クオウエス2017-09-29 Fri 17:41
![]() 前を走る変態がいてくれる幸せ。それをしみじみ感じる夜となった。 とある大手出版社の編集者Hさんを、僕は昔から兄貴と呼ぶ。 芸術全般、お酒全般、向かうところ敵なしの博学な兄貴から、僕は東京の美を沢山教えてもらった。 昔は寿司屋は、富山だ、仙台だ、天草だ、と吠えていたが、今は静かなもの。 だって兄貴に連れて行って貰った東京の2店を越える店が未だ見つけられないから。 「野村くん、ナショジオの投票も終わったことだし、久しぶりに何か食べようか? 仕事の話もしたいしさ」というわけで、お店は南青山の和食屋さんに決定した。 表参道のスパイラル前で待ち合わせすると、やっぱり今日も兄貴はお洒落さん。蝶ネクタイをさりげなく付けて、颯爽と現れた。 「元気そうだね」 「兄貴こそ」 タクシーで何度か細い道を曲がったところで降ろされた。 「分かりにくい店なんだ、ここらへんだと思ったけれど・・・あった、あった」とインターホンをならした。 「ここって、一見さんお断りのお店ですか?」 「いや」 「でも、絶対に最初の人は、このブザー押せませんよ」 中から美人の女性店員がひょこっと顔を出し、兄貴の顔を見るなりニッコリと笑った。店名は「挧翁S(クオウエス)」。もしこの名前にピンと来る人がいたら、あなたは間違いなく陶芸好き。それもかなりの。陶芸で初めて人間国宝をとった4人のう ちの一人、石黒宗麿の雅号だ。 中へ入ると、サッパリした内観。 まずはビールを片手に、つきだしの貝を頂きながら、松茸の土瓶蒸し。上から見ると十字型の器に目がいく。 ![]() ![]() 日本酒に移ると、自分の好きなお猪口を選べるようになっている。ちょっとひしゃけた青いお猪口に一目ぼれ。 「野村くん、お目が高い。それ8万円」と兄貴がこそっと教えてくれる。 ![]() ![]() ぬる燗をすする。もちろん美味いけれど、壊してしまったらと思うと酔えない(笑)。 ヒラメの3種盛りも、まるで天目のような模様に、川底の藻を想像させた。 ![]() お酒が変わると、徳利も変わる。 「これ、ウン十万円」と、次々と高くなっていく。 何がそんな変わるのかと、その表面を撫でてみた。驚くことに、ザラ目なのにぞっとするほど滑らかだ。 鶏肉煮つけとジャガイモと枝豆で作られたスープ、あぶらの乗ったクエ。器はもう百万を超えていた。見ているだけで、静かな迫力が器から立ち上がってくるのだ。 ![]() ![]() そして、松茸に鱧が巻かれた天ぷらに、ガツンと衝撃。松茸の香りに負けてしまうかな?と思いきや、鱧が良い仕事しますね。後味にすっと寄り添ってくる。 ![]() そして、ノドグロのヘシコに出汁をかけたお茶漬けで、僕はとうとう即死した。 ![]() ひとつひとつの丁寧な料理だからこそ、数百万の器にもしっくり来る。 茶道の長いクロモジでデザートの梨を頂きながら、兄貴と大将の四方山話に笑った。 ![]() 大将は、椀が好きすぎて、眠る横に置いて撫でまわしているそう。 「良い椀って、どのようなものですか?」 「飽きないもの、一年間同じ椀で飲んでも、飽きない。逆にどれだけ見栄えが良くても、わずかに破たんしているものは、何処かで飽きる」 ![]() 椀に限らず、それは人間にも言えることだなぁ~と、唸った。 だって、目の前にいる二人は完全に変態。破たんして突き抜けてしまっている。 有難いな、と思う。 こんな愛すべき先輩たちが、前を走っていてくれて。 ![]() 僕も安心して、変態道を突き進みます。 帰る時に大将が一言。 「この壺300万。でもこれを売って、500万のを買おうと思って。今度見せてあげるからね」 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
ヨドバシカメラ新宿セミナー2017-09-29 Fri 14:12
