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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

北緯78度

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スバールバル諸島のひとつ、スピッツベルゲン島のロングイヤービーエンに到着すると、霧のけぶる湾の奥に、残雪を纏ったなだからな山塊が見えた。
まるで南米最南端のウシュアイアとアイスランドのアークレイリを足して2で割ったような風景。だからかな、最初の場所なのにも関わらず、何故かとても安心した。
白熊の剥製がいるターンテーブルから荷物を受け取り、外へ出ると小雨が降っていた。気温は4度、思っていたよりも暖かかったが、光の柔らかさに瞠目した。
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ロングイヤービーエンは北緯78度に位置し、4月20日から8月23日までが完全な白夜となる。到着したのは夜中の1時だったが、まだ昼過ぎのような明るさで、天候のせいか、レースカーテンのような膜が一枚張っているようだった。
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クルーズ会社のバスでホテルへ送ってもらう中、斜面で草を食むトナカイが。
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「あれは野生ですよ」。ガイドがそう教えてくれた。
「人間と自然の距離が近い」と人は言うが、人間も自然の一部。だから自然という母体の中でトナカイも人間も生かされている。つまりその母体自身が見えやすい、感じやすいということなのだろう。
一昨日、予約していたホテルから日本に電話があり、オーバーブッキングのためホテルをアップグレードしたい旨を申し付けられた。今年の3月にリニューアルしたホテルだという。
「フンケン・ロッジ」。
住所を調べてみると、なんと一泊5万円もする高級宿。
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ガイド曰く、このロングイヤービーエンの町で最初に作られたホテルだという。
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島で最初に炭鉱経営を行ったアメリカ人実業家ジョン・マンロー・ロングイヤーから名づけられた極北の町。
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朝食は豪華そのもの。
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まさかこんな場所でこんなクオリティと、またまた瞠目させられた。
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昼までここで静養し、夕方から乗船を開始する。
           ノムラテツヤ拝
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白熊

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ここ10年間、最も会いたかった動物、それが北極熊だ。
カナダのチャーチルが最も簡単に出会える場所だが、生理的に受け付けないことがあり、目標をノルウェー領のスピッツベルゲン島に定めた。
最近の異常気象により、北極圏の冬は氷が張らない。それによって白熊がアザラシ漁を出来ず、餓死していく例が後をたたない。最新の研究によれば、白熊は10年以内に絶滅する可能性が高いという。
師の星野道夫は、生命の多様性をこう説いた。
「世界から一つの動物がいなくなること、それは図書館から一冊本が無くなってしまうことに似ている。私たちは多様な動物を知ることで、自分自身を知る。その一片を失ってしまうのだ」と。
白熊がいなくなる世界なんて考えたくもない。でも現実にもう餓死や飢えが始まっている。それであれば、動物園ではなく、野生で生きる白熊を出来るだけ早くこの目で見てみたかった。
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今までは北極クルーズの料金が高いというだけで諦めていた。でも、僕の人生の持ち時間より、白熊の持ち時間の方が短いのだ。それを感じた瞬間、諦めることを止め、今年参加することを決めた。
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北極では、どんなイケメンの白熊が待っていてくれるかしら?
長年の夢が、もうすぐ叶う。
ノムラテツヤ拝
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