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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

星空の中へ

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ずっと夢見ていた風景があった。
無風の夜、天の川が弓状に夜空にかかり、塩湖の水面に星々が完璧に映り込む。そこに地球創生のようなまばゆい太陽が現れる。
一年の内に数日しかこの完璧な状態は訪れない。暦を計算し、星の動きを読み、選んだ大切な1日。
その時間は深夜の2時に訪れる。特別なレンズを使い、少しばかりテクニックを使ってシャッターを押した。
僕たちは銀河の中で生かされている。
宇宙創生と共に地球が産み落とされ、様々な生命体が産まれた。星々は今この瞬間を輝かせ、銀河もまた日々拍動している。
「銀河の中で生かされている」
それを肌で感じた人は、この惑星をさらに愛し、敬意を払うようになる。それはきっと「天の川」という銀河の揺りかごに抱かれたから。天の川のトンネルの先には、まばゆい光が。
僕は今、ウユニ塩湖の中心に立っている。
ノムラテツヤ拝
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鏡面世界

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ウユニ塩湖は乾季、雨季合わせて10回以上は来ている。
1月~3月の雨季は、これで通算5度目だけれど、今回は何度も自分の目を疑った。塩のホテルから300mほど行ったポイントから、水平線まですべて湖になっているのだ。
僕はいつもウユニ塩湖を中華鍋で表現していた。周りのヘリがアンデス山脈。そこに降った雨が底のまあるい部分に集まり、塩湖が出来ている・・・と。でも今年は違う。中華鍋に満タンなのだ。だから、いつもよりも深い所が多々あり、60センチ以上水が張っているところも確認した。
「こんなことは、10年ぶりだよ」
ガイドの、ディーテルが両手を広げた。
運転手に指示を出し、特別な場所へ連れていってもらう。
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そこは水が薄く張ることで、天の雲が地に映り込み、まるで鏡の世界。天界が地上に降りてきたような錯覚を受ける。
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山田先生がその中で、24式太極拳を優雅に舞う。足元にひとつ、ふたつと波紋が広がり、やがてそれらがまた元の鏡へ戻っていく。
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風を掴まえて流す動きに、僕はボーっと見惚れた。
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うさとの服を着た方々で、「うさとinウユニ」も。こんなところはよりうさとさんの服が輝きますね。
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ランチは湖上で。
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ふふふ、肉や野菜も出されるが、最も感動させられたのがキヌアパスタ。プチプチでほんのり甘みもあり、美味しかったなぁ。
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夕方になると、雨雲が湧き上り、雷がビカビカ。その中で、結婚式をしているカップルがいた。
             ノムラテツヤ拝
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ウユニ塩湖へ

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ラパス(ボリビア)からの早朝フライト。
遠くに白きアンデスと、アドべ作りのすり鉢状の町が広がった。
35分ほど飛ぶと、秘境のウユニ塩湖が見えてきた。8年前まではバスで12時間の距離が、今は1時間弱で行けてしまう時代。
地平線まで水が張り、雲が完璧に映り込んだ。
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45分で小さなウユニ空港に到着。
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外へ出ると、まるで歓迎してくれるかのようにダブルレインボーが空に架かった。
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ガイドのディーテルと出逢い、今回はランクル6台でのコンボイ。まず向かったのは列車の墓場。
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みな思い思いに過ごし、あっちゃん夫婦をパチリ。
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そしてコルチャニ村に行く途中。真紅の風景が見えてきた。
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「あれが、世界最高品質のキヌアだ」
ティティカカ湖からウユニ塩湖にかけて、高地だけに生きるキヌア。全部で100種類ほどあるというが、その中の最上級種のキヌア・レアルだった。
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まるで紅葉しているかのような華やかさに、皆で歓声をあげた。こんな時、僕は無性に嬉しくなる。地球の美しさを仲間たちで共有し、驚き、感動するのだ。
       ノムラテツヤ拝
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黄泉比良坂

