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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

南米のドン

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南米で最も好きな国、それは今も昔も「チリ」だ。
その首都・サンティアゴに「南米のドン」と呼ぶに相応しい方が住んでいる。
未来を見通す力、適材適所、そして波乱万丈の人生から、南米有数の旅行社にまで成長させたカリスマ性。そして限りなくあたたかな懐。
マポチョ川の流れる高級住宅街の一角に、空港からタクシーで乗り付けた。
「いらっしゃい」
奥様の満江さんが柔らかな笑顔で出迎えてくれる。
「あれ、野村くん、ちょっと痩せたか?」
部屋からドンの三谷さんが顔を出された。
「アタカマ砂漠に美味しいものが無かったので」
「そうだろうなぁ~」と、皆で笑った。
「まぁまぁ、中へ入りなさい」
まずはバルコニーでビールとおつまみで乾杯。
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ネコのトラちゃんと初対面し、ピューマのような顔つきに見惚れた。
ブルーチーズに生ハムがチョコンとさされる心遣い。
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三谷社長の相変わらずスケールの大きな話に聞き入っていると、そろそろランチにするかとダイニングへ通された。
「野村くん、食べるの好きだから、これ、何か知ってるわよね?」と満江さんが指す。
「アーティチョークですよね」
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「それをオリーブオイルでね」
「大好物なんです。日本では新鮮なのが食べられなくて」
よく見ると、納豆が。そう、僕は世界中、どこに住もうとも自家製納豆を作り続けているが、作り方を教えてくれた先生こそが満江さん。僕の大切な南米の母でもある。
「それに海藻を混ぜて、酢を付けるのが最近の主人の流行りなのよ」
まさに酢昆布のような味で、唸らされる。
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白身の魚も塩麹で味付けられ、まるで京料理。
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「ハリハリ漬けですか?」
「大根じゃなくてナスで、だけれどね」
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そう、南米パタゴニアに2年間住んだ時、僕は南米の母たちから大切なことを教えてもらった。
「物が有る、無しじゃなく、あるものを工夫してご機嫌に生きること」
ワインも高級な白から始まり、バニラの樽香がする赤ワインへ。
チラシ寿司とチリのビーフステーキ。
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焼き方も僕の大好きなレアに限りなく近いミディアムレアだった。
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「今度来た時は、うちにゆっくりと泊まっていきなさい」
そう、今週末に極楽隊&柳家隊の「天下無双の宴」を開催するため、夜の便に飛び乗らないと。
ぐるんぐるんに酔いながらも、息子のゴウさんの車で空港へ送ってもらった。
さぁ、日本全国から集う仲間たちが喜んでくれるよう、ワクワクドキドキしてくれるよう、週末も全力で走り抜けます。
               ノムラテツヤ拝
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太陽の下で

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撮影も無事に終了。
でも、どうしても理想の一枚が撮れていなかった。
ガラデレオンと太陽を重ねるカット。
最終日、一人で向かうと、この一週間ずっと曇っていた谷に晴れ間が見えていた。
雲が恐ろしい速さで流れていく。ガラデレオンと一緒に待って、太陽が現れた一瞬を捕らえた。
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花はやっぱり太陽光がよく似合う。いのちは光り輝き、そのたおやかな力を解き放った。
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さぁ、戻ろう。首都のサンティアゴで大好きなご夫婦が待っていてくれる。
           ノムラテツヤ拝
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いのちのかたち

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世界中の花園を巡る写真家として、カメラの前で質問に答える。
「どうして花園が出来るのか?」
「なぜこの花が咲き誇るのか?」
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世界で最も過酷な環境に咲く、世界で最も美しい花たちと共に、少しずつ皆で積み重ねていく。
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黄色いガラデレオンも、合計4つ見つけ、最も状態の良いものは、まばゆく輝いた。
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広角レンズの開放値で撮ると、空気感まで写り込み、陽が差し込むと、ガラデレオンはより立体的に命を形を浮かび上がらせた。
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カマンチャカと呼ばれる深い霧が海からアンデスへ押し寄せ、それらの水分で砂漠の花園は出現する。
              ノムラテツヤ拝
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真紅の谷

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神様は、自然は、時に想像を超える贈り物をしてくれる。
世界120ケ国の自然を撮影する中で、「世界で最も好きな花は何ですか?」とよく質問を受ける。
「南アフリカのマーチリリーとチリのガラデレオンです」
アルストロメリアの仲間のガラデレオンは、スペイン語で「ライオンの拳」の意味。生息域はアタカマ砂漠の西岸だけに限られ、一つ谷を変えるだけで、もう見られなくなる幻の花。だからこそ植物愛好家たちから「世界で一番美しい花」と崇められているのだ。
初めて出逢ってから、もう8年。秘密の谷へ降りていくと、そこには在りえない数のガラデレオンが谷を真紅に染めていた。一つでも見られれば乱舞狂喜する花が、花園を作り上げているのだ。
僕は夢心地のまま歩いていくと、一つの花に吸い込まれた。
まさか・・・
生まれて初めて見る、ガラデレオンの橙色だった。
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そしてそのすぐ脇には黄色のガラデレオンも発見!!!
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赤と黄の子供が、橙として花開く。命は連綿と繋がり、時に想像を超える贈り物をしてくれる。
現地に住む花の先生に聞くと「私が見てきた50年間で、今が一番だ」と微笑んだ。
さぁ、NHKの凄腕カメラマン達に、美しく撮影してもらおうっと。
          ノムラテツヤ拝
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砂漠のランチ

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一線を走るプロフェッショナルたち。
その方たちとの撮影は、とても勉強になる。
写真は時間を1枚に封じ込めるが、動画は時間をそのまま流す作業。
花が風に大きく揺れれば、見たこともない自在ばさみで茎を優しく挟む。
マクロで花の隅々まで、映し出す。
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撮影中も、レジェンドのけんさんが皆を笑わせてくれ、終始和やかな雰囲気。
さすがだなぁ~と思う。
マルビーヤの薄青の光に吸い込まれ、サボテンの花の純白に魅せられる。
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お昼はヤマトくんがレトルトのごはんとラーメンを作ってくれる。
砂漠のど真ん中で食べるランチ。
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これが美味しいんだなぁ~。
時間を積み重ねて、素敵な作品になるよう頑張りまっす。
                ノムラテツヤ拝
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