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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

総理公邸晩餐会

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三週間ほど前、突然、外務省から連絡が入った。
「内密にして頂きたいのですが、チリのミチェル・バチェレ大統領が来日されます。
そこで晩餐会を開催するのですが、日本在住のチリとの関係が深い方、またはプロフェッショナルの方に来て頂ければと思い、連絡させて頂きました」
「・・・・・・・、晩餐会ですか? 何かの間違いじゃ?」
「外務省より、大使館及びチリ関係者に打診したところ、各方面より野村様の名前が出まして。
こちらでも調べさせて頂き、正式に招待を決定しました」
そんなやり取りをして、少し前の記事のスーツを買いに行ったというわけ。
パタゴニアから戻ると、一通の手紙が。哲也殿の裏には、安倍晋三総理大臣の文字が。
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中には招待状と、ハイヤーに張る標識票が入っていた。
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横浜の自宅から国会議事堂前まで向かうと、日本の旗とチリの旗が仲良く揺れていた。
入口で招待状を見せるとすぐに黒服の方が現れ、総理官邸の脇を通って、総理公邸へ案内された。歴代総理大臣の写真が飾られる大きな広間で待つことに。時間が経つごとに続々と招待者が到着する。天理市の並河市長はじめ、ノーベル物理学賞の天野博士、国立天文台の林台長、アンドロイドで有名な大阪大学の石黒博士やチリでお世話になった小川大使など、錚々たる面々が。
写真家はともかく、芸術家すら自分以外一人もいない・・・。
どうして僕はここに???と挙動不審になっていると、首脳会談の終わった二人が公邸へ到着された。
晩餐会の部屋の入口で一人一人挨拶する。やがて僕の番になると、安倍総理はにこやかに微笑まれ、バチェレ大統領と二言、三言、話をさせてもらった。
会場は天井が曲線でガラス窓となり、中央にシャンデリア。座席表を見ながら、自分も席に着いた。
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僕たちの円卓は、チリで最も有名なロボット博士2人、バチェレ大統領の広報担当官と警備官、安倍総理の側近、そして外務省の南米局長という顔ぶれ。
安倍総理の話の後にスペイン語で乾杯の「サルー」。
バチェレ大統領の話の後に、日本語で「乾杯」と杯を交わしあった。
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富士が描かれたメニュー表を見ると、敬意を表してバチェレ大統領、ホストが安倍総理と記され、前菜から怒涛のように料理が出てきた。
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僕は、この晩餐会に参加するにあたり、楽しみにしていたことがあった。
「チリの大統領をもてなすのに、日本国は一体どんなワインを使うのだろうか?」。
その答えのひとつは甲州ワインだった。
疑問を同じ卓の総理側近の方に伝えると、「わたしたちも随分と悩みました」と切り出した。
「わたしたちが外国に出かけて、安い日本酒が出されたらちょっとがっかりします。
でも、獺祭(山口)が出たらやっぱり嬉しい。でも総理がもし東洋美人(山口)の方が好きだったとしたら?」というわけで、チリではなく、甲州のアルガブランカ・イセハラ(白ワイン)が選ばれた。
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でも、チリの最高級ワイン「ドンメルチョール」なら、バチェレ大統領も気に入ったはずだと思うんだけれどな・・・。
前菜は伊勢海老黄金焼きキャビア添え、鮑味衣揚げ、蚕豆化粧揚げ、白ばい貝雲丹和え、豆苗牛肉浸し、花茗荷。
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蒸し物はフォアグラ豆乳茶碗蒸しにトリュフとブロッコリー。
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強肴は大蛤揚げに生姜ソースで。
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そこから和牛ロース焼き、
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握り鮨。トロ、鯛、細魚、赤貝、車海老と並び、
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それらをドメーヌ・ソガ・サンシミ・メルロー(小布施の赤ワイン)と清酒「榮川(福島県)」で合わせた。ラストは、ふじりんご、マスクメロン、イチゴ、デコポンと旬の果物で〆。
バチェレ大統領にそろそろお話に伺おうかと思ったところで、なんとお開きに。
あーん、残念。チリのことで、是非ともお聞きしたいことがあったのに。
「今日は楽しかったよ。今度チリに来たら、ぜひ我が家へ遊びにきなさい」。仲良くなった隣のロボット博士が、落胆する僕の背中をポンポンと叩いた。
そう、大切なのは目の前に現れてくれた人との御縁。それらを丁寧に積み重ねることで、また次の可能性が生まれるのだ。それまで日々精進します。
自分の人生に無縁だと思っていた総理公邸での晩餐会。どのようにして日本国が他国の大統領をもてなすのかを目の前で体験させてもらえ、心より感謝しています。
PS、外務省のY様、どうやってこの晩餐会の人選が行われたのかを懇切丁寧に教えて下さって有難うございました。また一つ、僕の大きな疑問が解けました。
              ノムラテツヤ拝
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