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リマ空港隣接のホテルで一泊して、翌日フリアカへ飛んだ。
予定ではリマ~ラパス(ボリビア)に飛ぶ予定だったけれど、乗り遅れたことによって、大幅に旅程を変えることになった。
朝まで雨が降っていたフリアカは、白い霧にけぶり、そこへ揺れながら着陸。バスで一路、琵琶湖の13倍もあるティティカカ湖へ向かった。
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ここは定期巡行船が通る、世界一高い湖であり、プレインカ文明発祥の地とも称えられる聖地だ。
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道脇にはもうすぐ収穫を迎えるキヌア(アカザ科)が、たわわに実を付けていた。栄養価の高いスーパーフードは、ここが故郷なのだ。
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走り始めて3時間ほどで、ゴツゴツした岩の連なりが見えてきた。まるで、シャスタのような風景に見惚れていると、ひろちゃんがポツリと呟いた。
「この近くに、昔から大切にされている次元の扉があるんだけれど、寄ってみる?」
「次元の扉ですか?」
「うん、俺はよく分からないけれど、そう言われているんだ」
急遽、行き先を変更できるのも、我らの旅の強み。皆も行きたいと同調してくれた。
今日、僕たちのガイドについてくれたのは心優しきウィリー。博学なのは勿論、スピリチュアルな世界にも精通していた。
「この遺跡は昔からシャーマンたちが集う聖地とされ、ティティカカ湖の中で最も大切にされてきた」
連れていかれた場所は、大きな一枚岩に、自然に彫られたという石の扉。その両脇に縦に走る溝があった。
ウィリーから祈り方を教えてもらう。
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真ん中の扉に一人が入り、両脇にも立つ。すると何かが起こるという。
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扉の中には、更に四角に彫られ、中央にくぼみがある。おそるおそるそこに額を付けた瞬間、僕の目の前に母方のおばあちゃんの顔が浮かんだ。
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ビックリして額を外すと、何も見えなくなり、また付けるとおばあちゃんが向こうからこちらを見ている。
これって、もしかして。次元っていうのは、現世と黄泉のこと?
おばあちゃんは僕をじっと見つめ、あの優しい笑顔でほほ笑んだ。その瞬間、嗚咽と涙が溢れ、僕は崩れるように岩にしがみついた。
大好きだったおばあちゃん、その向こうにはおじいちゃん、父方のおばあちゃんの姿、更に向こうには光の玉がいくつも並んでいた。
「生命の樹」
親の2乗の先祖がいて、自分は現世の代表者。その先祖たちが、ずっと奥に続いている。
皆が逢いにきてくれているのだろうか?
涙をぬぐい、額を離すと、額の中央に穴が開いたような感触が。ここは次元の扉ではなく、まさに現世と黄泉を繋ぐ目だ。窪みをよく見ると、向こうから人が覗いているように見えてくる。
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次の瞬間、プレインカ時代の風景が浮かび上がった。シャーマンたちはここで祈りを捧げることで、黄泉との繋がる道を額に作ったのだ。
天から雨がポツリと落ち、ズボンにシミが残った。それは不思議と冷たくなく、暖かな涙のようだ。
パツパツと、その涙は大地を濡らした。
「てっちゃんの言うのは、まさに黄泉比良坂(よもつひらさか)だな」
ひろちゃんが背後から声をかけた。
「よもつひらさか」とは、日本の神話において、生者の住む現世と死者の住む他界(黄泉)との境界を指す。
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いっぱい泣いたからか、無性に小便がしたくなった。アンデスの草むらで、用を足すと、暖かな雨が更に強くなった。
それは天からの声、いや、現世、黄泉、そして来世から届く伝言だった。
          ノムラテツヤ拝
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ペルー | コメント:0 | トラックバック:0 |

ようやくリマへ

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早朝ヒューストンから飛び立った飛行機は、ユカタン半島のカンクンをかすめた。青く光り輝くカリブ海、地球が作り上げた見事な環礁地帯を南下し、やがて中米大陸が見えてきた。
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さすがはビジネスクラスだけあって、食事も豪華。
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何より陶器やガラスの皿で出されるのが良い。スパークリングを飲みながら外を
見やると、高くそびえる山々と、緑の木々。
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カラフルな家々が近づいてくると、機体はサンホセの滑走路へ吸い込まれた。
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126ケ国目のコスタリカ。
初めての国へ足を踏み入れた時、僕は一つのことを大切にする。それは外でに出た時の、最初の空気感。コスタリカは、ハワイ島とグアテマラを足して2で割ったような「樹木と花の甘い香り」に溢れていた。
「僕は絶対にこの国が好きになる」
そう思うのに、時間はかからなかった。
でも、今回はここで遊んでいるわけにはいかない。アビアンカのカウンターに出向き、搭乗券を出してもらおうとしたとき、またしても衝撃の事実が。
「あなたたちのグループ12名の内、リマまでは8名しか予約されていない」
昨日ユナイテッド便を乗り遅れ、今日の便に振り替えてもらったことをアビアンカ航空の女性係員に丁寧に話す。
「私たちではどうしようもないの。ユナイテッドの地上係員ここに呼ぶから交渉してもらえるかしら?」
数分後に出てきた係員の男性に、再度同じことを伝えた。
「こちらのミスです。ただ、生憎今日のフライトは満席ですので、4名だけ明日に振り替えてもらうことは出来ませんか?」
それは無理な話だった。困った顔をしていると、横からさっきの女性が割って入ってきた。
「調べたところ、あなたは最上のプライオリティですね?」
「はい、そうですが」
一年間にどれだけ飛行機に乗るかによって、プライオリティのランクが決まる。
僕は1年間に地球4周分(16万キロ)以上乗っているので、最上というわけだ。
「いつも有難うございます。大切なお客様ですので、こちらでブロックしている席を特別に4席ほど提供させて頂きます」
彼女は僕にウィンクをしてから、搭乗券を出してくれた。
ヒューストン~リマの直行便に乗る10名からも、無事に搭乗口に着いたというメールが手元に届く。
よっし、これで全員でペルーのリマへ向かうことが出来る。
コスタリカの首都サンホセから飛ぶこと3時間。眼下にリマの美しき夜景が絨毯のように広がった。それはまるで旅の行く末を照らす、道しるべのように見えた。
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