赤いドア2017-10-16 Mon 15:08
![]() 探求を止めた瞬間から成長は止まっていく。 今日は名古屋の一見さんお断りのお店。 入口は赤いドアで、一般客をまったく寄せ付けない。 今夜のメンツは、加藤さん、あんちゃん、ひろちゃんと僕の4名。奥のバー形式の部屋へ通され、店主の大将と奥様を紹介してもらった。 ![]() 「今日はコレから始めます」 ![]() お皿に盛られたのは、灰褐色の蟹。まだ生きているのか、瞳をキョロキョロと動かしていた。 「上海ガニですか?」 ![]() 「今日は特別に雄、雌を同時に味わってもらおうと思って」 一同から歓声があがる。 ![]() 腹を見れば、袴の形から雄か雌かを区別することは出来るが、よく見ると顔と体付きが違う。特に雄はハサミの部分が毛に覆われていた。 「なんだかモズクガニに似ていますね」 「確か、上海ガニとモズクガニは棘が一本多いか少ないかの違いだったと思いますよ」 よっぽど食物が好きなんだろうな、大将の瞳がキラキラ輝いた。 耳をすますと、プクプクと泡を吐く音が聞こえてくる。 ひとしきり観察を終えてから、大将は厨房へ持ち帰った。 その間に、まずは上海ガニの紹興酒漬け。ようは酔っ払い蟹だ。甲羅から身をこそげ落として食べると、その濃厚で清冽な味噌と卵の味に周りが見えなくなる。 ![]() 「うちは、上海ガニが到着すると、まず紐を外してひとつずつ徹底的に綺麗にします。それから紹興酒の上澄みだけを使って、漬けていきます」 ![]() 横を見ると、ひろちゃんもあんちゃんも、無我夢中でがっついていた。食べることだけに没頭していると、はんなり赤く染まった蟹がテーブルに運ばれてきた。それらを奥様のレクチャー通り、解体し、言われるがままに、吸ってぇ、食べてぇ~と雌雄の違いを体感していく。 ![]() ![]() 実を言うと、僕は上海や他のアジアで上海ガニを幾度も食べている。そして雄の方が絶対に美味いと結論付けていた。 ![]() もちろん、白子のような、栗を濃くしたようなミソを持つ雄は、今日も迫力がある。でも雌の身の奥に潜む上品な甘みと言ったらどうだろう? ![]() ラーメンで言ったら雄が人気の豚骨ラーメン、雌が塩ラーメンのよう。 「イママデノ シャンハイガニハ ナンダッタノカ?」 ![]() 間違いなく、我が人生ナンバーワンの上海ガニだった。 箸休めで出てきた松茸の土瓶蒸しにも、一同のけぞる。 ![]() 「薄めてラーメンにしたら大行列になりますね?」 ひろちゃんはすぐに反応し、「加藤さん、あんちゃん、この店の横に赤い扉ならぬ、青い扉を出店して売り出そうよ!」 ![]() 「今日は一年に一度の朝鮮人参入荷日でね」と大将が立派な朝鮮人参を見せてくれた。端の方だけ折って食べると、触感はラディッシュ、味は土くさく、最後に苦みが押し寄せる。これって何処かで食べた味だなぁ~とひろちゃんを目が合い、「マカ」が浮かんだ。アンデス高地にだけ生育するマカは、日本では健康食品として有名だが、生のマカの味と朝鮮人参の味は、あまりに似ていた。 「てっちゃん、朝鮮人参の一番生産量が多いところって何処だと思う?」 「朝鮮半島じゃないんですか?」 「日本だよ、日本。長野とかが特に有名」 大将を見ると、うんうんと頷いている。そして「生産国には、北朝鮮、韓国、その他アジア」と書かれているとの蘊蓄も。 紹興酒の上澄みを呑みながら、皆で笑ったなぁ~。 ![]() 巨大海老の丸揚げ、鯛の蒸し焼き、自家製のチャーシューと続き、意識が朦朧としてきたところで、最後は特製のイクラ御飯に四川山椒をかけて締めた。 ![]() ![]() ![]() 名古屋って、こんなに美味しい都だったんだ。加藤さん、安藤さんとご縁を結んでもらったことで、今のこの時間がある。 ![]() 「俺、名古屋に引っ越してこようかな?」 「いいですね、ひろちゃん」 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
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