![]() 明日、明後日はヨドバシカメラ新宿西口本店(カメラ総合館6階 イベントスペース)で、ソニーのプロカメラマンセミナーを開催します。新製品α9で撮影した作品も含めて、ソニーの魅力を存分に語ります。 https://ers-sony.secure.force.com/SEvent/pageEventDetailEVT?e=a2O5F000001Hf9nUAC&p=%E6%9D%B1%E4%BA%AC セミナー終了時には、割引クーポンも配布されますので、α7、α9のボディ、FEレンズなどの購入をお考えの方はぜひいらして下さい。 さらなる特別割引もあるかもしれません。乞うご期待! 東京周辺の方はもちろん、関東圏の方々、ぜひ遊びにいらして下さいね。心より楽しみにしています。 ノムラテツヤ拝 ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
ウォンさん2017-09-28 Thu 10:08
![]() 盛岡での講演会は、ウォン・ウィンツァンさんとのコラボだった。 NHKに数多くのピアノ曲を提供し、あのダブルミリオンセラーアルバム「feel」にも採用された。 上下純白のいでたちで現れ、真っ白いピアノの前で首を振り、体を揺らした。 一瞬の静寂の後、透明感あふれる音符が紡がれた。 最も感動したのは、こころの時代のテーマソング。 https://www.youtube.com/watch?v=2TdZ_tS75aU 首を振り、体を揺らすのが、音へ入るルーティーンなのか。ゆっくりと我が消えていく。体全体が音色になっていく感じ。 ドレミファソラシ の七音が七色に輝き、ウォンさんの白い服を染めていく。 自分のやりたい方向を、ウォンさんは体現していた。 終わってから聞いてみると、教えてくれた。 「瞑想をすると副交感神経が活発になります。でも音楽を奏でるのに必要なのは交感神経。そのバランスを取れるように、何度も試みました」 やっぱり、大切なのはバランスなのだ。 ![]() どちらが優位になり過ぎても崩れる。行ったり来たりしながら、自身を中道に乗せていく感じ。 旅のはじめに(にっぽん紀行テーマソング)では、まるで静寂の中、青い炎が燃えているよう。 静寂、また静寂の間を繋ぐように紡がれる音符たち。 今日は素敵なものを見せて頂きました。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
紅葉前線2017-09-27 Wed 20:43
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盛岡の仲間2017-09-26 Tue 17:18
![]() 僕の体には、父からの岐阜の血と、母からの仙台の血が流れている。 だからだろうか? 東北に行くと、妙に体が落ち着く。 ![]() そして僕の人生を彩ってくれる仲間たちが沢山いるから、いつも心が温かくなる。 こうちゃん。 僕たちの生きる手本として、いつも先頭をきってくれる鉄人だ。 自分が今まで企画した16のツアーの全てに参加してくれ、南米のペルーなんて、マチュピチュ・ナスカ、北部でヤギを食べる、ウユニとペルー、チャチャポーヤスと4度も参加してくれた。 一度でもこうちゃんに会うと、みんなが好きになる。 背筋を伸ばし、日本男子の神髄「強く優しい」心で、僕たちをふうわりと包み込んでくれる。 ![]() 2016年6月にアイスランドを旅した後、こうちゃんは手術をした。僕もお見舞いに行ったが、いつも通り気丈にふるまうこうちゃんに涙が出た。 術後、思うように傷がふさがらない縫合不全になり、今は胃ろうを付けた。食べ物は口に入れられないが飲み物は大丈夫と日本酒をゴクリ。 こうちゃん宅で、今夜も大盤振る舞い。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 「今は体調を良くして元気になること。そうすれば腸を食道にする手術を受けられる」 こうちゃんは、どこまでも強かった。 ![]() 決めた。 こうちゃん、80歳の誕生日は、また旅の空の下でまたお祝いさせて下さいね。盛岡の愛する仲間たちと一緒に、そう誓った。 豆腐、里芋、角煮、ウニ、煮つけ、岩手みどり(枝豆)、するめ、そして鮎、どれもこれも絶品でございました。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |