエアーカナダにしてトロント~リマと繋ぐと9月1日の便が何とか取れそうに。でも実際予約を入れてみないと残席は分からないという。 これだと2日遅れだ。探せ、探せ。まだきっとある。 こんなトラブルが起きているのは、自分が全力で努力していないから。 まだまだ、必ず打開策がある。 「ごめんねさいね、私たちはユナイテッドグループであれば詳しいのですが、他の路線はまったく知らなくて」と電話口のUAの方。 「あっ、もしかして、ロスまで飛んで、ロスからLATAMでは如何でしょうか?」 「ラタム?」 「昔のラン航空です。少し前にタム航空と合併してラタムになりました」 「他社なので残席が詳しく見えないですが、7名以上の空きがありそうです」 「18名入れますか?」 「一人一人入れていかないと分かりません。ラタムの細かな残席はラタム航空しか分からないので」 参加者全員の名前を伝えると、「予約が取れたら、連絡します」と電話が切れた。 すぐさま、知り合いのLATAM日本地区副支社長Yさんに連絡をし、端末で細かな残席を見てもらう。 「良かったですね、少なくても今、手元のPCで20席の空きが見えていますから大丈夫ですよ」 どっと全身の力が抜けた。UAから連絡は無いけれど大丈夫。必ず取れるはずだ。 18歳から始めた海外の旅。その飛行路線を総動員する交渉となった。 スターアライアンス、スカイチーム、ワンワールド、その他の航空会社を学んでおいて良かった。 そしてUAの最上級メンバーの1Kだったからこそ、他社への振り替えにかかる18名分の料金をユナイテッドが支払ってくれることになった。 20分後、電話がなった。 「野村様、お手柄ですね。全員予約が出来ました!」 よっし、すべて揃った。 頭をフル回転させたことで、ようやく旅のアテンドモードのスイッチが入った。 なんとか明日、出発出来そうです。 今は東京マリオットホテル。これからラタム航空主催の南米スペシャルセミナーの講師をしてきます。 副社長にお礼を言わないと。 ノムラテツヤ拝 ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
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