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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

西表島

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どうして今まで西表島に足を踏み入れなかったのだろう。
日本一壮大なマングローブの森は、僕を虜にするのに1日もかからなかった。
ほんのりと甘い濃密な森の香り、広大な空と海の透明感ある蒼さ、そして点在する村の素朴な風景。
こんな場所が日本に存在していることに、ただ驚かされた。
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「暑い所は苦手だ」と現地民に話すと「この島は内地から避暑に来るわ」と夏の日陰が涼しいことをアピールされる。
シーラ川沿いで朝日の撮影をしていると、マングローブをかける風の音に聞き惚れる。ザワザワではなく、もっと高音のヒューヒューとした音が森を駆けていくのだ。
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自然が奏でる朝のシンフォニー。水面は鏡のように空を映し、森は緑と白と黒のモザイクになる。
深く深く息を吐いてみる。そして体が喜ぶこの濃密な空気を取り入れる。やばい、西表島に通いたくなってきた。
          ノムラテツヤ拝
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ヤエヤマヒメホタル

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沖縄本島、竹富島、ともに興味深かったが、今回の旅の目的は生まれて初めての西表島だった。
石垣港から西表の上原港まで高速フェリーで45分。
宿でレンタカーを借りて、早速ロケハンに出かけた。事前に教えてもらっていた、秘密のポイント。ここが、今年のピークを迎えているという。
午後吹いていた強風が、夕方には無風になった。
森の斜面を見て、生息環境をイメージして、三脚をたてていく。
日が沈み、森が闇を連れてくる頃、ひとつ、またひとつと黄色い光が明滅する。
体長2~5ミリの日本で最小のホタル「ヤエヤマホタル」。ここが、日本一の蛍風景が見られる森なのだ。
来年は、100キロ続く世界一の蛍風景をアルゼンチンへ見に出かける。その前に、どうしても日本一の風景を心に刻みたかった。
ヒメボタルは、ゲンジやヘイケと違い、明滅間隔が狭く、まるで連射砲。そして自力で高く飛べないため、低空を流れるように動いていく。
日の入りから30分後、森は360度、すべてホタルの光に包まれた。光が近づき玉が大きくなると、小さな惑星のように見えてくる。僕は、不思議な浮遊感を感じながら、シャッターを押し続けた。
日没から1時間後、さっきまでの絶景が嘘のように、森は闇の中へと沈んでいく。ヒメボタルの乱舞は、たったの1時間だけ。この動と静のコントラストに圧倒され、僕は西表島の濃密な森の虜になっていた。
      ノムラテツヤ拝
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竹富のじかん

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大好きな時間がある。
竹富島の夕方から夜にかけて。
観光客は石垣島へ帰り、途端、島は静寂に包まれる。
夕日の見える西桟橋へ。
地元民も含め、皆、夕日を見つめる時間。
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そして、夕闇が迫る頃、竹富島の路地から濃密な氣が立ち昇る。
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黒猫も、金色の瞳で、じっとこちらを見る。
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朝、浜辺を歩く。
竹富島、ここは豊潤な風景が広がっている。
        ノムラテツヤ拝
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わらざん

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記憶する。
それは人間が元来持っている欲求なのかもしれない。
頭の中に入れるのもよし、文字に残すのもよし。でも、文字が無かった時代は?
その名残を見たくて、那覇~石垣島へ飛んで、フェリーで竹富島へ渡った。
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陽光降り注ぐ中、喜宝院蒐集館へ。ここは、上勢頭(うえせど)館長が蒐集した八重山地方の生活品が陳列される宝箱のような場所。
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そこに、どうしてもこの目で確認したい物があった。
「藁算(わらざん)」
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稲藁が主な材料だから「藁算」と呼ばれるが、イグサ、アダン、ビロウ、ソテツ、ゲットウなどの身近な植物が使われたという。
琉球王国時代、文字の読み書きができなかった農民が、日常生活の様々な記録、記憶、伝達に使い、藁の本数や長さ、太さ、結び目の違いで、数や物を表した。
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これを、僕は日本以外で見たことがある。
中国の「結縄の攻」や、南米ペルーの「キープ」だ。
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特にキープは、阪根ひろちゃんの「天野博物館」にいくつも飾られている。見た目はとても似ているが、藁算のほうが、より原始的に見える。古代インカと沖縄の八重山に、一体どんな共通点があるのだろう?
館長から話を聞きながら、一つの真実が浮かび上がる。
キープは縄の色も含めて情報源としているが、藁算は縄そのものに意味はないというのだ。
初めてキープを見た時のひろちゃんの言葉を、僕は生涯忘れることはないだろう。
「よく、インカ文明は文字が無かったから低級な文化と言う輩いるが、俺はそうは思わない。インカは文字というアナログを使う必要がなかったんだ。キープは十進法を使っているが、俺に言わせれば0と1の組み合わせ。それって何だ?ま
さしく今のデジタルじゃないか。インカは最初からデジタル化した稀有な文明だったんだ。
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時を同じくして、日本でも中国でも、ひょっとしたらデジタル化が芽生えたのかもしれない。
人間って面白いな。どうしてこんなにも同じなんだろう。
          ノムラテツヤ拝
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最高の聖域

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琉球王朝時代、最高の聖域があった。
それが「斎場御嶽(セーファーうたき)」。
亜熱帯特有の高木が作る緑陰、その向こうに大庫理(うふぐーい)が見えてくる。その逆側には「寄満(ゆいんち)」が。
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ここで僕は15年前、本当の聖域とはどういうものか、全身で感じさせられた。
その時の模様は、以下に記してある。
http://fieldvill.blog115.fc2.com/blog-entry-3408.html

世界遺産となり、あれからその聖域はどうなったのか?それをどうしても自分の目で確認したかった。
まず、ゆいんちの奥の3つの隠された拝所は、足元に立ち入りを禁ずる札が2枚立てられていた。
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沖縄の観光客は、今やハワイを抜いて年間939万人(2017)。その人たちが出入りしたら、祈り込みの場も簡単に壊されてしまうのだ。
そして、最も楽しみにしていた地が寄満から少し下がったところから左に上がった場所。獣道も何もないが、体がしっかりと反応する。
サンゴで作られた門の向こうに、巨大な磐座が鎮座する。
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見た瞬間、一瞬で15年前にタイムスリップした。そして、手を合わせた。あの体験があったからこそ、あの教えがあったからこそ、僕は世界中の未だ知られていない聖地とたくさん出逢ってこられたのだ。
そこから下へ向かえば、有名な三庫理(さんぐーい)。まるで石と石が寄り添い、「人」という漢字のよう。
西側にそそり立つ岸壁の頂き(チョウノハナ)から。神が岩の壁づたいに下の香炉へ降りてくると伝えられている。
          ノムラテツヤ拝
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