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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

旅の必需品

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サトウキビ畑が延々と続いている。
見上げると、雲は低く、太陽が近い。
アカシアの木々が、乾燥した大地を青く茂らせていた。
今日は、旅に必ず持っていくもの、について記したいと思う。
現在、どれだけiphoneに頼っているかは、想像にかたくない。
グーグルマップ、ネットサーフィン、太陽や月の動いていく軌跡まで何でも調べることが出来る。でも、どれだけ便利になろうと、僕は必ず旅に日記を持っていく。
昔、ある人を取材していた時、彼が言うことをひとつひとつメモしていた。どれだけ汚い字でも、後から読み返せばキーワードで会話が浮かんでくるように。
突然、彼が言った。
「書いているから覚えようとしないんだよ。書かなければ必要なことは覚えてる。忘れることは、きっといらないこと」
書かなければ覚えられないと教育を受けてきた僕には、とても新鮮な言葉として響いた。それを守り続けて12年。今は一つのやり方を続けている。
人との会話は、基本的にメモをしない。その代わり、しっかりと聞き、質問しながら会話全体を上げていく、または掘り下げていく。そしてよく耳に残った言葉だけを、後から日記に記す。対して、その時の空気感や自然の様相、例えば葉っぱの揺れ方や、光の差し込み方、吹いてくる風の肌ざわりなどは、出来るだけ正確に、感じたままを記しておく。日々、美しき自然が繰り返されると、どうしても忘れてしまうものが何気なく感じたことだから。
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もう一つは、書いても忘れない方法だ。
脳科学では証明された分野だけれども、何色の文字が脳に一番刷り込まれやすいのか?
それが「青」だ。
だから僕は、いつも旅に持っていくのは青ペン。
実際試すことで、それらが本当だと確信している。忘れないというよりも、忘れにくい・・・という感じ。
自然の中にいるときは、風や雨や雪、山や海や地が語りかけてくることがある。
目をつむり、それらの風音に合わせようとすると、力みが出て、声から遠ざかってしまう。そんな時は、日記に向かって今、その時を書き留めると、自身が真っ白くなっていき、すんなりと文字があふれ出てくる。
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大切なのは自分を真っ白にすること、入ってくる間(あわい)を開けること。
自然はいつも僕たちに語り掛けてくる。完璧なタイミングで、包み込むような優しき声で。
聞こうと思えば思うほど、聴こえない。手放し、空白を作り、任せたところで、命は自然と一体化する。
ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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